肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「捨てられる銀行&捨てられる銀行2」橋本貞典さん(講談社現代新書)……は美味しんぼに似ている

 

「捨てられる銀行」「捨てられる銀行2 非産運用」が美味しんぼに似ていて
かんたんしました。

 

「捨てられる銀行」既刊・関連作品一覧|講談社BOOK倶楽部

『捨てられる銀行2 非産運用』(橋本卓典):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部

 

 

メーカー、流通、飲食、IT、そして金融機関……

従業員や取引先が多い大企業を叩く本はよく売れます。
刺激的なタイトルをつければその業界の人がとりあえず買ってくれるからです。

それで一定数が売れれば本屋さんも「売れてます!」とアピールできるから、
一般のお客さんも「じゃあ買ってみようかな」となって更に売れるのです。

 

この「捨てられる銀行1&2」もそういう類の本なのですが、
内容は大変まともで真面目だと思います。

意地悪な言い方をすれば清々しいほどの当局ヨイショ本ですけど、
当局の言っていることがまともなのだからヨイショしても問題ないでしょう。
(同じく、内容がまともなら行政が掌返ししてもいいと思います)

「2」の最後の方で

金融庁が助言会社にも一定の関与をして行かざるをえなくなるのではないか。

とか書いてさりげなく庁益誘導を図ってるっぽい所には笑ってしまいましたが。

 

 

本の内容は昨今の金融庁の取組みを新書の形でまとめ上げたものです。

金融機関系のニュースに目を通している方ならば今更感もあるとは思いますけど、
色んな人に分かり易く再整理したところに価値があると思います。

しばらく融資担当の若手バンカーとかはこの本に書いている内容で
イジられ続けるのでしょう。



で、本題というか私の感想です。

この本、言っていることは「ごもっとも」で「そうだそうだ」と共感したり
「とは言えこんな風に一本調子には世の中変わらんやろなあ」と感じたり
「2の第4章:年金制度の変化と資産運用改革」は読む価値あるなあと唸ったり
できて、良心的ないい本だと思うのです。


いい本なのです。


でも、途中……1巻のかなり初めの方で、


「なんか既視感あるなあ……」


「……」


「ああ、美味しんぼや」


と思ってしまってから、頭の中で自作ネタコラが溢れてどうも
読むのに集中できなくなってしまいました。



「金融機関が社会から尊敬を集める条件は、
 それは唯一、フィデューシャリーデューティだ。
 それが分からぬ人間が担保だなどと抜かしおって、
 お前には融資を語る資格はないっ!」

 


「日本のメガバンクとたてまつられる連中は、
 こっけいだねえ!」

 


「では、教えてくれ。
 短コロの“コロ”とはなんのことだ」

 


「この中から最高の投信を選んでみろ」
 (略)
「私はあの中から選ばない、絶対に」
「えっ?」
「あの囲いの中の投信は、全部毎月分配型だ」
「あっ!!」

 


「ぬう、なんというファンドの数だ!
 必要もない連中がグループにいるからだ!!
 馬鹿どもに運用会社にかかわらせるなっ!」

 


「明日の午後俺につき合ってもらおう、
 お前に本物のインデックスファンドが
 どんなものか教えてやる」



……キリがないのでこの辺でやめますが、
全編本当にこんな感じです。


おそらく金融機関で務める人に発奮してもらいたいからだと思うのですけど、
とにかく煽り口調なんですよね。

(その辺が一部金融機関関係者から反発が出ている一因なのかも)


いいこと書いているのにもったいないなあ、
いや、むしろプロレスっぽくておもしろいなあと思いました。



個人的には、「1」よりも「2」に共感するところが多かったです。

この本と特に意見が合う箇所。
私も今後の日本経済&社会保障制度を見通すに、より多くの国民が
「資産運用」に手を出していく必要があると考えています。

それこそかつて国民の大半が「米づくり」のやり方を知っていたのと
同じくらいの勢いで、「資産運用」に親しんでいかないと……

暮らしていけなくなると思うのです。


別に資産運用でなくてもいいんですけどね。

給料+αの「α」を何かで確保しないと。

農業もいいと思います。
副業でもいいと思います。

とにかく、「働いている会社にすべて頼り切り」という思考停止姿勢は
まずいと思うんです。

フロー+フロー(給料+バイトやギャラ)か
フロー+ストック(給料+資産運用や農業)。

+αに精を出すことが許されないくらい会社が拘束してくるなら
「じゃあ手取り1,000万くらいくれよ」と従業員が要求していくような、
結果として超優良企業勤めの人以外は皆副業しているような社会になっていく、
なっていかざるを得ないんじゃないでしょうか。

もともと日本人はストック(米づくり)+フロー(手作り品など売って現金収入)で
暮らしてきた伝統がありまして、「ひとつの会社に忠義を尽くす」文化の方が
戦後生まれで新参者ですからね。

 

そういう風に国民の行動を変えていく一事例として、
「2」の4章は面白かったです。

政策論とか社会保障論に興味のある方はどうぞ。



もうひとつ感想を述べるならば、
この本に書いている通りに金融機関や国民が行動したらどうなってしまうのか、
考えてみるのは楽しいです。


本当に銀行や運用会社が手数料稼ぎをやめてしまったら……

地銀がバタバタ潰れてますます地方に優秀な人材が留まらなくなるんじゃないか、
資産運用会社に高度な数学を修めた人材が集まらなくなるんじゃないか、
それっていいんだっけ、良心と理念だけで人が集まりますかね? とか。


本当に国民の運用リテラシーが上がって預金から株・投信に資金シフトしたら……

金融機関が買い支えている日本国債が徐々に下落して、
財政クラッシュしたり結局利回り上がって預金回帰したりすんじゃね、とか。


本当に銀行が短コロ主体の融資事業に原点(?)回帰しても、
果たしてその融資が活きる優良企業がどんなけあるかなあ、
そこまで定性評価できる人材ならもう自分で起業した方が早くね? とか。


本当に運用会社が毎月分配型投信を封印したとして、
「資産形成」でなく「家計管理機能」を望む顧客ニーズがどこに向かうか、
怪しげなオレンジ共済みたいなんが再び跋扈したらやだなあ、とか。

 

金融庁目線では最適合理解でも、行政や庶民生活全体で見たら
思ってたのと違う方向に行くことも往々にしてありますからね。

こういう本を肴に賢い人が色々議論し始めたら有意義なんでしょう。



かつて美味しんぼ化学調味料や添加物やWindowsを批判しました。

その結果、料理業界は美味しんぼ色一色に染まったというより、
多様化が進む方向に動いたように記憶しています。

美食が好きな人は美食へ、
B級が好きな人はB級へ、
ケミカルが好きな人はケミカルへ。

その日の気分で選ぶこともできる、懐の深い日本料理業界。



金融業界はどうなりますか。

金融機関のノルマ営業は昭和の時代から
「もう持たない、もうすぐ消えてなくなる」と言われてましたが、
いまでもどっこい元気に残存しています。


一方で、ネットバンクやネット証券など、新たなビジネスの態様も
着実に増えてきていますし、一部領域では価格競争も進みました。

 

そう言えば今週、当書籍で称賛されている米バンガードが
イギリスで手数料が極めて低い個人向けオンライン投信業を立ち上げると発表し、
イギリスの金融機関が慌てているようです。

英米では手数料の値下げ競争が一足早く進んでいるのです。

 

うーむ。値下げ競争なあ。
結局最終的には人材流出に繋がるんだよなあ。


えーっと、確かこの本的には
融資の利回りダンピングは悪いフィデューシャリーデューティ、
運用手数料のダンピングは良いフィデューシャリーデューティ、
だったよな。


……あれ?

なんか哲学的ですね。



「日本社会におけるフィデューシャリーデューティ」、
まだまだ議論が必要だと思います。

お金は生活の基盤ですから、毛嫌いせずに皆で考えてみましょう。


お上主導だけでなく、国民各層での議論が進んでいきますように。

 

「てなもんや三度笠(映画)」内出好吉監督(東映)

 

 

映画「てなもんや三度笠」にかんたんしました。


藤田まことさん演じる「あんかけの時次郎」と
白木みのるさん演じる小坊主「珍念」コンビが織り成す傑作娯楽時代劇です。

詳細なストーリーは伏せますが、おおきくは三下ヤクザの時次郎がハッタリで
成り上がっていくような筋になります。

一世を風靡したヤンキー漫画「カメレオン」の偉大な先祖みたいな感じ。

成り上がりストーリーそのものよりも、登場人物の軽妙な掛け合いの上手さが
一番の魅力なところも含めて……。



特に惹かれてならないのが小坊主「珍念」の話芸です。

私、以前は珍念役の白木みのるさんをリアル子役だと思っていて、
「この子役の人めっちゃ演技上手いなあ」とか言ってたら、
「この人おっちゃんやで」と親か誰かに教えてもらって
仰天した記憶があります。

白黒画面なこともあって? まったく大人だと分かりませんでした。
ちょっと背が低いおじさんやったんですね。

そりゃそうか。
あそこまでよう喋る子役がいたら天才どころやないです。

いたずらに昔の人を偉大や偉大や言うのもはしたないですけど、
この珍念=白木みのるさんの喋くりは本当にすごいですよ。
数々の漫才ブームを経た現代でも、これだけの水準で掛け合いができる
芸人は多くないのではないでしょうか。

騙りの人相見で銭を巻き上げるシーンとか、寝小便をばらされて泣くシーンとか、
ほんまの子どもよりも子どもらしい演技やと思います。
大阪のちょっと知恵が回る子どものリアルさをたまらなく再現しているのです。

 

 

それにしてもこの映画、登場人物が豪華でした。

異常に豪華でした。

めっちゃ若い「いとしこいし」師匠。
そろばん柄の着物を着てそろばん片手に出てくる「トニー谷」さん。
ぴんぴんひょうひょうと動いている「大村崑」さん。

そもそも藤田まことさんがルーキーという時点でもうなんていうか
とんでもないんですけど。


次々に出てくる有名人が有名芸を繰り出し尺を取るもので
映画全体のテンポや構成には苦労している感がありますが、
現代から見ればもうこれは昭和芸能文化遺産(特に関西人にとって)ですから、
笑いまくった後にはありがたくて感謝の気持ちが湧いてくるという、
希有な映画なのであります。

皆さん映画的な演技ではなくて舞台的な演技なんがまたいいんですよね。
白黒の画面に大げさなムーブがよくマッチしています。

時代劇がかった筋立てやら清水の次郎長やらは若い世代の方には
馴染みがないかもしれませんが、たぶんティーンエイジャーが観ても
この映画は面白いと思います。

もう亡くなった方々もよぼよぼしたお爺ちゃんお婆ちゃんも
若い頃はこんなに楽しい芝居を観て笑っていたんだと思うと、
世代間闘争が起こりがちな昨今の風潮に一服の清涼を呼ぶのではないでしょうか。

老若男女、笑いに違いはないですもんね。

 

 

それにしても……

耳の穴から手ェ突っ込んで
奥歯ガタガタイワしたろか!


声に出して読みたい実に美しい大阪弁です。

 

 

いつかリアルの生活で使う機会がありますように。

 

 

装甲騎兵ボトムズ「ザ・ラストレッドショルダー」高橋良輔監督(日本サンライズ)

 

 

装甲騎兵ボトムズTVシリーズのウド編とクメン編の間に位置するエピソードを
描いたOVA「ザ・ラストレッドショルダー」にかんたんしました。

 

ボトムズWeb

 


これはいいOVAですね……!

1985年にこんな作品がつくられていたのか。
この30年、私はなぜボトムズに触れてこなかったんだろう。


以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 


あらすじ

 


ウドの街を脱出したキリコさんがレッドショルダー時代の仲間から声をかけられ、
昔の上官ペールゼンさんにお礼参りにいくという内容です。

仲間たちはどうやってキリコさんに連絡したんでしょうね。
蛇の道は蛇でしょうか。

キリコさんはお礼参りがしたいというよりは、ペールゼンさんが
秘密結社とつながりを持っている可能性が濃厚ということで、
フィアナさん会いたさに話に乗っかったようです。


案の定、フィアナはペールゼンさんのところにいました。
後のキリコの宿敵、イプシロン(全裸)も一緒です。

ていうかイプシロンさんが誕生したところでした。
誕生して初めて目にしたのはフィアナさん。
育ててくれたのもフィアナさん。
これはあかーん。その後のさだめを想わせないで……。

この全裸かつ無垢なイプシロンさんがフィアナとデートするところは
当時(30年前)の女性視聴者が釘付になったに違いありません。


さて、キリコ+仲間3名はペールゼンさんの秘密基地に殴り込みをかけます。
割と正面突破です。

4人とも超強い。
すごい作画でペールゼンを守るレッドショルダー残党を壊滅していきます。
なんだこいつら、全員異能者かよというくらい強いです。


しかし、異変を感じてイプシロンさんが出撃。
全裸ではなくハイレグを想起させるデザインのパイロットスーツに着替えています。


イプシロンさんは生まれた時からパーフェクトなソルジャーでした。
暴れまくっていたキリコたちを1人で叩きのめします。
さすがイプシロン。それでこそイプシロン

あっという間に仲間2人が斃れ、キリコさんも意識を失います。


キリコにとどめ……


それを寸前で止めたのがフィアナさんでした。
フィアナはイプシロンに「これが愛や!」とキスをして思考停止させ、
キリコさんの命を救ったのです。

いいタイミングで意識を取り戻したキリコさんにもばっちり目撃されました。
キリコ、大ショックです。明らかに凹んでいます。

ちゃうんやで、あんたへの愛でイプシロンにキスしたんやで


そうこうしているうちに唯一生き残っていた仲間が最後の力を振り絞って
ペールゼンを撃ち殺し、本懐を遂げました。


基地が爆発する中、キリコさんも秘密結社の皆さんもそれぞれ脱出します。

そしてクメンへ……


というストーリーでした。

 

 

見どころ

 


TVシリーズを観たファンにとって嬉しい部分と、
OVA新出で嬉しい部分に分けて話します。


TVシリーズファンに嬉しい部分。

オープニングがTVと同じ映像で「炎のさだめ」。
あえてOVAオリジナルではないのが嬉しい。
歌だけ地味に再録されていて声が少し違うのも楽しいです。


要所要所で流れるBGMがTVシリーズと同じなのが嬉しい。
「このシーンはこの曲やろなあ」というのが本当に流れてくれるのです。
とりわけ敵基地襲撃で斜面を下りていくシーンに「THE UNIVERSE END M-14」。
作画の良さも相まって最高に盛り上がれます。


キリコやフィアナにまた会えたのももちろん嬉しい。

それ以上に、秘密結社メンバーがボロー、アロン・グラン、キリイと
TVシリーズ死亡メンバーが勢揃いしていたのが嬉しい。
この頃はまだブイブイいわせてたんやなあと感慨に浸れます


イプシロンが鬼のように強いのがひとしお嬉しい。
ひらひら弾を避けますからね。
誕生直後でこれかよ、こんなんにどうやってキリコは勝ったんだと
彼の強敵ぶりと後のキリコの化け物ぶりが再度実感できて感慨に浸れます。

フィアナとイプシロンの絆があらためて強調されたのが悲しい。

そうやろなと思っていた二人の関係を実際に知れば知るほど、
クメン編・サンサ編のキリコとイプシロンの闘争に想いを馳せてしまいます。

 


こうやって並べると、TVシリーズ本編ファンにとっては
まさに「待ち望んでいたOVA」ですね。

スタッフの原作愛を感じました。

 

 

OVA新出で嬉しい部分


新登場のキャラクターたち。

ペールゼンさんの曲者かつ頭おかしい思想行動にも惹かれましたが、
それよりもキリコさんのかつての仲間たちが印象に残りました。


お顔パンパンおじさんのグレゴルーさん。
声はルパンの次元(小林清志さん)。

ペールゼンさんのせいで家族を失い、キャラの影が濃いムーザさん。
声はドラゴンボールフリーザ中尾隆聖さん)。

ムーザに要らんちょっかい出しまくるけど内心は熱いバイマンさん。
声はJ9のブラスターキッド(塩沢兼人さん)。


人物も声も魅力的な連中です。


何より、この連中揃いも揃ってメチャ強い。

敵も味方も元レッドショルダー、ともに精鋭部隊の争いです。
作画の良さも相まって敵集団の技量の高さもよく分かるのです。
明らかにTVシリーズの通常敵よりも手強いと思われます。

それを4人の連携でガシグシ突き崩していく爽快感

ああ、レッドショルダーの中でもこの4人は異常やったんやろな、と
速やかに納得できます。

だからこそ、この4人を1人で圧倒してしまうイプシロン様の貫録も
うなぎ上りなんです。


わずか50分のOVAで、一瞬で視聴者を魅了し、一瞬で殺されていく。

何とも退場させるに惜しい連中でありました。



アーマードトルーパー(AT)および戦闘シーン。

詰まるところATによる戦闘シーンが最高なOVAでした。

敵の新出AT「ブラッドサッカー」がこれまた格好いいのです。
キリコたち4人にはボコボコにされてしまいましたけど、敵方の連携攻撃も
キマってましたよ。

イプシロンさんが乗ったあとはほんまに悪魔みたいな強さ怖さでした。
絶対に戦場で遭いたくない機体です。
青色よりも黒色赤肩の方が見た目の怖さは数段上ですね。


味方側のスコープドッグ改もイカしてました。

ターボダッシュの挙動がめちゃ格好いい。
いつもの直滑降みたいなスタイルのローラーダッシュだけではなくて、
スラロームみたいに上半身を斜めに振りながら走るスタイルで魅せてくれました。

機動戦の描き方が更に上質になった印象です。

また、地味ながらローラダッシュをバックに入れて起き上がる動作とか
よかったですねえ。
ATの操作に慣れている感じが伝わってきます。

 


以上、繰り返しますが本当によいOVAだと思います。

TVシリーズ後につくられるOVAや映画のお手本のようです。

50分ですから、TVシリーズを観ていない方にもあえておすすめしますよ。
この内容を気に入って背景関係が気になってからTVシリーズを観てみるのも
いいんじゃないかなと思います。



まだまだボトムズOVAは出ているようです。
他のOVAも当作と同じくらいの傑作でありますように。

 

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'17.8.13追記

 

OVAを一通り見た結果、この「ザ・ラストレッドショルダー」が
一番面白かったと確信いたしました。

 

 

 

「装甲騎兵ボトムズ(TV)」高橋良輔監督(日本サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「ビッグバトル」高橋良輔監督(日本サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「レッドショルダードキュメント 野望のルーツ」高橋良輔監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「赫奕たる異端」高橋良輔総監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「ペールゼン・ファイルズ OVA版」高橋良輔総監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「孤影再び OVA版」高橋良輔監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「幻影篇」高橋良輔監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

 

 

 

 

コンラッド大阪の「Fu/Rai」名和晃平さん(美術手帖より)

 

美術手帖に掲載されていた、コンラッド大阪に展示される名和晃平さんの
アート「Fu/Rai」にかんたんしました。

 

名和晃平など総数389点! 「コンラッド大阪」が館内のアートを公開|美術手帖

 


開業前ですし現物を見た訳ではないのですが……。


リンク先の記事、一番上に出てくるモコモコした白い立像? が
「Fu/Rai」であります。

風神雷神像をモチーフとし、マイクロビーズの瑞々しい球体で構成された同作は、朝・昼・夜と表情を変える。

とのことですが、「風神雷神像」からこのモコモコが出てきたかと思うと
とんでもないですね。
素晴らしいです。

 

いちど見てみたい。

 

現代アートは……もちろん私もよく分かりませんが、
ひと目見て「あ、なんかいいやん」と感じたらそれでいいのかなと思います。

ポジティブでもネガティブでも、できればポジティブな心の揺れを感じたら
それはもう何でもアートと言っていいのではないでしょうか。

 

この「Fu/Rai」、1カットの写真で何かコメントするのもアレですけど、
場景を想像してみますに

 ・高層エレベーターに乗って40階へ到着し

 ・ロビーエントランスに入ろうとしたら大阪の街を見下ろす絶景とともに
  なんか白いモコモコした巨人がお出迎え……
  「おー、特別な場所に来たのかもしれない」と心華やかになり

 ・白いモコモコさんに目をやってみると、それはプレッシャーになるような
  迫力とか怖さはなくて、「ドラえもん のび太と雲の王国」に出てきた
  雲ロボットみたいな愛嬌があるような気がして、でもどこか端然とした
  背筋の伸びるような印象もあって

 ・うん、やっぱり私は「特別な場所に来たんだ」と再確認できる

ような体験ができるのではないでしょうか。


高級ホテルという場にマッチした、素敵な作品だと思います。

 

 

いいですね、コンラッド大阪。

なかなか機会はないと思いますけど、いつか結婚式とかで行ってみたいものです。

 


中之島や堂島あたりの雰囲気も変わってきましたねえ。

靭公園周辺で暮らして、平日は中之島あたりでスタイリッシュに働いて、
夜は堂島や新地界隈でしっとりおいしいもの食べて、
休日はきんつばを買い食いしながら公園を散歩するような暮らしが
これからの大阪人の憧れになっていくのでしょうか。

 

優秀で意欲ある若者が大阪に集まってくるといいですね。

 


大阪の景気がますますよくなりますように。

 

 

信長の野望201Xの「三好長慶」

 

信長の野望201Xの三好長慶さんの微妙な強さにかんたんしました。

 

信長の野望 201X

 
おもしろスマホ/ブラウザゲーム信長の野望201X。

ファニーな見た目と裏腹に、コアな戦国時代ファンをも唸らせるシナリオの出来や
ゲームバランスの良さで絶賛されております。


なお、私の201X進捗状況は出雲までクリア、強行戦や四神やアナザーは未タッチ、
異聞ではエクストラをクリアし切れない程度、迎撃戦はだいたいAランクで終了と、
中級者くらいの腕前かと思います。

プレイし始めて半年ほど、課金は月1万円まででだらだらやってきています。

以下、初心者に毛が生えた程度のことしか書いていませんのでご留意ください。

 


信長の野望キャラゲーです。

単純な能力や便利さだけでパーティを組むのではなく、
お気に入り武将でどこまでいけるかというのが大きな楽しみかと思います。

 

さて、201Xの三好長慶さんですが。

シナリオでは鬱大名兼天下人としてかなりキャラが立っており、
姉川の戦いにまで出張ってきて織田信長朝倉宗滴に一目置かれるという
おいしいポジションを手に入れています。

信長の野望201X「金ヶ崎・姉川異聞」 - 肝胆ブログ

 

 

能力はどうでしょう。

ちょうど長慶さんが手に入るガチャ「知将の宴」をやっておりますので
引用しますと、

 コスト22の戦術家、レベル50でHP6372・攻撃力6018・敏捷135

となっております。

比較に同ガチャの今川義元さんを紹介しますと

 コスト22の戦術家、レベル50でHP6018・攻撃力5900・敏捷147

ということですので、なかなかよいスペックに見えますね。

お知らせ(「知将の宴」目玉武将)

 

 

ただ、このゲーム、はっきり言ってスペックはそこまで大事ではありません。

大事なのはスキルと特性、特にスキルであります。


例えば先ほどの今川義元さんは「敵全体に攻撃力0.8倍の術攻撃」という
スキルを有しており、これは「全体攻撃役」としてはたいへん優れております。
序盤で今川義元さんを手に入れられれば攻略が楽々になることでしょう。

 


では、長慶さんは。

「副王の寛容:味方全体の攻撃力+35%かつ自身防御+45%」
自らを盾にしながら味方を強化と、一見素敵なスキルに見えるのですが……。


実は、あまり魅力的ではありません。

せめて攻撃力のバフが+70%くらいまでいっていればまだよいのですが、
+35%程度では……。

 ・軍師のバフが縦列に+50%(職業の基本技能であり長慶さんも使用可能)
 ・遠江でドロップする岡部元信さんのスキルが前列に+75%
 ・備前でドロップする浦上宗景さんのスキルが前列に+85%

と、他の方々に見劣りするんですよね。

味方全体の攻撃力を強化というと凄いように思えるのですが、
このゲームのパーティはMAX6名までで、6名全員が攻撃役ということは
ほとんど起こらないんですよ。

好みにもよりますが、標準パーティは単体攻撃1人、範囲攻撃1-2人、
バフ・デバフ・回復等3-4人いう感じでパーティを組むことが多いので、
味方全体よりは攻撃役に絞って高倍率バフをかけた方がいいのです。

 
うーむ。能力値は悪くないのに使いづらいぞ。

 

信長の野望201X「三好長慶スキル鍛錬」 - 肝胆ブログ

 

 

 

でも、私は長慶さんを使いたいんです。


どうにかできないか考えました。

このゲーム、スキルは変えられませんが、特性は他の武将から移植できます。
(レベルを上げたり補佐師範というキャラを使ったり手間がかかるのですけど)


三好長慶を活用するには……

 ①スキルの自身防御+45%を活かし、防御系の特性を積んで盾にする
 ②現代兵器系特性を積んでぶっ放し役にする
 ③常駐系特性(味方全体の攻撃力UP等)を積んでありがたい置き物にする

辺りが思いつきます。


……③は晩年の三好長慶のイメージに合う気もします。

本人は元気ないけど、いてくれるだけで松永久秀三好三人衆が頑張れる感じ。

 


でもでも、殿には前線で采配を振るってほしいなあ……


そういう訳で、こういう三好長慶をつくりました。

 

f:id:trillion-3934p:20170512013153p:plain

 

 

各特性を簡単に紹介しますと、

 ・二天一流宮本武蔵さんより)
   -与ダメージが20%増加、通常攻撃が2回攻撃になる

 ・雲蒸龍変(長尾景虎さんより)
   -屍へのダメージが60%増加、与ダメージが10%増加

 ・即戦即決(武田信繁さんより)
   -通常攻撃時に50%の確率でクリティカル発動(与ダメージ2倍)、
    被ダメージが10%減少

という感じです。


つまり、「副王の寛容」という微妙スキルは忘れてもらって、
通常攻撃でバシバシ雑魚散らしをしていただく感じです。

副王になる前、木沢長政討伐に励んでいた頃の気持ちを思い出してもらうのです。

 

現時点のステータスで、

 3体(職業参謀の能力)×15,000(50%の確率で30,000)前後ダメージ×2回攻撃

と、スキルマス(吉兆)を使わない範囲攻撃役としては「まあまあ」になりました。
バフをかければもう少し威力も出ますし。

兵器に支援攻撃付きエムCQBも装備して、嫌がらせ・石魔鬼退治も可能ですよ。

 


……やっぱり微妙だ。強いっちゃあ強いし便利っちゃあ便利だけど。
日々のデイリーダンジョンLv50とか職業鍛錬Lv70で使う分には充分なんだけど。


愛ゆえにやったことで、同じ特性を積むなら他に相応しい人がいたと思います。


実際、手持ちの沼田麝香さんは自然体で同じくらいの範囲ダメージを
弾き出しはりますし……。

 

これまでは武田信玄さん(始めてやったガチャで奇跡的に手に入った)を
リーダーにしていたのですが、急にこの微妙な三好長慶さんに変わったので、
フレンドの方々はびっくり&失望しているかもしれません。

フレンド関係を切られないか心配です。

 

 

という訳で、うちの三好長慶さんは雑魚散らしに精を出し、
ボスが出たら後列で弟を応援する人になりました。

弟は入手しやすい上に優秀な単体アタッカーなので、全力でバフと縦陣を
用意すれば2-300万くらいのダメージを叩き出してくれます。

十河一存さん)

f:id:trillion-3934p:20170512013518p:plain

 

シナリオでは長慶が目立って戦闘では弟が目立つ。
それはそれでいい気もしてきました。

だから早く実休さんと冬康さんを☆3か☆4にしてください。

 

 


ここまでやって、すぐに三好長慶がリメイクされたらどうしよう。

上位互換の「阿菊御料人」さんが登場したのは、長慶リメイクの前フリにしか
思えないんですよね。

 


……リメイクの際は、現行のシャンパンおじさまと差別化可能な
「ショタ千熊丸」になりますように

それなら諦めもつく。

 

 

※5/15追記

 使っているうちに、けっこういいんじゃないかと思い始めてきた。
 スキルマスに左右されずに汎用高打点を出せるのはそれなりに有用だ。
 三好長慶である必要はなくて要は戦術家なら誰でもつくれるので、
 お気に入りだけど使いづらい戦術家がいる人は参考にしてください(笑)

 

「仇討禁止令」菊池寛さん

 

 

菊池寛さんの「仇討禁止令」にかんたんしました。

 

菊池寛 仇討禁止令


こんな作品があったんですね。
たまたま読んでみたところ極めて完成度が高く、なんでこれが菊池寛さんの
代表作扱いされていないのかと不思議に思ってしまいました。
(ほかの代表作も傑作だからなんでしょうけど)

 

詳細なネタバレは避けますが、
親の仇を取る! バサーグエーという単純な筋ではなく、

幕末から明治にかけて人倫秩序が揺れるさま、
恋と良心の狭間で前途が揺れるさま、
公と私の狭間で刀が揺れるさま、

さまざまな心情の揺れを堪能できるのです。
これは相当ROSIERですよ。
生々しいROSIERですよ。

「道徳の耽美」という矛盾を感想とさせていただきます。

 

10分くらいで読み切れる短さでありながら、読後の満足感は極めて高いです。
このコンパクトかつ鮮やかに完結している感じ、舞台で見てみたくなる内容です。

戦前に映画化もされているそうですが、この小説は演劇や人形浄瑠璃の方が
相性がいいように思いますね。
演じ手の技量がダイレクトに問われる、緊張感の高い演目になることでしょう。

 


また別途紹介するかもしれませんが、青空文庫菊池寛さんコーナーはいいですよ。

有名な代表作も揃っていますし、戦国時代ものも多いですし。


特に「合戦もの」は戦前のいかにも講談らしい内容ながら、一周まわって
現代の歴史ファンにも喜ばれそうな筆者評価が多くて楽しいです。


「小田原陣」で徳川家康のことを

強い者に対した時だけ、信義を振り廻すのが一番であると確信して居る

見捨ての神

と褒めているところなんて「なるほど!」と思ってしまいました。
貶してるんじゃないですよ。家康の慧眼を褒めているんです。

 

四条畷の戦」では、戦前の足利尊氏を褒めただけで大バッシング」という
世情が触れられております。

国会で足利尊氏について激論。
なかなか隔世の感があって面白いですね。

 

「形」は三好家重臣松山重治の家来、中村新兵衛の物語です。

これも極めてコンパクトな小品ながら、印象に残るもの多しですね。

菊池寛さんは香川県の生まれで、先に紹介した通り高松藩ものも書かれています。
現代に生きていらっしゃったら、十河一存を軸とした三好家小説などを
書いてくれたかもしれませんね。

 

 

以上、幾つか紹介いたしましたが、菊池寛さんの小説は素直な言葉で
ズパッと深いところまで貫かれるような、ジャブとストレートを極めた
チャンピオンのような凄味があります。

即ちとっつき易い文豪さんなのです。


人物面・業績面でも圧倒的なお方ですけど、現代での知名度は同時代の
芥川龍之介さんたちほどではないような気もするんですよね。

 


最近の若い人にも名前が知られて、もっともっと人気が出てきますように。

 

「三成さんは京都を許さない 1巻」さかなこうじ先生(新潮社くらげバンチ)

 

石田三成がなぜか滋賀県庁職員となって京都に喧嘩を売る漫画
「三成さんは京都を許さない」にかんたんしました。


(何話か無料で読めますよ)

三成さんは京都を許さない ―琵琶湖ノ水ヲ止メヨ― | くらげバンチ

 


本屋さんで平積みされていたので買ってみました。

ローカルネタが満載で面白かったです。
あと、石田三成島左近がラブホで修行する話がよかったです。


内容としましては、現代に転生した石田三成がどういう訳か
滋賀県庁に就職して、滋賀県愛全開で京都府ぶっ●すと気を吐く漫画であります。

石田三成さん……あなた聚楽第京都市)で働いてたのにそれでいいんすか(笑)



滋賀県京都府に対するコンプレックスはなんとなく知っています。

この漫画で「京都許せねえ!」動機として挙げられている

 ・比叡山延暦寺が京都のモノ扱いされている
 ・琵琶湖の水をなぜか京都市が管理している
 ・京都民から滋賀県民は「滋賀作」と蔑称をつけられている

ですとか、

 ・「うっせえ琵琶湖の水止めるぞ」という滋賀県民の啖呵(意地)

ですとか、

 ・琵琶湖で分断されているので県民同士はあまり仲が良くない

というなるほどな事情ですとか、
そう言えばどれも本物の滋賀県民から聞いたことありますわ。


私自身も滋賀県についてそこまで詳しい訳ではないのですが、
「どこに行っても平和堂がある」というのは「確かに!」と激しく納得しました。



こういうご当地漫画って「出落ち」になりがちですが、
一定のクオリティを保ったまま1巻を終えられているのはすごいと思います。

10巻も20巻も続けられるネタではないかもしれませんが、
作者さんや読者さんの「滋賀愛」を出し切るくらいの勢いで
突っ走ってほしいと願います。



これからどんな展開になるんでしょうか。

滋賀あるあるでこれからも進んでいくのか、
ご当地ネタが尽きて石田三成を始めとした歴史人物ネタ中心になっていくのか、
どちらでもないオリジナルキャラの恋愛話とかになっていくのか。


滋賀は歴史上の人物もイベントも豊富ですから、
まだまだネタは掘ってこれそうですね。

甲賀とか信楽とか土地ネタもたくさんありますし。

大津宮の興亡とかに踏み込んだらディープ過ぎて人気落ちますかね。

吉村昭ファンとしては「大津事件」を取り上げてほしいです。



昔、内閣総理大臣織田信長というたいへん面白い漫画がありました。

これも出落ち漫画と見せかけた超良質のギャグ漫画で、
順調に話を重ねていったものの、最後の方はさすがに政治ネタが尽きて
柴田勝家お市の恋愛ドラマで尺を稼いだりしてましたね。

あの漫画は羽柴秀吉切れ者かつイイ奴だったり
選挙に弱い徳川家康がかわいかったりして好きでした。



それにしても近年の石田三成人気はたいした勢いです。

「仕事は真面目で有能だけどコミュ力に問題あり」というキャラクターが
スペシャリスト人気・ゼネラリスト軽視」の現代庶民感情に合うのでしょうか。

あるいは「忠義を尽くした末の無念の死」というストーリー(脚色)が
皆の同情を集めているのか、単に無双でイケメン化されたからか。

あの兜のデザインでけっこう得しているような気もしますね。



滋賀県ゆかりの武将……

石田三成大谷吉継浅井長政明智光秀あたりは既に人気者ですから、
次は六角定頼・義賢と、時代は異なりますが山本義経佐々木道誉辺りの
人気が出てきますように。

堅田水軍の人気が出て滋賀県の暴走族が湖族に鞍替えしたらおもしろいと
思います(他人事)。

団鬼六とかも滋賀県出身でしたっけ。
近江商人系の大企業もいっぱいあるし。
すごいな滋賀県