肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「桶狭間合戦時に織田信長と六角義賢が同盟していた説」読売新聞より

 

 

全国紙で六角-織田同盟説が取り上げられていてかんたんしました。

 

www.yomiuri.co.jp

 

今回初公開されたのが「桶狭間合戦討死者書上」という文書だ。江戸時代に書かれたものとみられ、今川軍はこの戦いで、今年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の井伊直虎の父、井伊直盛ら総勢2,753人が戦死したと記載されている。一方で、織田軍の戦死者も990人余りとしている。

「興味深いのは、織田軍の戦死者のうち272人が近江国滋賀県)の大名・六角氏からの援軍だったと書かれていることです」と、展覧会を担当する原史彦・学芸部長代理は話す。

 


江戸時代(1603年~)の記録をもとに桶狭間合戦(1560年)の真実を
語っていることになる訳ですが史料の検証って済んでるんですかね。

現代人が「太平洋戦争の記録つくっといたで!」というのとあんまり
変わらない気がいたしますけど……。


インパクトが強い内容ですから、「間違いのない事実」と受け止める人が
続出しちゃうかもしれません。

歴史に限らず、学問関係のニュースって難しいです。
新説が報道されること自体は本来何の問題もないはずなのに、
「新説=検証済の新事実」と解釈しちゃう受け手側のリテラシー問題がしばしば。

それで新説が「残念ながら間違っていました」って真摯に発表したら、
「騙しやがってクソが!」と激昂する人までいるんですよね。

科学文明はいまだ浸透途上であります。

 


そんな微妙な話はさておき。


この記録が1560年当時の史料を書き写したりしたもので信ぴょう性が高いのか、
江戸時代の高度な六角マニアがクリエイトしたものかは分かりません。

分かりませんが、事実だったらおもしろいので事実だった場合の事情や背景を
つれづれ妄想したいと思います。


以下の内容は素人の思いつき、上品に言っても仮説でございます。
しかも三好家等畿内戦国史好きの意見であることを割り引いてご覧くださいね。

 

 


桶狭間の戦いが起こった1560年前後は、戦国時代の流れを変える出来事が
続出したタイミングでございます。

六角家と織田家に関連することだけ取り上げても……


1558年

 六角義賢の仲介で足利義輝三好長慶が和睦。
 畿内の平和ムードが高まる。

 六角義賢が従属させている浅井久政の子に賢政と名乗らせる。

 

1559年

 六角義賢家督を義治に譲る。

 織田信長尾張を統一。

 足利義輝の帰洛を受け、織田家・斎藤家・長尾家が続々と上洛。
 斎藤義龍は「一色」を名乗ることを許され、家格が向上。 

 三好家臣松永久秀が大和に侵入。

 

1560年

 桶狭間の戦い(六角家が援軍を派兵していた?)。

 野良田の戦い六角義賢が浅井賢政(長政)に敗れる。

 三好長慶が河内を制圧し、畠山高政紀伊に逃れる。

 

1561年

 三好長慶細川晴元六角義賢の義兄弟)を幽閉。

 畠山高政六角義賢が三好討伐の軍を挙げる。

 一色(斎藤)義龍が死亡。

 

1562年

 久米田の戦いで畠山高政が三好実休を討ち取る。

 六角義賢が京を制圧。

 三好長慶教興寺の戦い畠山高政を破り、六角義賢は京から撤退。

 織田信長と松平元康が清州同盟を結ぶ。

 

1563年

 細川晴元が死亡。

 六角家で観音寺騒動が勃発。

 三好義興が死亡(三好長慶も急速に衰え翌年死亡)。

 北畠晴具が死亡。

 

という感じでイベントが起こっております。




1560年前後の周辺勢力の雰囲気としては、


 ・織田信長尾張を統一し、今川家を破り、急速に存在感を増している

 ・六角義賢は地域の実力者として周辺秩序の回復に努めている

 ・浅井長政(賢政)は従属していた六角家からの独立を図っている

 ・斎藤家は一色家に姓を改め家格を向上させるも、義龍が急死し、
  龍興への代替わりで家中が揺れている

 ・北畠具教は父を失うも堅調に勢力を充実させている

 ・三好家は五畿内を制覇しようとしているが不幸ラッシュも始まっている

 ・足利義輝三好長慶のもとで傀儡となっている

 ・細川晴元三好長慶のもとで幽閉されている

 ・畠山高政は河内奪還に向け六角義賢の力を欲しがっている


といったところでしょうか。

 

織田信長さんについては有名なので説明を端折りますが、
六角義賢さんについてかんたんに行動パターンを補足いたしますと。

この方、「極めて模範的な守護様」であります


足利義輝細川晴元といった幕府の偉い人を積極的に支援。

美濃で土岐様が追い出されるby道三と見るや下剋上けしからんと圧迫。

畿内で三好家が勢力を増してくると下剋上けしからんと圧迫。

領地で浅井家などが独立しようとするとそんなんけしからんと弾圧。


六角家は室町時代を通してけっこうロックな暴れん坊だったのですが、
六角定頼・義賢期あたりは極めて親幕府、忠実で有能な守護として
地域秩序の安定に奔走してはった訳です。



↓イメージ図

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観音寺騒動後の六角家は三好三人衆に味方しちゃって信長さんにぶっ飛ばされたり
ゲリラ戦法を続けるもパッとしなかったりで精彩を欠くのですけど、
1560年当時の六角義賢様はグレートでマーベラスな守護様だったんですよ。

「信長上洛時の雑魚敵」としての六角家は、三好家や浅井家にしてやられて
家中でも紛争が起こってボロボロになっちゃった後の姿なんです。



そういう訳で、桶狭間合戦に六角家の援軍があったとしたら
織田家にとっては勇気100倍、今川家にとってはマジかようぜーだったことと
思われます。

 

しかもニュースの中、織田軍戦死者が990人、うち六角家が272人って……

「兵が1割死んだら潰走」とか俗に言われますけど、勝った側の織田家で
仮に兵が1割死んでいたとしたら、総兵数は1万人、うち六角家が3,000人とかに
なっちゃいますね。

桶狭間の戦いのイメージが確かにずいぶん変わってしまいます。
そりゃ今川義元さんも全力で襲いかかってくるわという兵数です。
当時の六角家なら弓も鉄砲も充実しているだろうし。

 

 

じゃあなんで六角家は織田家と同盟していたんでしょう?


 ・琵琶湖商売と津島湊商売の連携?
  これならひょっとしたら織田信秀-六角定頼期まで遡れるかも。

 ・斎藤家への対策?
  これも織田信秀-六角定頼期まで遡れるかも。


ですが、こういう目的の同盟なら大国今川家との戦に
何千名も援軍を送る気にはなれないようにも思えます。

とりわけ織田家は「守護代の更に下」という家格ですから、
尾張守護斯波氏の影響が残っている段階では六角家は対等な
おつきあいをしてくれないでしょう

こう考えると、織田-六角同盟があったとしても、
1560年からあまり昔には起源を求められなさそうですね。



そうすると……


 ・1559年の信長上洛を契機にした、足利義輝の斡旋による同盟


という筋が思い浮かんでまいります。


六角義賢さんなら足利将軍の頼みは聞くでしょうし、
織田信長さんなら足利将軍に巧みな請願をするでしょう。


信長さんの上洛は尾張統一を認めてもらうだけでなく、
せっかく安定しかけている尾張をこれ以上乱さないように
幕府として今川家対策やってくださいよほらほら献金するからみたいな
交渉をするためだった。

将軍義輝さんも積極的に各地方の紛争を鎮めて幕府力をアピールする
姿勢ですから前向きにOKしてよっしゃ後は六角が面倒みたれと捌いた。

義輝さんを操る長慶さんも六角が尾張の方を向くならちょうどええわ
いまのうちに河内と大和を奪ったれとほくそ笑んでいた。

六角義賢さんは皆から頼りにされてニコニコしていた。
ひょっとしたら今川家に侵略やめろと勧告したり無視されてならば戦だと
援軍送るのを決意したりといった流れだったのかも。

浅井長政さんは六角家の兵力が尾張の方に向いて消耗するなら
チャーンスと考え独立準備を進めていた。

 

桶狭間で六角家の兵力が損耗
 ↓
浅井長政野良田の戦い六角義賢を破る
 ↓
六角義賢が無理をして三好長慶討伐の兵を挙げる
 ↓
一時的に京を制圧するも結局撤退する羽目になる
 ↓
六角家配下の国人衆「頑張ったのに何もいいことねーぞ!」
 ↓
六角氏と配下国人衆の関係がこじれる
 ↓
観音寺騒動

 

……無駄に説得力が出てきました。一応は繋がってしまう。



ただ、そうなると今川家って足利幕府から危険視されていたの?
足利を助けるのが今川っていう話だったじゃん。

という話になってきちゃいますね。


例えば、今川家に対してはニュートラルでも、武田晴信北条氏康
三国同盟を結んだ段階で「東国に巨大勢力誕生(現代のEUみたいな)」という
受け止め方をされたりとか、武田・北条の日頃の行いからまとめて危ない連中と
見做されたりとか、そういう空気があったんでしょうか。


足利幕府は長尾景虎さんとも仲が良いですから、武田家の悪口を景虎さんから
吹き込まれまくっていた可能性はあります。


この頃の幕府が北条家をどう見ていたのかも興味ありますね。
1562年に北条家の実家筋の伊勢貞孝さんが滅ぼされていますし、
もとより北条家は関東の足利勢力をいいように扱っていますし。

幕府と関東足利氏の関係もそもそも伝統的によくないから、
どうも関係性がすっきり見えてきません。


いずれにせよ、このニュースが真実だったとすれば、
義元さんが信長さんに中央政権への外交競争で遅れを取った、
という見方も出てきちゃいそうです……。

こんなところにも太原雪斎さん死去の影響があったりして。

 

 


以上、いろいろ書きましたがすべては妄言です。
本気になさらないでくださいまし。


これから実証的研究が進んでどんな解釈がなされていくか、
楽しみに見守りたいと思います。

織田信長さん近辺は人気があって研究進展も速いので、
その余波で六角家研究や幕府研究が加速するといいですね。


国盗り系大名や拡大戦争系大名ももちろん魅力的ですが、
六角義賢さんのような「守護としての務めを誠実に果たしていた」方の
魅力も認知されていきますように。

 

 

 

 

「童貞」豊島与志雄さん(青空文庫)

 

豊島与志雄さんの小説「童貞」にかんたんしました。



青空文庫リンク
豊島与志雄 童貞

 

童貞喪失前のもだえる内容ではなく、
童貞喪失を描いたけしからん内容でもなく、
童貞喪失直後の自我の暴走を描写した小説となります。


わあ……。

 


詳しい説明はありませんが、友達の井上くんという方に連れられて
八重子さんという女郎を抱いてきたようです。

身体にこな白粉の香りがまとわりついているという描写がありますので、
おそらく相手はプロかセミプロでしょう。



それで夜遅くお家に帰ってきたところから小説が始まるのですが。


のっけからラストまでずぅーーっと自我が暴れ狂い盛りなのでございます。



……母は何にも感づいてはいないんだな。
だが……天井からぶら下ってる電燈、茶箪笥や長火鉢、父の読み捨ての夕刊、それを丹念に読んでる母……昔からその通りで、そしてこれからも永遠に……。畜生、何もかも……。


何も変わっていない日常に苛ついたり。



向うの室から、放笑しそうなのをじっとこらえた顔付で――眼付で、お千代が見ていた。そのぽっちりした赤い頬辺に、飛んでいってかじりついてやったら……母の眼の前で。


女中さんを性的な対象として見てみたり。

 

 

身体中がねとねとして気味悪かった。


自分から清浄が失われたような気がしたり。

 

 

湯殿から飛び出しかけた。が、……茶の間をぬけて寝室の方へ行くのには、母の前を通らなければならなかった。着物を抱えて真裸のままで母の前を……。
そんなこといつだって平気だったんだが……。
ふと、咽せ返るような追想に、足が竦んでしまった。
意気地なしめ、なあに……。
擽ったいような気持で、歯をぎりっと一つやって、猛然と突き進んでいった。


なんだか急に母親の視線が気になっちゃたり。

 

 

盛り盛りです。

ロストバージン直後にあるようなないような感情のうねりが次々と。
自我、強いです。強過ぎです。

 


そのまま翌日も、大人ぶってレストランで酒を飲んでみたり
道行く大人がみんな馬鹿っぽく見えたり
本を買うからと両親を騙して大金を手に入れたり……

いっこうに鎮静の兆しがございません。


なんだその金、八重子さんのところにまた行くつもりなのか。
ご両親が泣くぞ。

 

 

往来の石ころを、下駄の先で蹴飛して歩いた。ころころとよく転った。
そんなもんだ。そんなものだ、童貞なんて。大切でも何でもないただ円い玉、どこへ転ってゆこうと平気だ。溝の中へでも、青空へでも、勝手に転ってゆけ……。

どうしたら……畜生……。しきりに石ころを蹴飛してやった。

 

若いって大変です。
穏やかでない勢いを感じます。

「やあ、素人童貞くん」とか声かけたら刺されそうですね。

 



性に対する価値観は人それぞれです。

童貞・処女の喪失をどう捉えるかも人によって違いますが、
異様なほど重きを置く方もしばしばいらっしゃいます。

その価値観の相異が恋人の間に諍いを招いたりもしますしね。
明け透けな元彼とのロストバージン話をして今彼がプチーンしたり。


いまの時代は特殊な性癖だとか持って生まれたLGBTだとか
いろんなファクターが知られてきておりますから、
ますます性の価値観をすり合わせることが難しくなってきています。

特定宗教とかのもとで一律同じような価値観が強制されていたら
社会秩序的にはシンプルですけど、いまさらそんな時代にも戻れません。


性の話はオープンにしにくいところもあって、
悩みや葛藤を抱えている方も多いんでしょうね。

オープンにすればいいというものではまったくありませんし。




それにしても、こうした性の葛藤を克明に描写したこちらの小説――
しかも戦前の作品――すごいことだと思います。

発表したとき、アホな連中からアホなイジリを受けなかったんでしょうか。
個人のリスクよりも文学的価値を優先したということでしょうか。

気高い、気高いよ!

 


現童貞の方、童貞喪失直後の方は謹んで拝読いたしましょう。

悶々も突き詰めればアートに昇華し得るのですよ。


悶々……モンモンモン……
モンモンモンの感動的なラストがもっと評価されますように。

 

 

 

 ※そう言えば昔、ヤングサンデーBバージンってありましたね。

  あれも作者さんの歪んだパッション・コンプレックスが充満していて
  異様に尖った作品でした。

  思想的にまともかどうかは一旦置いておいて、
  作者さんの屈折や情念が籠もりまくっている作品は稀有です。
  実にあの頃のヤングサンデーっぽい。

 

 

 

セブンプレミアムの「金時豆 2個入」

 

 

セブンイレブンなどで販売されているセブンプレミアムの金時豆が
しっかりした味と便利なサイズでかんたんしました。

 

7premium.jp

 

 

小分けにされた金時豆が2パックセットで販売されているものです。

値段はざっくり150円。

 

けっこう甘めの味付けで、金時豆らしい金時豆かと思います。

上品系ではなく庶民系の味です。
疲れた脳を甘やかしてくれる類の味であります。

舌触りもしっとり染み染みしていて快適ですよ。

 

これを小分けで販売してくれているのがありがたい……。

甘味がウリの金時豆や塩味がウリの昆布など
味が濃いことで敬遠されがちな食べ物については、
味を薄くするのではなく少量だけ食べるのがお利口かと思われます。

薄味の金時豆をどんぶりで食べるくらいなら、
ばっちり甘い金時豆を数粒だけ食べる方が幸せですよね。


ごはんやメインディッシュのボリューミィは嬉しいですが、
小鉢系サイドディッシュは少量多品種がよろしいかと。


この金時豆は1パック65g入りの120kcal。

いい大人にはこれでもちょっと多いくらいです。
食べ切りするには2-3人でシェアしてもいいでしょう。

 

 

多少割高でも、こういう味のよい小分け食品を支持したいと思います。

メーカー側は手間ばかりかかって利幅が薄いかもしれませんけど……。


以前、セブンイレブンのちょい足しサラダを「売れる!」と
確信したことがありました。

 ⇒セブンイレブンの「ちょい足し!ねばねばサラダ」 - 肝胆ブログ


しかし、あっという間に販売停止になっちゃいました……。

消費者にとっては手ごろな値段と量と味で喜ばしかったものの、
工場・店舗側は製造・包装・荷卸し・陳列・レジの手間ばかりかかって
たぶん儲からなかったのでしょう。

残念。

かといってあんまり高くしたら売れないだろうし、
なかなか難しいものでございます。

 

 

この金時豆は定着してくださいますように。

 

 

 

 

「ドローン鳥瞰写真集 住宅街・団地・商店街」著 小林哲郎さん / 監修 東地和生さん(玄光社)

 

ドローンで空撮した日本の街並み写真集が出ていてかんたんしました。

ドローン鳥瞰写真集 住宅街・団地・商店街 « 書籍・ムック | 玄光社

 


世界各地の絶景をドローンで空撮した写真集は以前から出ていましたが、
いよいよ日本の日常風景への応用が始まりましたね。

眺めているだけでも楽しいですし、
子どもの視野を広げる刺激に活用するのも有用ですし、
漫画やイラストなどの資料に使ってみるのも適切だと思います。




構成は以下の通りになります。


1章 住宅街

2章 団地

3章 町並み・商店街

4章 橋・川

5章 繁華街・雑踏

6章 学校

7章 アミューズメント施設

8章 日本家屋

9章 室内

10章  神社・寺



明記しているものは少ないのですが、撮影対象は関西地方中心ですね。

1-3章の町並み系は兵庫県中心かと思われます。

4章の橋・川は京都の由良川等、
5章の繁華街・雑踏は神戸、尼崎、淀屋橋大阪駅
6章の学校は尼崎の園田学園

7章は豪華で和歌山のマリーナシティ、阪神競馬場、尼崎競艇場
姫路の太陽公園と白鳥城、太陽の塔通天閣ナガシマスパーランド
ひらパー生駒山上遊園地天保山の大観覧車。

8-9章は不明。

10章は三木の大宮八幡宮、東光寺(どこのだろう?)、琵琶湖の白髭神社



見たことあるような風景を見たことないような角度で眺める楽しみ。
新鮮な娯楽ですね。

 

町並みは日本家屋のコピー&ペースト感がおもしろいです。

団地は幾何学立体的な構造に迫力があります。

商店街は空から見ると地味です。

踏切や橋を渡る電車の写真はわくわくします。
こんな写真を見せられるとダメな撮り鉄が続々とドローンを導入しそうで不安です。

空から見ても淀屋橋は相変わらず壮麗で大阪駅は相変わらず澱んでいます。

ナガシマスパーランド通天閣、鉄骨を空撮するとこんなにきれいなんだと
驚かされます。

学校や家屋、喫茶店や漫画喫茶の内部でドローンを飛ばして
インテリアを空撮するのはおもしろいアイデアだと思います。
鳥瞰というより猫瞰っぽいです。

白髭神社を湖面側から広角で撮るのは最適なように思われます。



一点脇道の話ですが、生駒山の遊園地っていまでも営業してたんすね……。

てっきり遥か昔に潰れたものだと……
大変失礼いたしました。

 


巻末で「なりすまし」や「悪意ある使用」「建築物や本のイメージを落とす使用」
等を除けば、「絵としてトレース・二次使用するのはOK※」という趣旨のことを
書いていただいているのも親切です。

本当によい資料だと思います。

 ※建築物によっては別途許可が必要なケースもあるため、
  もちろん確認を取ることが望ましい(商業利用する場合は特に)

 

 

ドローン利用には様々な規制・ルール・世論がございますけど、
だんだん活用が広がって暮らしが豊かになっていく方向に進むといいですね。


しょうもないルール違反系のトラブルが頻発せず、
健全な普及が進んでいきますように。

 

 

 

「カラスの教科書」松原始さん(講談社文庫)

 

 

カラスの生態や特徴を楽しく学べる本、「カラスの教科書」に
かんたんしました。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

 

読み終える頃には「好きな鳥はカラスです」と言ってしまうほど
カラスへ愛着を感じてしまう。

凄まじいクオリティのカラス布教本であります。

 


作者である松原始さんの文章がいいですね。

知的で、ユーモアがあって、偉そうでもなく卑屈でもなく
マイペースで飄々としたリズムが快い文体。

京大の人っぽいなあと思ったら本当に京大ご出身の方でした。

 

同じくイラストを手掛けた植木ななせさんも素晴らしいと思います。

植木ななせ - Google 検索

カラスをこんなに愛嬌たっぷりに描いた方はいないんじゃないでしょうか。

松原始さんの文章と相性バッチリで、読者をカラス好きにさせる
大きな原動力となっております。

 



本書は4章仕立てですので、各章ごとに概要や感想を書いてみたいと思います。



第一章 カラスの基礎知識


日本で主に出会えるカラス……ハシブトガラスハシボソガラス
見分けるのはプロでも難しいといったことや、
カラスは若い頃は群れで暮らして成熟すると家庭を築くといったことや、
雛から巣立ちまでのなかなか感動的な家族劇や、
マヨネーズが大好きだったり割烹の残飯を食べてたり羨ましいぞといったことが
紹介されております。


印象に残ったのが作者さんの恩師の山岸哲先生のコメントで、

「カラスは行動範囲広すぎて見えねえ、捕獲できねえ、標識できねえ、年齢わからねえ、性別わからねえ、巣が高過ぎて覗けねえの三重苦どころか五重苦、六重苦。だからオレはやめた」


というもの。

これだけ身近な鳥ながら、実はカラス研究はまだまだ進んでいないのだそうで。
なるほど……。


あとは「焼き芋大好き」というところに親近感を覚えました。




第二章 カラスと餌と博物学


学術的なパートで、採餌行動やくちばしの構造や山間部での暮らしぶりや
遊び・知能ぶりや世界各国における文化との関係などを紹介いただいております。


第一章で指摘されていた通り、カラスの行動を捕捉して観察するというのは
本当に難事業なんだなあ……と唸ってしまいます。


推論段階ということわりつきながら、沖縄諸島における島ごとのカラスの
行動・くちばしの違いは採餌環境の違いがもたらしたものではないか……
という進化論風の内容が興味深かったです。

カラスをモデルに何世代で特徴が分化していくのかとか分かったら
意義深そうですね。


あと、松ぼっくりで遊ぶカラスを描写した文章・イラストが
ともにめっちゃかわいくて和みました。




第三章 カラスの取り扱い説明書


ゴミ問題や、攻撃されたりするんですかいいえ基本されませんという
トピックスになります。


穏やかな語り口でカラス駆除の効果性に疑問を呈しておられて、
立派な学者さんだなと敬意を抱きました。

 -罠にかかるカラスは、放っといても死ぬ個体である可能性が高い
 -駆除を続けてきたが、カラスの総数に影響があったように見えない 等

行政は民意に従ってやることも多くて必ずしも科学的合理性があること
ばかりではないのが実情ですけど、こういった波風を最小限に抑えた
提言・諫言はものすごく貴重だと思うのです。

市民サイドもいろいろ学んでまっとうな要望を上げていく必要がありますね。


カラスは人間を怖がっているので基本的に攻撃はしてこない、
かんたんなカラス語を理解すればカラスのテンションは分かる、
とりあえず巣・雛から目を逸らして距離を取れば大丈夫だ、
そもそもカラスと人間のウェイト比は人間と象のウェイト比なんだぜ、
といった内容も分かり易くて納得感が高かったです。

野生生物への対応全般に通じることだと思います。




第四章 カラスのQ&A

Q カラスはなぜ黒いのかなあ?

A 全然分かりません。

 

Q カラスってお賽銭を盗んで自販機で買い物するんですよね?

A それ、ガセネタです。

 

といった楽しいQAがたくさん載っていて面白うございました。

 

 


最後に

 

とても印象に残ったのが結に書いてはった

シギのような長いくちばしも、猛禽のような鋭い爪も、アホウドリのような長い翼も持ってはいないが、それでもカラスはちゃんと餌を食っている訳だ。
包丁で言えば「これ一本でだいたい間に合う」という万能包丁で、刺身や菜切りに特化したつくりではない。

遭えて得意科目を作らない、60点主義でいいから八方美人にしておく、という進化もあり得るということだ。


という文章です。

ゼネラリスト気味人材に勇気と感銘を与えてくれる名文だと思います。
ちょっと家紋に八咫烏を掲げたりしたくなりますね(雑賀衆)。

 


以上、野生生物に興味がある方にはとてもおすすめの本です。

カラスによるゴミ荒らしに悩んでいる方にも参考になると思いますよ。

 

人間とカラスのほどよい共存が続きますように。

 

 

 

 

「第1回インフラメンテナンス大賞」と「(株)デックのSDF工法」

 

第1回インフラメンテナンス大賞という社会的意義の大きそうな表彰が
ひっそりと行われていてかんたんしました。

併せて、素人目にもすごいと思ったデック社のSDF工法にも
かんたんいたしました。

 

www.mlit.go.jp

 

 

日本の全国土に張り巡らされた膨大なインフラ群の
保全・維持が大きな課題となっております。


そんな中、国土交通省等が民間企業の優れたインフラメンテナンス技術を賞し、
今週表彰式が行われたそうなのですが。

日刊工業新聞の社説くらいでしか取り上げられていなくて侘びしい限りです。

社説/初の「メンテナンス大賞」−インフラの維持・管理技術に注目を | オピニオン ニュース | 日刊工業新聞 電子版

 

省庁サイドでの発信も足りなかったのかもしれませんが、
もう少し注目されてもいいように思いますね。


受賞者の方々、まことにおめでとうございます。

 

 

受賞案件としては


 総務省案件の情報通信分野(NTT等)、

 文科省案件の大学・校舎施設分野(名大等)、

 厚労省案件の水道分野(東京都水道局等)、

 農水省案件の農林水産分野(山田堰土地改良区等)、

 国交省案件の道路・鉄道・河川・下水道分野(東京都下水道局等)、

 防衛省案件の自衛隊施設分野(第1術科学校『大講堂』大改修)、


と幅広い領域からセレクトされております。

 

ざっと受賞案件を確認したところ、ITを活用した効率化案件が多いですね。

IT業界自体、数十年前の機器やコードの保守改修で死にかけている人も
多いと思いますが……。

画期的なリニューアルなりマイグレーションなりの技術が出てきたら
IT系企業も表彰してあげてほしいものです。

 


受賞案件の中身については、残念ながら概要紹介を読んだだけでは
具体技術や定量効果をはっきり把握することはできません。

一定程度の企業秘密情報も入っているんでしょうし、
まあ概要レベルの発表になっちゃうのは仕方ないでしょう。

 

そんな中、素人目で見てもデック社のSDF工法(厚労大臣賞)
分かり易い上にすごいなあと思いました。

 

開削工事が不可能であることから水道管路の経年管路更新が難しく、今まで手付かずであった軌道下横断、河川横断、交通量の多い交差点、他企業体が輻輳している道路において、管路更新を可能とする切り札としてステンレス・フレキ管を使用した既設管の中に挿入する工法(SDF工法)を開発した。

 

水道管は至るところに埋まっておりますが、線路の下や川の下や
交通量の多い交差点の下などを掘り返すのは困難です。

そこで、該当箇所を掘るのではなくて、他の場所で立坑を開けて、
既設の水道管の内側に新しい水道管をむんずむんず挿入していく
画期的な技術を開発されたのだそうで。



SDF技術協会


こちらのサイトではSDF工法のプロモーション動画が載っていたりして
簡潔明瞭に技術を解説してくれております。

動画では、
踏切近辺に2つの立坑を掘り、そこからSDF(Stainless Dynamic Flexible)管を
挿入していくことで電車を止めることなくリニューアルを完了。


技術に詳しくない者でも凄さ素晴らしさを絶対に理解できる動画です。
一見の価値あり過ぎです。

地震にも強い、90度カーブの既設管にも対応可能、
強靭かつ弾性に優れたこんな技術をよくぞ確立されたものだと感動しました。

考えた人も実現した人もまさしく偉大です。

 



こうしたインフラ・メンテナンスの世界に光が当たるのは
とてもよいことだと思います。

お国全体であれ各企業内部であれ、
何十年もかけて築き上げてきたインフラを誰かがメンテしてくれているから
今日も平和に安定的に仕事が回るのです。

インフラを維持できなくなって滅びたローマ帝国の教訓を
忘れてはなりません。



誰かを支えてくれている人がまっとうにリスペクトされる世の中でありますように。

 

 

 

「未来の職場を予感させる3Dホログラムのヘッドセット、米企業が開発」ブルームバーグ Selina Wang記者

 

 

アメリカ企業「メタ社」でAR・3Dホログラムを活用した職場づくり実験が
始まったというニュースにかんたんしました。

攻殻機動隊とかマクロスとかの世界ですね。

 

www.bloomberg.co.jp

 

記事の中のこの写真、とても格好いいです。
何が書いてある記事なのかも一目で伝わります。
(Photographer: Stephen Schauer/Meta)

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メタが目指すのは、実在する物体を扱うのと同様にホログラムを取り扱え、現実世界をシームレスに拡張させるAR技術の確立だ

ユーザーは、クリックやドラッグ、ボタン押しといった操作をすることなく、手で3次元物体をコントロールできる

コンピューターも間仕切りも、普通の仕事机も椅子もないオフィスで、スタッフがホログラムの回りに集合して共同作業する、という未来のビジョン

 

いよいよ実現・普及が見えてきましたね。

職場の掃除が楽になりそうでいいと思います。

一方、空間に映したホログラムをいじって仕事し続けると
腕がプルプルになりそうな気もします。
この辺は人間工学に基づいて楽な姿勢・映し方が見出されていくんでしょうか。



メタの従業員の一人の仕事机にはヘッドセットとキーボードが置いてあるだけ、壁にも賞状と新聞の切り抜きがいくつか貼ってあるだけだ。だがヘッドセットを装着すると、ガールフレンドの写真やスティーブ・ジョブズ氏の胸像、「テスラ3」などのホログラムが姿を現し、別画面ではユーチューブの音楽ビデオが再生される。本物の仕事机の上には、ホログラムの整理棚もある。

 

地味にキーボードは残っているのが面白いと思います。

ARキーボードの研究も進んでおりますが、
いまのところは本物キーボードの方が操作しやすいのかもしれません。

空中に浮かんだARキーボードを打ち続けたら
それこそ腕の筋肉がえらいことになりそうですし。

未来職場の真の敵は重力だった、的な。


PC作業で必要な機械のうち、キーボードや紙ベースの出力装置なんかは
案外しぶとく残っていくのかもしれませんね。



メタの従業員の体験に基づくと、事実上無限のスペースを使って無制限の数の画面を表示できることが生産性を大きく向上させるようだ

 

この辺りは一般企業への普及時に最も期待されるところだと思いますが、
実際どうなんでしょう。

私の体験では「無制限の数の画面を表示」はどちらかというと
生産性が悪化するイメージもございますけど……。

業種にもよるのかな。


日本企業だと、職場の皆さんがどんな画面を展開しているのかを
互いに共有できる機能を実装した方が生産性は上がりそうです。

手が止まって悩んでいる子がひと目でわかるでしょうし、
サクサク仕事を進めているデキる子に注目が集まるでしょうし、
ゲーム攻略サイトやyoutube食べログを開いていたら即バレるでしょうし。



この技術の利点は、実際に手に取ることができる製品を生産する企業には明白だ。試作品のホログラムを実物大で即時投影できるため、例えば自動車メーカーは新車の企画・設計等に必要な時間を短縮できる

 

こうしたデザインを伴う仕事には本当によさそうですね。
職場へのインフラ投資という点では3Dプリンタとの競合も起こるのかも。


それにしても、ホログラムであったとしても3Dモデルを周囲に投影可能となれば、
民間普及が進むとアートやらフィギュアやらの業界に地殻変動が起こりそうです。

彫刻なりオブジェなりいかがわしいフィギュアなりの3Dデータが
格安や違法無料でダウンロードできるようになっちゃったら、
実物を買う人ってすごく減りそうですよね。

違法アップロードサイトとかには「エロフィギュア3Dデータ」とかの
リンクが貼られて、ダウンロードしてみたら「う●こ」だったみたいな
悪戯も横行しそうですよね。


未来だなあ。

 


投資対効果の話はさておき、使う分には楽しそうなので普及が楽しみです。


ただ、ひとつ気になることが。
このアメリカ企業での実験、出資者は「レノボ」「テンセント」という
中国マネーなんですよ。

新しいことはなんでもアメリカと中国が独占する時代です。
例によって儲かるインフラは他国が用意して、あまりお金にならない
コンテンツは日本も一所懸命つくっていますがという形になりそうです。


いいっちゃいいんですけど、
こうした現実を認められない人はけっこう多そうで、
導入にしても普及にしても国内議論が変に紛糾しそうでやだなあ。


低成長時代における日本社会のお家芸……
仏教伝来時や黒船来航時の国内紛争再び、って感じになりませんように。