「戦国ヴァンプ」という乙女漫画がカオス過ぎる面白さでかんたんしました。
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本日、最終巻の5巻が出て無事に完結いたしました。
その5巻のあらすじ。
明智光秀と名乗る男は、深傷を負いつつも生き残った長頼だった! 長頼との再会を喜ぶひさきに、信長は「会わせたくなかった…」とつぶやく。 ひさきの体調がすぐれないのは、信長に血を吸われ人外になりつつあるためだというが…!? 一方、悪意のタネを撒き続ける三好義継。 悪意の芽は育ち…ついに本能寺へ! 信長は本能寺で死んでしまうのか…ひさきとの恋の行方は?
明智光秀と名乗る男は、松永長頼だった。
待って。
何を言っているのか分かりません!!
ざっくりとした内容としましては。
タイムスリップした女子高生「ひさき」さんが、織田信長さんと松永長頼さんのどちらを選ぶか……! という物語になります。
…………?
要素的には乙女漫画+織田信長+三好家+吸血鬼。
…………???
カオスです。
めっちゃカオスですよ。
無垢な乙女読者に向かって「三好長慶」「松永長頼」というビーンボールを投げ込んでいくスタイル。
よくこんな企画が通ったものです。
担当編集者の平塚理恵さんすげえ。
以下、更に詳細なネタバレを含めて内容を紹介して参ります。
あらすじ
時は戦国。
「人狼」の「壱与」さんが未来から女子高生の「ひさき」さんを召喚します。
↓
「吸血鬼」の「三好長慶」さんがひさきさんを奪います。
↓
ビビったひさきさんが三好邸から逃げ出します。
↓
たまたま上洛していた「織田信長」さんに出会います。
↓
信長さんがひさきさんを庇って重傷を負います。
↓
長慶さんが信長さんを吸血鬼にして命を救います。
↓
ひさきさんはとりあえず「偽松永久秀」として生きていくことになります。
↓
ひさきさんのボディガードに「松永長頼」さんが付きます。
↓
なんやかんやで、ひさきさんは信長さんからも長頼さんからも惚れられます。
↓
なんやかんやで、歴史通りに三好家が壊滅して織田家が急成長します。
↓
なんやかんやで、ひさきさんは松永久秀っぽく生きていきます。
↓
黒幕だった人狼の壱与さんは秀吉さんに懐柔されます。
↓
ダンピールの「三好義継」さんが悪いことをいっぱいしますが成敗されます。
↓
ひさきさんは無事に未来に帰ることができました。
(選んだ方の男性と一緒に)
↓
ちなみに未来世界では三好長慶さんが普通に生きていました。
(不老なので)
Fin!!
……うん。
上手にまとめた自信はあるんですが、どう分かりやすく語ってもカオスですね。
細かいことは気にせず!
格好いい信長さんと長頼さんに見惚れればよいかと思います!!
主要登場人物紹介
「こんなふうにたくさん人を殺める信長さんは」
「見たくないだけです」
「長頼さんの言葉…すごくあったかいな…」
現代から戦国時代に召喚された女子高生です。
乙女漫画なので男性陣全般からモテモテです。
ただ、男性陣はほとんど人外なので、しょっちゅう血を吸われたり怖い目に遭ったりしています。
織田信長さん(人間→吸血鬼)
「殺さなくて済むならなるべく誰も殺したくないな 俺は」
「ただ… 俺が ひさきに」
「惚れただけだ」
「こいつの血を吸っていいのは俺だけなんだよ」
第一話で瀕死の重傷を負い、長慶さんに血を吸われて吸血鬼になることで一命を取り留めます。
もともとは気のよい善人だったのですが、吸血鬼になった副作用で二重人格になっちゃったり瞬間移動ができるようになったりしました。
連載当初からメイン攻略キャラとしてデザインされている感じです。
平たく言うととてもイケメンに描かれています。
↓ビジュアル
「のぶは たぶん女としたことない」
「人狼には舐めて傷を治す力があるって三好さんが言ってた」
「舐めてやんよ」ぺろ…
初めは人間だったのですが、壱与さんの手で人狼にされてしまいました。
ときどき犬耳と尻尾が生えている感じです。
野望を抱いているような伏線もありましたが、基本的には好漢かつ大器量というおいしい描き方がされています。
黒幕のはずだった壱与さんをあっさり籠絡してしまい、物語を畳むのにとても貢献しはりました。
便利キャラになってしまったせいか、「秀吉さんルート」は生まれずじまい。
↓ビジュアル
前田又左衛門利家さん(人間→吸血鬼)
「僕はあなたのようなブスを信用できません」
「あのようにむごたらしく人を殺す信長様は信長様ではない」
ショタ系の毒舌男子です。
壱与さんに殺されかけたので、信長さんによって吸血鬼にされちゃいました。
吸血鬼になって以後は潔癖症になっちゃって生活に苦労してそうです。
ひさきさんをブスブス言いながらもちょっと気になっている感じでしたが、信長さんと長頼さんの存在感が強過ぎて「利家さんルート」は生まれませんでした。
↓ビジュアル
伊東はじめさん 兼 松平元康さん(人間)
「偉人ばっかりだ 信長 秀吉 利家…そして三好長慶」
「やばい…泣きそうだ」
幼馴染のひさきさんに巻き込まれてタイムスリップしてしまった現代の高校生。
歴オタなので戦国時代を満喫しています。
壱与さんの策略で、松平元康として生きていく羽目に。
得意の歴史知識を活かして上手いこと史実通りに成功していきます。
反面、ビジュアルが地味目なせいか、幼馴染という立ち位置でありながら「はじめちゃんルート」は生まれませんでした。
長慶さんに「王の器あり」と気に入られ、未来へ帰らず天下人になった模様。
三好長慶さん 兼 果心居士さん(吸血鬼)
「私はキングメーカー 王を創るのが仕事」
「私はどこで間違えたのかな」
「…三好を守ってくれる王を探していたのにな…」
「三好の子どもたちは死んでしまった」
「気が付けば…」
「また みんないなくなってしまった」
「元長 義興」
「実休 冬康」
「一存…」
「そして長頼…」
「私も馬鹿だね」
「誰かに心を移せばつらくなるだけなのに… 何度も繰り返してしまう」
平安時代末期に海の向こうから一人でやってきて、平清盛以降の日本の王を選んできた吸血鬼さん。
戦乱の世に責任を感じてもいるそうです。
友人だった「三好元長」さんとの盟約に従い、「三好長慶」を名乗って三好家に異形の力を与え、適格な「王の器」が現れるまで暫定天下人の座に就きます。
物語のジョーカー的ポジションですので、攻略対象という感じにはなりませんでした。
その代わりに、本物松永久秀さんや松永長頼さん、三好義興さんから強い愛情を寄せられていましたよ。
「人ではなくなってまで手に入れた力…」
「三好家はこの後どうなりますか? 未来ではどうなっていますか?」
史実では三好長慶さんの息子ですが、当作品では三好元長さんの息子。
すなわち史実の三好長慶さんが10歳時点(元長さん死亡時点)で吸血鬼になった存在です。
ややこしいですね。
本物松永久秀さんいわく「長慶に認めてほしいのに認められず織田信長に嫉妬する坊や」とのことです。
長慶さんや弟たちのことを常に考えている人ですので、恋愛的な攻略対象にはなりませんでした。
美少年なんですけどね。
本物の松永久秀さん(人間)
「なあ長慶… 王を探す遊びはやめて おまえが王になっちゃえよ」
「王になってくれないのなら」
「俺は俺の運命に従うしかない…」
ひさきさんが偽松永久秀をやっている裏で、三好兄弟を惨殺している人です。
この作品の松永家は、吸血鬼や人狼を先祖代々狩ってきた「ハンター」の一族だそうで。
ベルモンド家出身だったんですか久秀さん。
ハンターなのに長慶さんのことを好き過ぎて三好家に仕えて、長慶さん自身が王になってくれないものだから拗ねて三好一族を狩り始めるという。
三好義興さんいわく「命令されなくても三好長慶の意のままに動く犬」、安宅冬康さんいわく「嫉妬してんだろ三好の家に 俺たちの本当の父三好元長に!!」とのことです。
義興さん同様、長慶さんのことしか考えていませんので、恋愛的な攻略対象にはなりませんでした。
ダンディなんですけどね。
松永長頼さん 兼 明智光秀さん(人間)
「大丈夫 俺が守る」
ひさきさんが偽松永久秀になった関係で、弟として兄を守る役目になった好青年です。
松永長頼さん……。
ARIA読者の中で彼の名を知っていた人は1%もいないんじゃないだろうか。
松永長頼さんが乙女漫画の攻略対象になるなんて……まったく、なんて時代なんだ。
三好兄弟殺しの疑い(冤罪です)をかけられて義興さんに心臓を貫かれましたが、なぜか生きていて明智光秀さんとして再登場。
初めから主要攻略対象キャラにするつもりだったというより、人気が出てきてめきめきポジションが上がっていったという印象です。
実は史実でも「三好家の出世頭」ですから、創作作品においても登場さえしてしまえば他のキャラを押しのけるだけのポテンシャルを持っている方なのかもしれません。
↓ビジュアル。やだ、正統派格好いい……
信長の野望201X「松永長頼さんとは何者か(京洛の暗闘ガチャより)」 - 肝胆ブログ
三好義継さん(ダンピール)
「今の三好家の当主は僕だ」
「仏像 寺 女子ども…」
「おまえらが粗末にできないものを壊してやるよ」
「悪意は育てないとね」
「信長が攻めている比叡山に行って女子どもも含めて皆殺しにしてきます」
「ぜーんぶ信長の仕業です」
「きっとよく育つよ」
義輝さん殺し、大仏殿炎上、信長包囲網結成、比叡山焼き討ち……
主要登場人物の負の側面をすべて引き受けてくれた、後半の裏主役でした。
すごいぞ義継さん。
彼は吸血鬼の鬼十河さんと人間の母親の間に生まれた子どもで、いろいろ辛い目に遭ってきたという背景持ちです。
そのため、吸血鬼でありながら人間のひさきさんに恋する信長さんが許せないのです。
もちろん恋愛対象キャラではありませんが、悪い方向とはいえ三好義継さんがこんなに輝いた創作作品は珍しいのではないでしょうか。
壱与さん(人狼)
「妾は誰にも邪魔されずに… 好きなことをして…」
「好きなものを着て… 好きなものを食べて…」
ひさきさんを戦国時代に召喚した黒幕です。
平安時代までは日本の王を彼女が選んできたそうなのですが、平安末期に三好長慶さんにシバかれて力を失ったそうです。
ひさきさんは壱与さんの末裔に当たるそうで、彼女を喰えば力が復活するという目論見だったんですが……。
秀吉さんが間に入ってくれて三好長慶さんと和睦できたので、平和裏にコトが収まりました。
その後は秀吉さんの側近として彼の天下取りをバックアップしたようです。
…………と。
すごいでしょう。
絶妙に史実の人物像を活かしながら、なんかとんでもない作品に仕上がっていますよ。
三好長慶さん周辺が濃すぎて、主軸のひさきさん恋愛パートを侵食していたきらいもありますけど……。
それが絶妙な混沌味を生み出してもいると思うのです。
うん。
三好家周辺って、フリーダムでカオスな作品を創るには好適なのかもしれませんね。
女性人気はけっこう出たみたいで、ドラマCDとかもつくられているようです。
「松永長頼」が登場するドラマCD……すげえ……。
興味の湧いた方は、ぜひご覧になってください。
次は日野富子さんあたりを主人公にした逆ハーレム漫画とか乙女ゲーが登場しますように。