肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「中世武士 畠山重忠 秩父平氏の嫡流 感想」清水亮さん(吉川弘文館)

 

前から興味のあった畠山重忠さんの真っ当な書籍が発売されていてかんたんしました。

 

www.yoshikawa-k.co.jp

 

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畠山重忠さんといえば平家物語吾妻鏡などで褒めたたえられている武士として有名ですね。

戦強い、腕力強い、優しい、誠実、清廉、などなど、おおよそ武士の理想像のような扱いをされることも多い人物であります。

 

私もなんとなく彼のことが好きで、埼玉県に行く機会があったときは史跡に寄ったりするようにしています。

埼玉県比企郡嵐山町「菅谷館(続日本百名城)と嵐山史跡の博物館」 - 肝胆ブログ

埼玉県「大里郡寄居町の鉢形城(長尾景春&北条氏邦)」と「深谷市の畠山重忠公史跡公園」 - 肝胆ブログ

 

 

 

そんな畠山重忠さんについて、物語や伝説ベースではなく、きちんと史料ベースで直近の研究状況をまとめてくださった本が発売されていた訳ですよ。

これは嬉しい。

 

本の構成は

畠山重忠のスタンス

 ―プロローグ

秩父平氏の展開と中世の開幕

 ―秩父平氏の形成

 ―秩父重綱の時代

畠山重能・重忠父子のサバイバル

 ―畠山氏の成立と大蔵合戦

 ―畠山重忠の登場

豪族的武士としての畠山重忠

 ―源頼朝畠山重忠

 ―在地領主としての畠山氏

重忠の滅亡と畠山氏の再生

 ―鎌倉幕府の政争と重忠

 ―重忠の継承者たち

畠山重忠・畠山氏の面貌

 ―エピローグ

あとがき

 

となっていまして、畠山氏のルーツである秩父平氏の解説から、平姓畠山氏が武蔵国でどのように勢力を広げていったのか、どのような情勢の中で畠山重忠さんが登場し、畠山氏の勢力や家格を踏まえ源頼朝さんや鎌倉幕府はどのように畠山重忠さんを扱い、そしてどのような経緯で畠山重忠さんが滅んでいったか、源姓畠山氏に繋がっていったかを順に説明いただけます。

 

個人の性格や能力を史料ベースで断定するのは無理がありますので、「畠山氏」という武士団の特徴や規模や活動や状況にフォーカスが当たっているのがいいですね。

丁寧に畠山重忠さんの背景を描写してくださっていることで、結果として畠山重忠さんの人柄や人生を想像しやすくなります。

 

 

 

畠山氏の勢力や成長を説明いただく過程で、

東山道武蔵路」という東京(東海道)と埼玉・群馬(東山道)を縦に結ぶ街道や、

その街道沿いで勃興していく秩父平氏(畠山氏や小山田氏や江戸氏など)や武蔵七党(児玉党や横山党や猪俣党など)……

等々、私にとって土地勘のない地域の歴史の流れが通観できるようになっているのがありがたく、また、印象的でした。

 

この平安時代末期~戦国時代中盤くらいまでの、バラエティ豊かな中小勢力がイキイキと活躍したり離合集散したりしている関東中世、面白いですね。

 

 

 

こうした土台の上に、また、いわゆる大蔵合戦やの源義朝さんやの平清盛さんやの源頼朝さんやのの情勢の下に登場する畠山重忠さん。

 

関東でも屈指の武士団の惣領であり、京暮らし経験があるため文化的にも優れており、そうしたポテンシャルを充分に活かして戦で活躍し、イケメン的な活躍(音曲披露や行列先陣の誉を何度もいただく……イケてる鎌倉幕府御家人の象徴のような扱いだったのだろうか)もし、いわゆる物語で描かれるような人物像が形成されていったのであろうことが察せられます。

 

一方で、平家方だった父と決別して源頼朝さん方に転じたり、あるいは源頼朝さんに厚遇されながらも「側近」扱いにはならないという緊張感の孕んだ幕府との関係性であったりと、当時の情勢におけるリアルな一面も紹介されており。

 

 

勉強にもなるし、ますます畠山重忠さんの魅力を深掘りできるし、私にとっては本当に良著でありがたいです。

地勢を踏まえた研究や考察が多いので、関東に土地勘のある方が読めば更に面白いのではないでしょうか。

 

 

畠山重忠さんは北条家とのあれやこれやで滅び、その後畠山氏は足利氏の一門になって源姓畠山氏として再興されていきます。

戦国時代ファンにはこちらの源姓畠山氏の方が馴染みあるのですが、戦国時代当時も「畠山」ブランドには常に畠山重忠さんへのリスペクトが混じっていたんでしょうね。

 

 

平姓源姓を問わず、畠山氏の人気がじわじわ高まって参りますように。

 

 

 

 

そういえばこないだ二本松城に行ったのですが、伊達氏や幕末の有名事項だけでなく、ちゃんと奥州畠山氏の居城であることが紹介されていてかんたんしました。

天守台からの眺めが非常によかったです。風も爽やかでした。

 

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ミンサガ考察「エンディング後の世界がどうなるか」

 

久々のミンサガにかんたんした続きです。

せっかくなので、エンディング後のミンサガ世界がどうなっていくか、考察、妄想みたいなことを書いておこうと思います。

 

前提として、ミンサガのイベントをすべてグッドな展開でクリアしたものとします。

また、私がパトリックさん好きなため、バファル帝国に甘い感じになっていますのでご留意ください。

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エンディング後のトピックス

サルーイン打倒に伴うモンスター活動の退潮、エスタミル防衛戦におけるクジャラート・騎士団・ローザリアの共闘、ブッチャーの野望の頓挫、何より主人公たちが無事に帰ってきてこれからも正義の味方であり続けるであろうことを踏まえれば、マルディアスは当面、歴史上類を見ないほどの平和を謳歌することになると考えられます。

 

これは治安革命と呼んでも差し支えないもので、

  • 人口の増加
  • 交易の発展
  • 軍事の停滞

などの影響を招くに違いなく、サガ的バトルの時代から政の時代へ変容していくことを意味します。

 

その上で……

 

 

 

バファル帝国

向こう100年くらいの時間軸では、エンディング後の世界でもっとも発展しそうなのはバファル帝国だと考えています。

 

サンゴ海の海賊被害が減り、ベイル高原のモンスターが減り、大都市メルビルの復興需要が高まり……とくれば、盛んになる交易活動のメリットを最も享受するのはバファル帝国でしょう。

 

元々バファル帝国は法律に長けた国(ユリウスさんいわく“不完全”らしいですが)であり、世界規模の交易が盛んになれば、国際法や紛争調停や海上保険などの仕組みづくりでも他国をリードする存在になっていくのではないでしょうか。

 

 

イスマス城が崩壊したのも大きい。

たぶんイスマスはサルーイン再封印を記念する世界遺産みたいな土地になるはずで、エロール教やミルザ教の聖地のように扱われることになるでしょうから、今後はイスマスを舞台にしたローザリアとの紛争は起こりにくいでしょう。

そうなるとバファル帝国は地政学上、他の大国との紛争リスクが激減するんですよね。

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世界で最も海軍が充実しているのもまたバファル帝国ですし、今後はシーパワーを背景にした第二の繁栄期を迎えることになりそうです。

 

 

8人エンディングによればクローディア姫はメルビルに戻ったみたいですから、帝位を継ごうが継ぐまいが、バファル版暴れん坊将軍として帝国に潜む悪を成敗し続けてくれそうですし、彼女が健在の間は陰謀系のリスクも低いことでしょう。

クローディア姫は政治のセンスなんてなさそうですが、それはいまの皇帝も同じですから有能な臣下のモチベーションさえ保てればどうにでもなりそうです。

 

なんなら帝国が援助したっぽいホークさんのレイディラックⅡ世が北半球で第二マルディアスとかの新世界を発見してくれるかもしれないですし、そうなればますますバファル帝国にチャンスが広がりますね。

ていうか海賊との提携、新世界発見の可能性、法務や文化に長けるとくれば、まんま大英帝国的な発展を辿りそう。

 

 

要は私の愛するパトリックさんとしてはですね、対サルーイン戦以上にいまこそ皇帝陛下のご恩に報いるときですからバファル帝国万歳!な気持ちで政務に励んでいただきたいと思います。

あの奸臣面からの忠臣ぶり、本当好き。

 

 

 

ローザリア王国・ドライランド

反対に、成長のキーが見出しにくいのが意外とローザリア王国ではないかな、と考えています。

 

もともとローザリアは豊かな土壌と水源に恵まれた穀倉地帯で、食料資源に裏打ちされた軍事力が他国に一目置かれていた訳なのですが。

平和の時代到来と、ローザリアの拡大主義との相性の悪さは否めません。

 

まして現国王のカール3世が息も絶え絶えな中、次世代を牽引するのがマルディアス統一の野望を隠さないナイトハルト殿下というのがまた間が悪い。

 

エスタミル防衛戦の経緯からクジャラートとの戦は起こしにくい、

イスマス世界遺産化によりバファル帝国との戦も起こしにくい、

北に広がるドライランドは乾燥地帯で地味に乏しい……

とくれば、ローザリアの急進派は狡兎死して走狗烹らる的に焦らざるを得ません。

 

高止まりする軍事費と、他国の経済成長の狭間で、ナイトハルト殿下は難しい舵取りを迫られることになるでしょう。

というか彼の竜騎士さんに対する態度を踏まえれば、むしろ率先して巨人の里を襲撃してラグナロク的反撃に遭ったりしないかすら心配だったりもします。

 

バファル帝国の先行きが大英帝国だとすれば、ローザリア王国の先行きはナポレオン時代のフランスのようなイメージがありますね。

無理な軍拡を進めるよりは、ノースポイントをバファル帝国よりも先に押さえて交易を奨励するか、ひたすらニーサ様への信心を高めてカクラム砂漠から石油やレアメタルが出てくるのを待つか、あたりがよいオプションだと思いますがいかがでしょう。

 

 

ローザリアに戻ったアルベルトさんは、苦労して育ったこともあって立派な統治者に成長しそうではあります。

が、彼の生来善良なる人格を踏まえれば、ひとかどの人物に育った後にはアンチナイトハルティズムの神輿として掲げられることになってしまいそうで、むしろ王国内乱の種になりそうなのが不安です。

ナイトハルト殿下の義弟だし。

この辺も、臣下に政治を丸投げしているバファル帝国と違って、カール1世やナイトハルト殿下等の英雄頼りの気質があるローザリア王国の方がかえってカリスマが揺らいだ時には混乱が高まりそうな印象ですね。

 

 

 

クジャラート・フロンティア

向こう100年くらいはバファル帝国が第二の盛期を迎えそうですが、向こう300年くらいの長期的展望ではクジャラートがいちばんポテンシャルがありそうです。

 

クジャラートは文化的にはバファル・ローザリアに劣りつつも、豊富な人口や、他国の優れた文化を素直に吸収する面で秀でています。

世界最大の都市であるエスタミルを有しているのは、これからも他国の発展ポイントを吸い取る上で強い優位点として働くことでしょう。

 

 

更に、クジャラートはサルーインの戦乱で最も多くの利を得たと思われます。

 

外交面。

ローザリアとも騎士団とも関係は最悪でしたが、エスタミル防衛戦でなんかチャラになったような空気があります。

 

内政面。

タルミッタ太守トゥマンさんの失踪により、当面の内乱の芽がひとつ摘まれました。

また、盗賊ギルドでジャミルさんがのし上がることになりそうなので、ジャミルさんとパイプのあるウハンジさんは上手いこと彼を活用して統治に役立てそうです。

 

領土面。

もともとクジャラートの政策で、溢れる人口を移民させていたフロンティア。

サルーイン、ジュエルビースト、ヴァンパイア等の脅威が一掃された結果、フロンティアはガチフロンティアとして有望な地に一転いたしました。

フロンティアはいまは荒れ地ですが、中緯度地帯で水源も豊富と、モンスターの脅威さえなければ大発展する可能性を秘めております。

もちろん開拓に時間は要するでしょうが、フロンティアの本格発展によりクジャラートは中国+アメリカのような存在になる訳ですからその潜在力は凄まじいの一言です。

 

人口は正義を体現するのが今後のクジャラートですね。

 

 

但し、政治の拙さによる内乱リスクは否めません。

ウハンジさんやジャミルさんがいる間はなんだかんだ上手くやるでしょうが、感覚的には100年に1回くらい大きな内乱を起こしそうなお国柄ではあります。

ただ、政権は死すともクジャラートは死なず的に、内乱を繰り返すたびにかえって統治や技術を洗練させて、本当に現代の中国+アメリカみたいな大国に化けてしまいそうでもありますね。

 

膨大な人口とフロンティアスピリットは、バファルやローザリアとも違う、大衆的でロックでアナーキーな文化を生み出しそうでもあり、住んでて楽しそうとも思います。

 

 

 

騎士団

いちばん闇が深まりそうなのが騎士団領です。

再びミニオンが暗躍するとしたら、まず狙われるのは騎士団領でしょう。

 

平和到来による武人軽視。

人が暮らすにはもとより適さない厳しい環境。

ミルザやオイゲン公の意志はどこへやらの精神的退廃。

今後をリードするのはあのラファエルさんという尽きぬ不安。

 

テオドールさん乱心事件の際、ご本人は偽物だったのでフォローもまだできますが、彼に従ってノリノリでバイゼルハイムを攻めていたモブ騎士にドン引きした人も多いのではないでしょうか。

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世界規模の治安改善・交易発達などの流れはことごとく騎士団のマイナスに作用しそうですので、彼らの生きる道は傭兵稼業になるしかなさそうです。

 

他国の軍縮を受けて代わりに野良モンスターを討伐するとか、多少ミルザの道に反しつつも他国の内乱に助っ人したりするとかして、現金収入確保に躍起になるのでは。

 

上手くやれば、武力を活かして絶対安全がウリの銀行業を始めたり、鍛冶精工技術を活かして名産品を開発したりと、スイスのような発展を狙うことは可能かもしれませんが……。

なんなら傭兵業を通じて他国の政情をいち早く探ってインサイダー取引に励むとか。

 

目立つとラファエルさんに粛清されそうなのでイノベーションも起きにくいかなあ。

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発展の兆しが見えぬまま50年も100年も時間だけが経過すれば、騎士道精神の荒廃はますますえらいことになりそうで、闇の勢力が再び跋扈する一因にもなりそう……。

 

 

 

バルハラント・リガウ島・ワロン島・サンゴ海

富裕な貴族や商人の観光客が増えそう。

シフさんはそんな風潮を嫌がりつつも黙認してくれそう。

地味にグレイさんやシルバーさんやゲラ=ハさんはノリノリでガイドしてくれそう。

 

 

 

 

 

以上、私見をつらつらと書いてみました。

間違っても公式見解みたいに受け取らないでくださいね。

あくまで書いた方も読んでくださった方にも暇つぶしであります。

 

世界観がしっかりしているコンテンツは、考察や妄想をするのも楽しいですよね。

こうした素敵なコンテンツを生み出すクリエイターさんがしっかり遇される仕組みが世の中に整っていきますように。

 

 

ミンサガ「好きなイベント・風景(9週目攻略の感想)」 - 肝胆ブログ

 

 

 

ミンサガ「好きなイベント・風景(9週目攻略の感想)」

 

数年ぶりにロマンシング サガミンストレルソング-、通称ミンサガをプレイしてみたらやっぱり面白いなとかんたんしました。

 

www.jp.square-enix.com

 

 

以下、特に深い内容はありませんが、プレイしていて好きな場面や感想をつれづれと書いています。

 

ネタバレ要素も大量に含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9週目はバーバラさんでプレイしました。

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彼女は初めから多くの地図とアメジストを持っているのと、ヤシ開拓村の誘拐事件に必ず間に合うのが楽でいいですね。

 

キャラも大人の女っぽくて親しみやすいですし。

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パーティメンバーはスキアヴォーナがよく似合うバーバラさん(城塞騎士)、

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イキるときだけ目が開くエルマンさん(剣士)、

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ノーブルクレーンを握るに相応しいゲラ=ハさん(武芸家)、

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ドロップキックが得意なシフさん(ゲッコの騎士)、

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打槍がしっくりくるディアナさん(城塞騎士)。

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適度に強くて、合成術に頼らなくて、炎のロッド&君主の大斧経由の火の鳥は使えて、連携や奥義ロマンシングを楽しめるという布陣にしてみました。

 

 

 

まずは好きな風景。

 

ニューロードの日の入り。

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ウソ。

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カクラム砂漠。

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巨人の里。たぶん私はミンサガの茶色くてエキゾチックな風景が好きなんだろう。

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音楽も含めて、迷いの森の神秘性も好き。

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ディスティニィストーンを抱く場所の中では、トパーズがいいですね。

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伝説の湖を借景にした神殿設計が素敵だと思います。

 

 

凍った城のひんやり感もいい。

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冥府・煉獄門の茫漠としたスケール感にも圧倒されますね。

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続いて、イベントの好きな場面を。

 

 

ウコム様関連。

 

母ちゃん……どうして……。シュールな勢いが素晴らしいですよね。

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神の使いと思えないマリーンさんの胡散臭さも好き。

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ソウルドレイン封印。まじない的展開とデス様上げが楽しい、よい新規イベント。

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ニーサの戦士よ(連呼)。

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老人と海SFCロマサガに比べ、魔の島、ウェイ=クビンさんの補完もよかったです。

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俺たちゃ海賊のインパクト。水平線からの海賊船団登場が不穏で好き。

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飲んだくれているおっさん。色んなJRPGを全否定するようなことを仰っています。

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タルミッタ兵は全般的に愛しい。棒読み警備とかなにとぞーなにとぞーとか。

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クジャラートといえばウハンジさん。仕事ができる俗物っていいよね。

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赤魔導士さんに対する雑な会話選択肢。

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四天王関連。

 

会いに行くのが面倒なタイニィフェザーさん。巣がかわいい。

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借りパク(シェアリングエコノミー)に定評のあるアディリスさん。耳が風流。

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水竜さん。求めているのは生贄でなく話相手でした。主食は普通に魚。

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スパルタ道場主のフレイムタイラントさん。名に反して一番紳士的な気がする。

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ついチャレンジしてしまうジュエルビースト御柱祭

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労多くして……の典型例なんですが、フロンティア壊滅はやはり避けたいですよね。

 

 

 

巨人たち。恬淡とした知性と厭世が好き過ぎる。もっといっぱい話してみたい。

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最終試練の階段演出も印象に残りますね。

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いちばんの強敵はアムルアムトさん(猫)でしょうか。

回避率が異常に高いのがワヤですので、無足狙いの移動技等で対処いたしましょう。

三術合成が使えるならシールドブレイカーも便利です。

 

 

 

威厳がハンパないデス様。

 

空から死の剣が降ってくる登場シーンからして神々しいっす。

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倒してもピンピンしているところからして、まったく本気を出してないっぽい。

 

 

 

シェラハ&シェリルイベントの風情もいいですよね。

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バーバラさんほんと男前。

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戦闘開始時のこの構図が格好いいと思うのです。

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一連のイベントを終えてからのこのセリフ、実にリリカル。

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以上、ミンサガは独特の世界観やテキストに満ちていていいですね。

 

ジルオールRuinaやWizardry6-8やエルミナージュなんかもそうなんですが、人間が旧き神々の世界に足を踏み入れていくような筋のRPGはとても好みです。

 

 

サガシリーズはいろいろリメイクとかスマホ展開とかしてるみたいなので、どれか手を出してみようかなあ。

そもそもサガ フロンティア以降は未プレイなので先にそっちをやるべきか。

 

 

これからも面白い物語との出会いがたくさんありますように。

 

 

ミンサガ考察「エンディング後の世界がどうなるか」 - 肝胆ブログ

 

 

「仁淀川に染む 感想」植木博子さん(郁朋社)

 

戦国時代、長宗我部元親さんの配下国人「片岡氏」の盛衰を描いた郷土小説にかんたんしました。

 

www.ikuhousha.com

 

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偶然手に入れたのですが、これはなかなかレアな題材ですね。

 

メインの登場人物は、

土地に善政を敷いたことで知られる「片岡光綱」さん、

その家臣である「藤田右馬介」さん、

藤田右馬介さんが丹波で拾ってきた娘「ゆき」さん、

片岡光綱さんの義弟で長宗我部氏の血筋持ちの「片岡直季」さん、

といったところです。

 

片岡氏は信長の野望等の戦国時代メジャーコンテンツには基本的に登場しませんが、明治期に「片岡兄弟」という政財界で活躍した有名人を輩出していますので、その先祖が善政を敷いていたんですと言われると「なるほどさもありなん」と納得してしまえたりはします。

実際に高知では、片岡光綱さん界隈由来の史跡や風習(盆踊り等)も残っているのだそうで。

 

 

小説は、片岡氏ファン、長宗我部家ファン、伊予の金子元宅さんファン、などにおすすめできる内容になっていますよ。

 

金子元宅さんの名前が出る時点で片岡氏の運命が察せられるかもしれませんが、以下、ネタバレを一部含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お話の流れとしては、永禄~天正ごろを舞台に、前半は片岡一族の穏やかな暮らし、後半は巻き気味に長宗我部家の躍進&蹉跌が語られます。

 

藤田右馬介さんが三好家に潜伏して畿内の情勢を探ってくる

 ↓

帰り道に丹波でゆきさんを拾う

 ↓

仁淀川流域における穏やかな片岡一族の治世

 ↓

長宗我部元親さんに付き従う片岡一族

 ↓

阿波・伊予侵攻あたりから長宗我部家配下の疲弊が目立ち始める

 ↓

そして現れる豊臣・毛利の大軍

 

という感じ。

 

 

順に軽く感想を述べますと。

 

地方戦国時代もので、関係者が三好家に一時仕えて中央の情勢を探る、というのは地味に新しいなと思いました。

三好家アゲ要素は一切なく、それどころか畿内丹波が「幕末ものにおける上海」みたいな「ああなったらいかん事例」的に扱われているのは残念でしたが笑。

 

続く土佐パートでは、仁淀川周辺の大自然、滋味あふれる生活ぶりの描写がまことに秀逸で、現地を訪れたくなるような魅力があります。

仁淀川の清流は現代でも有名ですから、そこにこうした歴史的な付帯要素が加わわると更に憧れを覚えてしまいますね。

 

長宗我部家の描写としては、元親さんを卓越した英雄として位置づけつつ、とはいえ振り回される配下は大変だし、我らが片岡氏もけっして器量では負けてないんだぜ的な、主家と主題を両方とも立てるようなバランス感で描かれているのが印象的です。

 

終盤の迫りくる豊臣・毛利連合軍のパートは、展開の巻きっぷりが一番印象的でしたが、金子元宅・元春兄弟が大変格好良かったので郷土史的満足度は高いです。

片岡・金子両者の四国愛、四国プライドを感じる会話が好き。

 

 

300ページほどのボリュームに、郷土愛、長宗我部家を中心とした史実動向、家族要素、恋愛要素、主従要素等々、様々なテーマを詰め込んでありますので、展開がやや散らばり気味になっていたり、あと誤字が多かったり等はありますが、片岡氏や金子氏等、四国の国人目線の歴史小説を読めたというのは非常に嬉しいです。

 

 

執筆、流通ともにレアになってしまうのは仕方ありませんが、これからも各地域で郷土史愛あふれるコンテンツが生まれていきますように。

 

 

「アクタージュ6巻感想 星アリサこそが裏ヒロインか」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

 

アクタージュ6巻、「銀河鉄道の夜」編の荘厳なフィナーレにかんたんしました。

 

www.shonenjump.com

 

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特定の本屋さんでは銀河鉄道の夜のミニパンフも同封されていてお得感がありますね。

ミニパンフの内容は、まさに劇団系のインタビュービラっぽくて面白かったです。

 

 

以下、ややネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀河鉄道の夜編、めちゃくちゃ良かったですね。

巻頭カラーに合わせてスローペース調整していた気もしますが、結果として舞台演劇的な、何度も見せ場を繰り返すような演出に繋がって、私の感動度は高まりました。

 

白眉はこの6巻で、5巻までの助走を充分に活かしたうえで、星アキラさんの体当たりの表現、夜凪景さんの“死者”の隔絶感の表現、明神阿良也さんの“成長”の表現、それぞれの凄まじさに、比喩ではなく心が震えましたよ。

 

作画表現が本当にいいですね。

単純に画力が高い、というより、各人物の感情を表す線の一つひとつ、表情、目元、構図に、本当に各人物の魂が乗り移っているかのよう。

こういうのを「漫画力が高い絵」と言うのでしょうか。

 

 

この銀河鉄道の夜編は「死とは」「幸いとは」とおよそ少年漫画と思えないようなテーマを扱い、見事にそれを描き切ったという点で大変な偉業だと思っています。

死と幸いを主軸に、振れ幅の大きな事象を演技に落とし込んで表現できているのがマジ凄い。

 

前段階で星アキラさんが「正しさ」と「ダサさ」という大きな振れ幅を魅せてくれて、観客の心を揺さぶってくれてからの。

 

明神阿良也さんの「虚無」と「幸福」、そして「別れ」と「明日へ」の振れ幅。

 

そして、台詞はほとんどないんですが、明神阿良也ジョバンニと対をなす、夜凪景カムパネルラの表情がね。

「いやだ」のシーンの半端ない「冷たく見下ろす表情」と、「僕は行くよ」のシーンの何かがあふれ出すかのような「柔らかな笑顔」の振れ幅がね。

 

 

これら舞台の全てを通して、言葉や台詞でというより、実感として「死と幸いが両存しうる」人生の醍醐味みたいなものを与えてくださっているように思います。

 

死と幸いを矛盾させずに通過し、巌裕次郎さんを救い、天球のメンバーを救い、たぶん観客の心も救っている。

 

凄いよ。

 

 

この「銀河鉄道の夜編」を、リアルタイムで読むことができて私は幸いです。

 

 

 

あと、カバー裏の「ちょばんに」と「ちよぱねるら」の圧倒的説得力に驚きました。

なんでどっちの役にもこんなにハマっているんだ。

百城千世子さんは、本当にどんな役でも異常な美しさで演じ切ってくれるんだろうな、という頼もしさがありありと。

これが天使か。

 

 

他、コミックスおまけページ。

和歌月千さんの好感度がストップ高です。
こういうメインストーリー外で進展している関係っていいですよね。

裕次郎さんの格ゲー成長力にも驚きました。
持ちキャラ誰なんだろう。やはり元とかタン・フー・ルーなんだろうか。

 

 

 

 

 

さて、感想に続いて、少し考察じみたことを。

 

 

アクタージュの主要人物の現在の立ち位置って、星アリサさんから出発している人が多いですよね。

 

詳細は不明ながら、星アリサさんは巌裕次郎さんとの仕事で役者人生を終え。

(役に入りすぎて現実に戻ってこれなくなった?) 

 

 

その後…… 

 

 

星アリサさんはプロダクション「スターズ」を立ち上げ、役に入りこまずに役者として成功できるスターづくりを志し。

 

裕次郎さんは劇団「天球」を立ち上げ、世間からは全盛期を過ぎたと見做されつつも、芝居が必要な人間たちが輝ける居場所をつくり。

 

黒山墨字さんはかつての星アリサさんの演技を求めて独自の作品づくりや役者探しに奔走してはります。

 

 

また一方で、星アリサさんへの憧れや邂逅を経て、百城千世子さんや明神阿良也さん等の若い世代が役者の道を歩き始めており。

(星アキラさんのキャリアは言わずもがな)

 

 

星アリサさんの存在に囚われていない、フリーな立場の主要人物は夜凪景さんと柊雪さんくらいなんですよね。

 

 

で、アクタージュの物語が始まり、夜凪景さんの登場、百城千世子さんの目覚め、明神阿良也さんの成長と巌裕次郎さんの死を経て……

 

 

いま、いちばん揺らいでいるのが星アリサさんだと思いませんか。

 

 

かつての自分のような悲劇を繰り返さないためにスターズをやってきたのに。

 

かつての自分のような夜凪景さんが現れ、

手塩にかけて育てた百城千世子さんもかつての自分方向に領域展開し始め、

明神阿良也さんはかつての自分の状態に陥りかけつつも巌裕次郎さんや天球の導きで悲劇を回避するという。

 

 

強い信念や価値観を持ってはる人ほど、こういう状況には揺らぎますよね。

スターズや星アキラさんの来し方も含め、実は星アリサさんはかつての悲劇以来、真の意味では救われていなかったのかもしれません。

 

 

銀河鉄道の夜編で巌裕次郎さんが救済されたように。

アクタージュの物語を通じて救済すべき対象こそ、星アリサさんなのかもですね。

 

星アリサ=裏ヒロイン説。

ラスボスとみせかけてのプリンセスハオ。

 

ていうか明神阿良也さん回想時のやや若星アリサさん、美人すぎやしませんか。

これは世の男性はおろか、時代そのものが彼女に熱狂したんだろうなと納得せずにはいられません。

 

 

ほら、ジャンプの、若い世代の活躍で大人が救済される展開、イイじゃないですか。

 

ドラゴンボールの神様とか。

キン肉マンの完璧超人始祖とか。

幽遊白書の戸愚呂弟さんや黄泉さんや躯さんとか(仙水さんはちょっと違うかな)。

NARUTOの親世代師匠世代先輩世代なんてそんな面々ばかりだし。

 

 

そんな訳で、少年誌で美熟女の過去や心情を掘り下げる必要があるのかはちょっと判断できませんが、叶うことならアクタージュの連載が続く中で星アリサさんもなんか幸せな感じに救われて更には江田島塾長ばりの「先達の本気」みたいな演技シーンで読者を震撼させてくれたりしますように。

 

 

「アクタージュ5巻感想 映画と舞台の違い」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ) - 肝胆ブログ

「アクタージュ7巻 感想 天知心一氏の目的は」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ) - 肝胆ブログ

 

 

鎌倉「満福寺の鎌倉彫源義経襖絵」

 

鎌倉の満福寺さんにお参りしたところ、源義経さんの生涯を描いた素晴らしい鎌倉彫の襖絵を拝見することができてかんたんしました。

 

www.manpuku-ji.net

 

↑オフィシャルHPのムービーが超きれいで驚きますよ。

 

 

満福寺さんは鎌倉の腰越にあります。

腰越といえば源義経さんの「腰越状」で有名ですが、その腰越状をしたためたのがこの満福寺さんだよと伝わっているのだそうです。

 

↓(参考)腰越状wiki

腰越状 - Wikipedia

 

かんたんに言えば義経さんが頼朝さんに「お兄ちゃん許して」と書いた手紙ですね。

 

 

 

そういう経緯があり、この満福寺さんは源義経さん推しなのです。

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個人的には、開山が行基さんというのも熱いなと思います。

 

 

そして、200円でお寺の中を拝観させていただけるのですが、これが200円とは思えないほど見どころが多くて実にイイのですよ。

オフィシャルHPトップのムービーでも出て来ますが、家紋細工の天井とかね。

 

 

とりわけ、源義経さんの生涯を描いた鎌倉彫襖絵の風情が素晴らしいの。

西国での対木曽義仲さん対平家一同の晴れやかな場面よりも、腰越状に代表される源義経さんの落日の場面中心にセレクトされていてですね。

 

落ちゆく義経さん、矢を浴び絶命する弁慶さん、そして漂う静御前さん。

この静御前さんの悲哀の表現がめちゃくちゃいいんすよ。

義経さんを想って舞う場面の襖絵とかね、思わず「ほあぁ」と動けなくなってしまうくらいに。

 

 

静御前さんの物語にあらためて接してみると、非常に胸が打たれるものがありますね。

伊達に800年以上かけて練り上がった物語じゃないな、と再発見したような気分に。

 

平家物語など、治承・寿永の乱の物語では魅力的なヒロインが多数登場しまして、ファンも「巴御前派」「静御前派」「建礼門院派」など推しが分かれることに定評がありますよね。

さいきんのビジネスシーンの風潮を踏まえれば、巴御前さんなんかは人気がいっそう高まりそうな気がいたしますし。

モーニングで連載されていたかわぐちかいじ先生の「ジパング 深蒼海流」のような強靭かつ業が深いスタイルの二位尼さんも素敵ですし。

 

そうした強さや自立性には欠けるものの、静御前さんや建礼門院さんのような、世の移ろいに翻弄された女性の、あわれ、追想、流転、の儚い味わいもいいよなあと。

しみじみ感じてしまいました。

 

おすすめですよ、満福寺。

 

 

 

 

春の終わりから初夏にかけて、緑が鮮やかな時分の鎌倉はいいですね。

 

龍口寺

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御霊神社近く

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長谷寺のもみじ

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なかなか鎌倉にはしょっちゅう行けませんが、この鎌倉のよき風情が今後も保持されていきますように。

 

平家物語でも太平記でも戦国時代でも多くの人物がこの地で命を散らしていますが、いまは静かに眠ってはるといいですね。

 

 

 

山岡鉄舟小説「命もいらず名もいらず 感想」山本兼一さん(集英社文庫)

山岡鉄舟さんの生涯を描いた小説「命もいらず名もいらず」がストイック極まりない精神性推しの展開の数々でかんたんしました。

 

books.shueisha.co.jp

 

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幕末~明治期に活躍しはった山岡鉄舟さんの生涯を1,000ページ以上にわたって丹念に描写してくださる長編小説になります。

 

おおきくは史実や有名な逸話に沿って進んでいきますので、何がネタバレで何がネタバレでないのかの線引きは難しいのですが、以下、気になる方はご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山岡鉄舟さんといえば、

などなどで有名ですね。

強くて、将軍や天皇や市民を守って、あんパンを配って歩くという意味では日本史上最初のリアルアンパンマンと言えるかもしれません。

 

 

章立てに沿ってざっくり小説の流れや見どころを紹介します。

 

第一章 遺言

飛騨高山で過ごした少年時代。

鉄舟さんは子どもの頃から非常にストイックな人物として描写されています。

要領のよさなんて欠片もない感じが好感度高いです。

 

 

第二章 鬼鉄

江戸に戻って剣や禅の修行に励む様が描写されます。

黒船がやってきて世相が騒然とする中、鉄舟さんは山岡静山・高橋泥舟兄弟に出会ったり、山岡家に婿入りしたり、講武所の剣術世話心得を務めたりと着実に人生を前に進めている感じです。

急逝してしまいますが、山岡静山さんの人物描写が爽やかで格好いいですよ。

 

 

第三章 攘夷

清河八郎さんが攘夷方面で大活躍する章になります。

その関係で近藤勇さんや芹沢鴨さんも登場したりも。

史実の清河八郎さんの評価は様々のようですが、この小説では山岡鉄舟さんと好対照をなす人物として、非常に突き抜けた魅力・実力の持ち主に描かれています。

 

 

第四章 朝敵

いよいよ山岡鉄舟さんが歴史に名を遺す活躍をしはる章になります。

幕府が朝敵になってしまう中、山岡鉄舟さんはなんやかんやで徳川慶喜さんに近いところでお役目をいただくことに。

江戸の焼き討ちを回避すべく駿府西郷隆盛さんのところに行く場面が活躍的にはハイライトですが、個人的にはその後の上野彰義隊の顛末を制止できずに苦しむ鉄舟さんの場面の方が好き。

 

 

第五章 流転

徳川家の皆さんと一緒に駿府に移動し、大量の失業者の食い扶持を得るべく牧之原台地の開拓に着手したりする章です。

この章あたりから禅の描写が一層増えてきます。

龍澤寺の星定さんへの参禅を願って山門の軒下で座禅を組むシーンが好き。

 

 

第六章 大悟

明治天皇の侍従に就任しつつ、禅の修行に更に励んで大悟に至る章になります。

木村屋のあんパンも登場します。

天龍寺の滴水老師から蹴りを入れられまくりながら禅に励むシーンがとても好みです。

 

 

第七章 春風

剣の道でも遂に目標だった浅利義明さんを越え、一刀流を継ぎます。

その後も様々な方面で鉄舟さんらしく活躍し、明治二十一年(1888年)に53歳で亡くなるまでが描かれています。

死の直前にあっての、勝海舟さんや三遊亭円朝さんとの会話がイイですよ。

 

 

 

 

おおむね、世人が鉄舟さんに描くイメージ通りに物語を膨らましてくれている印象で、素直に楽しみやすい小説ではないでしょうか。

 

個人的には、山本兼一さんは某作品の大胆な創作エピソードの解釈違いが長年引っかかっていたのですが(その人が無理やり側室つくりますかね的なやつ)、この「命もいらず名もいらず」は無理に逸話を創作せず、世に知られている逸話を中心に話を組み立て、かつ、描写がストイックな精神面方向に重きを置いている点が気に入りました。

 

我ながら、歴史小説を読んですぐに史実がどーのこーの言うのがよくないですね。

(自分だって生半可な歴史知識を書いたりするのでなおのことタチが悪い)

先入観を抱かずにもっと素の心で物語を楽しめるようにならなければ。

 

 

私ももう少しきちんと生きて、山岡鉄舟さんが見出したような禅の境地がちょっっとは身につきますように。