麒麟がくる、のっけから面白いですね。
畿内戦国史をがっつーり描いてくださる気配にかんたんしました。
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物語は天文十六年(1547年)から始まりましたね。
米の刈入れが終わっていましたので、季節は晩秋ごろでしょうか。
畿内史的に1547年秋といえば舎利寺の大戦が終結したタイミング。
細川氏綱さんの反乱が三好四兄弟に粉砕され。
足利義晴・義輝父子は細川晴元さん・六角定頼さん・三好長慶さんという畿内の大物全員から睨まれて身の置き所がちょうどなくなったところです。
(将軍就任直後だった少年義輝さんの屈辱は察して余りあります)
この後、1548年に三好長慶さんが細川晴元さんへ謀反。
1549年に三好長慶さん大勝利。
1550年には細川晴元さんに味方した足利義輝さんをも京から追放し、三好長慶さん中心に時代が回っていくことになります。
ドラマでは鉄砲も出てきました。
史料で確認できる鉄砲初戦果は1550年の中尾城の戦いで足利・細川・六角軍が三好家の侍を鉄砲で撃ち殺したというものですが、この時点で足利義輝さんが籠る中尾城には対鉄砲用の防壁が備えられていたみたいですから、たぶん1549年の江口の戦いかその以前頃から三好家では鉄砲を実践投入していたのでしょう。
そして、主人公の明智光秀さんが京に近づけば、やたら数の多い三好家の侍たち。
三階菱紋の幟を掲げ、阿波藍由来か薄藍色の着物を着てきびきび行進する姿にタダゴトじゃない集団の雰囲気があってよございましたね。
同様に治安の悪い京で浅葱色の隊服を着て活躍した幕末田舎侍集団オマージュ感もあって嬉しく思ったり。
松永久秀さん(吉田鋼太郎さん)もさっそく大活躍で何よりです。
このドラマでは三好家・足利家がかなり濃厚に取り上げられそうでとても嬉しい。
「大河ドラマ:明智光秀」とくれば、下手したら「第1話:永禄の変」とかになってもおかしくないのに。
もしかしたら中盤まで三好家のドラマを引っ張ってくれるんですかね、マジですか。
嬉しさのあまり、2秒で妄想した今後の展開予想を以下に書いておきます。
三好家ファンの痛い願望に過ぎないので一笑に付していただければと存じます。
最終話まで見た後、予想が何個当たったか振り返ってみようかな。
予想①:三好長慶さんは相当アゲられる
三好長慶さん(山路和弘)さん、もの凄く悪そうで老練そうなキービジュアルになってございますが。
三好長慶/山路和弘 | 登場人物 | 『麒麟がくる』
これは、実は表面上の態度は悪辣系であったとしても、やることなすこと全てが光の戦士となる前フリじゃないでしょうか。
第1話で、(もしかしたら実態以上に)荒廃した京の都を見せてくれましたよね。
あれ、どう考えても「三好政権による京の治安回復」の絵をこれから際立たせたいからだと思うんですよ。そもそも1話時点で三好家の侍だけは近代軍隊みたいな行進をしていて、明らかに躾が行き届いていますよね。
山路和弘さんの卓越した演技力&イケボイス、三好長慶さんの史実で成した功績&魅力、それらを視聴者に次々とサプライズギフトしてくださったら嬉しいな。
「三好長慶とは」分かりやすい最近の研究とかの解説 - 肝胆ブログ
予想②:松永久秀さんはグチを吐きつつ長慶さん大好き
松永久秀さんの明智光秀さん対応を見るに。
相応に久秀さんも長慶さんへのグチを溜めてると予想しています。長慶さん、久秀使いが荒いですからね。
ただ、明智光秀さんも心から斎藤道三さんを嫌いでないのと同じように。
久秀さんも長慶さんのことを「ムカつく。でも、好きぃ……」というおっさんずラブなんじゃないすかね。
次点予想としては、成り上がり梟雄野心を前面に出して、何なら従来説通りに三好家に酷いことするんだけど、ドラマ後半で織田信長さん時代になってから「やっぱり長慶様の頃が良かったよぉ~~」と泣いてくれるだけで全三好主従ファンに逆転ホームラン打つことになる吉田鋼太郎さんでもいいのよ。
もう吉田鋼太郎さんなら何をしてもズルい、かわいい、になることが約束された気がしますので、伸び伸び楽しく演じてくれたらいいなと思っています。
長慶さんによる京の単独支配、復興していく京の様子、繁栄する畿内の様子、名門守護勢力を次々に撃退する武威等を見るにつけ、ピュアな光秀さんは「ほぁぁ……しゅごい……」となると思われます。
そもそも松永久秀さんに対して既に好感を抱いておりますしね。
予想④:明智光秀さんは足利家が大事、故に三好愛に葛藤
光秀さんはインテリで、四書五経読んで育っていて、土岐氏・源氏の貴い血と誇りを受け継いだという自意識も持っておりますので。
頭で考えたら幕府は貴い、足利将軍は貴い、身分の上下は必要、という常識をけっこう強力に持っていると思うんですよね。
ドラマの足利家関係者、かなり魅力的な布陣になっていますし。
そうなると、頭では足利家大事と思いながら、身体(体感)は三好家イイじゃんになってしまっている光秀さんとしては、長慶さんがやること義輝さんが遭うことの狭間で葛藤しちゃうわけですね。
すなわち久秀さんから「口ではそんなこと言いながら身体は正直だな」とか言われてしまう光秀さんが期待されるのです。
予想⑤:明智光秀さんが三好家・足利家の和睦(1558)に貢献
大河ドラマですからね。
ここは明智光秀さんが六角義賢さんの手柄を奪う局面ではないでしょうか。
主人公ならではの活躍で三好家に貸しをつくって、和睦を促し。
主人公ならではの活躍で足利家に貸しをつくって、和睦を促し。
たぶん儒教マインドを持っている人からすれば、1558年の足利-三好体制って理想像だと思うんですよね。
四書五経って家格マインドガチガチと思われがちですけど、「天下のために人を得る者、之れを仁と謂う」(孟子)みたいに、イケてる君主が有能な人物を登用することこそが真の仁! みたいな考え方も持ってますからね。
寛恕の心を以て三好長慶さんと手を結んだ足利義輝さんはまさにそういう仁の持ち主ですよね的なアゲ方ができるんじゃないでしょうか。
要するに、足利家が貴いという理想はそのままに、真の実力者が足利家を支えることで世に静謐が訪れ麒麟も踊り出す的な理想を光秀さんが持つに至ると予想しますよ。
予想⑥:長慶愛をこじらせた光秀さんが三好残党絶許マンに
そんな風に足利-三好体制に理想を見出した光秀さんですから。
三好一族連続死亡事件にたいへん胸を痛め。
三好義継さん・三好三人衆による永禄の変に対してはそりゃもう激怒も激怒、もちろん松永久秀さんに味方しつつ、「お前ら長慶さんのことが全然分かってない」とか吐きながら長慶さん亡き三好家なんて存在しない方がマシと断じるようなこじらせ外野アンチになるんじゃないですかね。
もちろん四国政策では長宗我部家推しになって三好家を徹底的に嫌がらせ。
予想⑦:光秀「長慶再び主義」と、信長「長慶反省主義」
久秀さんが年下の長慶さんに尽くしたように。
光秀さんもやがて年下の信長さんに仕えることになります。
信長さんも大変な実力者ですし、足利義昭さんを立てて上洛し新政権を開くのに貢献されますから、光秀さんは信長さんに新たな麒麟の到来を感じてドキドキしますと。
しかし、だんだん色々起こって、結果、光秀さんが理想主義者として長慶さんのように足利家を繋ぎとめようとするんですけど、信長さんは現実主義者として「これからは自分でやるしかない、三好長慶と同じ轍は踏まない、というか三好長慶も本音は現実主義者だから俺と同じ判断するはず」的な解釈違いを起こすのではないかなあと。
思い浮かぶ未来がだんだんズレ始めて、光秀さんが再び葛藤しだす……的な。
もちろん信長さんが長慶さんに劣るみたいな陳腐なアレではなくて、異なる二つの正義、信長さんだけが持っている君主の責任感使命感、みたいな大人のドラマになっていくことを期待です。
予想⑧:久秀さんは「信長と長慶の違い」を指摘し爆ぜ散る
光秀さんと仲の良い久秀さんがとうとうお亡くなりになるにあたり。
ドラマの前半中盤後半を通して関わってきた久秀さんが、長慶さんと信長さんの決定的な違いを語るような、光秀さんにとっては呪いにしかならないような指摘を遺して爆発するんじゃないでしょうか。
まあ爆発はしなくてもいいんですけど、せっかくだからウルトラマンタイガのOPくらいの勢いで爆発してほしいような思いもあります。
そう、ここまで来たらエンディングはひとつですね。
本能寺の変とは三好長慶さんの解釈違い論争から起こった悲劇だったのです。
これにはザ・マンさんも苦笑い。
以上、
麒麟がくるの話に見せかけて実は全く関係のない話をたくさん書いてしまいました。
最後まで読んでしまった方がいるのなら本当にこんな内容で申し訳ありません。
麒麟がくるについてはもちろん三好家の活躍を楽しみにしておりますが、実はそれ以上に「直虎」のときの寿桂尼さん(浅丘ルリ子さん)や榊原康政さん(尾美としのりさん)のような、そのドラマならではの輝きを放ってくださる方に出会えることを心待ちにしています。
尾美としのりさん、今回も土岐頼芸さん役で登場してくださるみたいですし、楽しみですね。
なんか色々大変とのことですけど、役者方やスタッフ方が実力を存分に発揮し、事故なくクランクアップを迎えられますように。
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