「ミナミの帝王 吠えろ負け犬編」にかんたんしました。
ミナミの帝王と言えば、トイチの銭貸し萬田銀次郎を主人公とした
ヒューマンドラマの傑作である。
話の筋はだいたい決まっている。
(特にVシネマ版)
①萬田はんが駄目な大人に銭を貸す
②実は、駄目な大人は悪い連中に食い物にされている
③萬田はんは悪い連中から銭を取りたてる
この基本軸に、時事ネタやらヤクザネタやら色恋ネタやらを
ぶっ込んで話を盛り上げていくのだ。
ただ、原作漫画ではこの基本軸から外れて、
萬田はんがやや傍観的にドラマを見守るケースも多い。
この「吠えろ負け犬編」もそのひとつ。
原作漫画の最新シリーズで、
紳士のジャンプこと「週刊漫画ゴラク」で読むことができるぞ。
ここからネタバレ。
「吠えろ負け犬編」のあらすじはこんな感じだ。
①三人の若者……映画監督志望、ボクサー崩れ、ITマニアがいる。
②三人は「オーチューバー」になってひと稼ぎしようとする。
(その為、萬田はんから銭を借りて機器を揃える)
③「オーチューブ」のPVを稼ぐため、三人は
「ミナミのアホがやってもた」シリーズを思いつく。
④第一弾。道頓堀を全裸で疾走する。
⑤第二弾。警察官に逆職務質問をする。
⑥第三弾。
「ヤクザに喧嘩を売ってもた」。
ここから話が急展開する。
ヤクザとの喧嘩動画(しかも勝ってもた)は大変な数のPVを稼いだ。
そのせいで。
⑦面子を潰されたと日本最大の暴力団「浜口組」の若頭「沢木はん」が
乗りこんでくる。
⑧萬田はんの仲介で沢木はんのイメージアップ動画を撮影することに。
⑨その途中で、沢木はんに恨みを抱くチンピラが因縁をつけてきた。
カメラの前。沢木はんはしばらく辛抱していたが……
ここからこの漫画は異常な熱量を帯び始める。
端的に言おう。
当然、沢木はんはブチ切れたのだ。
残りページの全てを使って、沢木はんはチンピラを叩きのめす。
その描写、郷先生の作画の勢いが素晴らしい。
画像を貼れないのが残念なくらいである。
沢木はんの拳、電気を纏っている。
ミナミの極道は念能力や精霊魔術の類を体得しているのかもしれない。
どう見ても即死級の殴る蹴るが延々と続く。
「面白ければいいんじゃい!」と言わんばかりの突き抜け感。
もはや金融漫画でもなんでもなくなってきている気がするが、
このシリーズの主人公である映画監督志望の若者はこの間も
撮影を続ける。
そして、「沢木はんイメージアップ作戦」にそぐわないことを
理解しながら、この動画をオーチューブにアップしたのだ。
オチの説明は省くが、とても読者満足度の高いシリーズだった。
近頃は「ブロックチェーン編」や「腎臓透析編」など、
割と固い内容のシリーズが続いていたのだが。
このシリーズはとにかく「作者の筆が乗っている」感じがあった。
週末に読みたい漫画とは、こういうやつなのだ。
そのうちコミックスやコンビニペーパーブックも出るだろう。
興味を抱いた方は是非一読いただきたい。
最近の漫画ゴラクはいい。
同じ天王寺先生原作の「白竜」。
今週は「豊波市場移転問題」の利権を追求し始めた白竜が、交渉相手の都知事の手先を問答無用でビルからブン投げ殺害。
ますます今後の展開から目が離せない。
シリーズを最後まで連載できるのかも含めて注目だ。
永井豪御大の「激マン!」。
この漫画も作者が楽しんで描いている感じがする。
バイオレンスジャック編もしてほしいな。
ケン・イシカワ追悼企画とかもしてほしいな。
マジンサーガの続きも連載してほしいな。
「真!!男塾」。
若き日のトランプを入塾させていた。
勢い任せにもほどがあるだろう。
「食の軍師」は安心のクオリティ。
「松永久秀が主役のけしからん漫画」も始まったことだし。
これからも週刊漫画ゴラクを読み続けられますように。