倉木麻衣さんのアルバム「Smile」にかんたんしました。
音楽の素養はないけれど、
昔から倉木麻衣さんの歌が好きだ。
染み入るというか、
「市民ケーン」のカメラワークっぽいというか。
ぶつけられるでもなく、
巻き取られるでもなく、
引きずりこまれるでもなく、
仰ぎ見ることを強いられる訳でもなく。
そっ……と、背中に手を当ててくれるような感覚。
体温を微かに感じるか感じないかの触れ合い。
静かに励まされるような、ゆっくりと共感してもらえるような。
倉木麻衣さんの歌声には、そんな魅力があるように思う。
底知れぬ天性を見せつけてくれた「delicious way」。
その翼が存分に広がったかのようだった「If I Believe」。
いつのまにこんな素敵な大人になったんだろうと驚かせてくれた
「touch Me!」と「FUTURE KISS」。
そして「Smile」。
この久しぶりの新アルバムもまた、期待を裏切らない素晴らしさだった。
1曲1曲が短めで、頭から順番に聞いていきやすい構成。
1-2曲目で喰いつかせてもらって、
中盤はゆっくりと暖めてもらって、
後半になるほどポジティブな力が満ち満ちて。
アルバムすべてを通じて、驚くほどの充実感を得ることができる。
BonusDiscの「I Like It Remix」がまた良い。
この曲だけを別に切り出したのがよく分かる。
単品で聴くならこれだ。最高だ。
なんだろう、倉木麻衣さんがもはや「歌手」の枠に留まらなくなってきたように思える。
まるで歩くパワースポットだ。
いてくれるだけで周りが活気づく、希望を抱くことができる。
そんな存在であろうことを確信させてくれる。
どうしてアルバムを聴くだけでそんな風に考えてしまうのだろうか。
歌とは、それほど歌い手の「個性」を届けてくれるものなのだろうか。
この満足感。「分け与えられた」ような嬉しさ。
こんな特別な経験を贈ってくれる倉木麻衣さんは。
彼女自身がきっと、充実した経験を積み重ねてきたのだろうな。
いいなあ。
いつか、こんな孫ができますように。