映画「グランド・ブダペスト・ホテル」にかんたんしました。
以下、描写を中心にネタバレを含みます。
ズキューンドゴーンうぎゃああ!
みたいな映画ばかりを見ていたので、
久しぶりに人間ドラマ的な映画を見たくなりました。
TSUTAYAさんのおすすめコーナーから、
ジャケットでなんとなく惹かれて借りてきたのがこの映画です。
なんか有名な監督&作品らしいのですが詳しくは知りません。
映画はあまり色んな情報を仕入れずに観たい方です。
ざっくりしたあらすじを紹介すると、
回想の回想で第2次大戦前くらいの時代に戻る
↓
<ここから1930年代>
コンシェルジュのグスタヴがロビーボーイにゼロを雇う
↓
グスタヴが上得意の婆様の相続争いに絡む
↓
グスタヴが陰謀で拘留所に収容される
↓
脱獄する
↓
真犯人ドミトリーの手先ジョプリングと手がかり獲得競争
↓
無実を証明し、グスタヴが婆様の遺産を得る
↓
戦争が始まり、グスタヴは軍に銃殺される
↓
ゼロがグスタヴの遺産を相続
↓
<ここから1960年代>
以上の話を、年老いたゼロが作家に話して聞かせる
↓
<ここから1980年代>
以上の話を、作家が回想している
……という感じです。
ストーリー構成はそこまで入り組んだものではありません。
それよりも、
鮮やかな色彩、
絵画的な画面づくり、
テンポよい展開、
それを支える役者陣の好演、
小気味よいBGM、
などなどがこの映画の特長であり肝であるかと思われます。
ちゃんとした人が見たら、
東欧風のパステルで華やかな砂糖菓子の中に、
戦争の悲劇というビターさホロリさが隠されている、
深い、これは実に深い作品だ。
といった感じの評価になるのかもしれません。
私個人としては、
ビターさをシリアスに評価するより、
ビターを覆っている砂糖の方を絶賛したいと思います。
苦い物語なんて幾らでもありますが、
こんなにコケティッシュで
観ているだけでくあぁ東欧行きてえとうっとりさせられて
サクサク進んでうひゃひゃと笑えてたまに冷や冷やしてきっちりスッキリして
エンドロールのBGMと共にああなんかすっごい上質な時間過ごしたな、
と思わせてくれる映画なんて滅多にないんですもの。
0:10の赤いエレベーター。
0:17のメンドル箱に結ぶリボン。
0:21のグスタヴがゼロを庇うシーン。
0:28のドミトリーパンチ→ゼロパンチ→ジョプリングパンチ。
0:31の絵画すり替え。エゴン・シーレで退廃してろ的な。
0:36の第19犯罪者拘留所ゲートのでーんとした迫力。ここは映画館で観たかった。
1:05の鍵の秘密結社。
1:17のスキーとソリのチェイス、BGMいい仕事からの対ジョプリング決着。
1:20のゼロ。きびきびとグスタヴを導く。めっちゃクール。
1:25のホテル最上階を舞台にした銃撃戦。
1:27のピンク。ピンク。ピンク。
1:28のビターな締めくくり。甘味の後のコーヒー的役割。
すごい映画だ。
100分でよくこれだけ場面を重ねて、わくわくを高めてくれるものだ。
全体的にカメラワークと、色の組み合わせがいいんですよね。
絵画っぽく見えるように工夫しているのかな?
主となる役者だけに焦点を当ててて、周囲のモブがぼやっと油絵みたいに見えるの。
ルノワール? モネ? とかの印象派っぽい感じの彩色。超おしゃれ。超憧れる。
映画が面白いとハピネスを感じます。
適当に借りた映画だとなおさらです。
2回観ました。また記憶が薄れた頃に観ようと思います。
さあ、次にTSUTAYA行く時は。
ずっと貸出中になっているボトムズ6巻が返却されていますように。