「百人一首新事典 マンガ+解説で覚える!」という本にかんたんしました。
図書館で見つけました。
子ども向けに百人一首を教える本なのですが、
内容が充実していて、大人向けの入門本としても適しています。
それにしても「受験研究社」ってすごい名前ですね……。
構成としては、各ページごとに
・和歌
・現代語訳
・詠み手の紹介
・解説
・場景を説明するマンガ
・場景にちなんだ写真
・語句
などが簡潔にまとめられております。
文字ばかりにせず、子どもや初心者を飽きさせないように
工夫されているところに好感を抱きました。
私は百人一首かるたをやったことがありませんし、
すべての歌を覚えている訳でもありません。
でも、たまに歌集やこういうとっつき易い本を
手に取ってみるのは楽しいものだと考えています。
この本を読んで、あらためて気になった歌を引用します。
右近
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
(忘れられてしまった私の身のつらさは、何とも思いません。ただ、私との永遠の愛を神に誓ってしまったあなたの命が(縮まりはしないかと)惜しまれます。)
失恋を詠んだ女性の歌ですが。
……遠回しに脅迫していますよね、これ。
相手の男性が不審死しても、「神罰」ということで処理されそうで怖いです。
みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ
(宮中の門を警護する兵士のたくかがり火のように、私の心の炎も夜は燃え上がり、昼は消え入るばかりに物思いに悩んでいることです。)
明暗のコントラスト描写が素敵です。
昼間はシュンと物思い……恋は悩み多きもの……みたいな解釈がされる歌だと思いますが、
よく考えると「昼は消えつつ」って「賢者モード」感があります。
ひょっとしたら「勢いで迫ってもうたけどなんであんな女に……後がめんどい……」
的な真意が込められているのかもしれません。
そうだとしたら平安京の男もほんま最悪ですね。
あと、どうでもいいのですが、
紫式部の歌(めぐり逢ひて……)のページに出てくるマンガの、
紫式部の友人が異常にしゃくれててすごく気になります。
と、こんな感じでなかなかおすすめの本です。
子どもでも大人でも、古典に親しんで損はないと思います。
いつか、私に坊主めくりを教えてくれる友達ができますように。