肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「装甲騎兵ボトムズ(TV)」高橋良輔監督(日本サンライズ)

 

いっぱい語りたいので、ちょっと長い記事になります。

テレビシリーズの「装甲騎兵ボトムズ」(全52話)を視聴し、
その格好よさにかんたんしました。

 

ボトムズWeb

 

 

ボトムズ……最低野郎たちの挽歌……
ご存知の方も多いような、それほど多くもないような。

ネットをよく見る方なら、こんなコピペを見たことがあるかもしれません。

■一般人の認識

ガンダム:安室とシャーがたたかう話
エヴァ:パチンコ、あやなみが可愛い
マクロス:歌う
ギアス:何それ
ボトムズ:アストラギウス銀河を二分するギルガメスとバララントの陣営は互いに軍を形成し、もはや開戦の理由など誰もわからなくなった銀河規模の戦争を100年間継続していた。
その“百年戦争”の末期、ギルガメス軍の一兵士だった主人公「キリコ・キュービィー」は、味方の基地を強襲するという不可解な作戦に参加させられる。
作戦中、キリコは「素体」と呼ばれるギルガメス軍最高機密を目にしたため軍から追われる身となり、町から町へ、星から星へと幾多の「戦場」を放浪する。
その逃走と戦いの中で、陰謀の闇を突きとめ、やがては自身の出生に関わる更なる謎の核心に迫っていく。


よくできたコピペだと思います。

私もボトムズは遠い昔に再放送で数話見たことがある気がするだけで、
あとは第2次スーパーロボット大戦Zマジンガーとゲッターの次くらいに
愛用していた程度の知識しかありませんでした。

(主人公のキリコがとても格好いいので印象に残っていた)


で、最近TSUTAYAでレンタルしているのを見つけたので、
何箇月かかけて全52話を観てみたのです。


観た結果……


観てよかったです!
こんなに素敵なラブストーリーだったのか! と驚きました。

何よりキリコが本当に格好よい。
ボトムズこと登場メカ(AT)がいい。
ストーリーに見応えがある。
主題歌とBGMに嵌まる。

これは……昔からボトムズの世界観に夢中になってしまう野郎どもが
多いのも納得です。

もっと早く観ていれば、私も古参の最低野郎になっていたことでしょう。

これからはルーキー最低野郎としてOVAの視聴に移ろうと思います。

 

折角なので、ボトムズの魅力を私なりに書いていこうと思います。
ネタバレ要素を含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 


ストーリー

 


大まかなあらすじは冒頭のコピペの通りです。

<オープニング>
銀河規模の戦争が終わる頃、機密作戦に参加していたキリコは
「素体」と呼ばれる謎の女を発見してしまう。


<ウド編(第1クール)>
「素体」(最高軍事機密)を見てしまったキリコは軍や「秘密結社」から
追われる身となり、「ウド」という宇宙の吹き溜まりのような町に潜伏する。

ウドでは秘密結社と繋がりを持つ「治安警察」と敵対することに。

治安警察の中には、オープニングで出会った「素体」の女がいた。
女の正体は「パーフェクトソルジャー(PS)」と呼ばれる人工的に
肉体や反射神経を強化された兵士だった。

戦いの中、キリコは素体の女のことを何故か「フィアナ」と呼んでしまう。

フィアナ(素体かつPS)もまた、誕生直後に初めて見た人間である
キリコに惹かれていた。

治安警察と軍が衝突し、ウドが灰燼と化す中、キリコとフィアナは
離ればなれとなりながら町を脱出する。


<クメン王国編(第2クール)>
傭兵となったキリコは内乱が続くクメン王国にいた。

相手側はウドの治安警察と同じく、「秘密結社」と繋がりを持っていた。
ので、相手側のところにフィアナがいる。

キリコは戦場で青い機体の敵と相対する。
その実力は「パーフェクトソルジャー」そのもの。
キリコは相手のことをフィアナだと勘違いするが、相手の正体は
二人目のPSこと「イプシロン」だった。

この内乱にも軍が介入してきて相手側の勢力は壊滅。
キリコはフィアナを連れてクメン王国からロケットで脱出。


<謎の宇宙船編(第3クール)>
クメン王国から宇宙に逃れたキリコとフィアナは、謎の宇宙船に取り込まれた。

宇宙船の中には誰もいない。

とりあえずフィアナといいムードになりかけたところ、
突然船内に「レッドショルダーマーチ」が鳴り響く。

モニタに映し出されるレッドショルダーの暴虐な戦記映像。
そう、キリコは「吸血部隊レッドショルダー」の生き残りだったのだ。

自分の穢れた過去を思い出したキリコは苦しむ。


<惑星サンサ編(第3クール)>
宇宙船が辿り着いたのはレッドショルダーがかつて荒らしまわった惑星サンサだった。

キリコはかつてレッドショルダーの手で家族を失った女に命を狙われる。

加えて、秘密結社の追っ手としてイプシロンが襲来。

死闘の果て、キリコはイプシロン勝利する。
そのことはすなわち、キリコがパーフェクトソルジャー以上の戦士であることを
意味していた。


<惑星クエント編(第4クール)>
キリコの正体は、何千年にも亘る戦争の果てに出現した「異能者」だった。

そして、全宇宙の歴史は数千年前の異能者である「ワイズマン」の手で
影から操作されていたことが判明。

ワイズマンはキリコを自らの後継者に選ぶ。

キリコは仲間を裏切り、秘密結社を従え、ワイズマンのもとへ向かう。
(秘密結社の正体はワイズマンの尖兵だった)

ワイズマンがキリコに力を引き継ごうとした瞬間、キリコは芝居をやめ、
ワイズマンを滅殺する。

「たとえ神にだって、俺は従わない」

神殺しとなったキリコは、自分の力を誰からも利用されないよう、
また、フィアナと同じ時を過ごすことができるよう、
フィアナとともにコールドスリープに入る。

 

以上。
すみません、軽く触れるつもりが長くなりました。



ストーリーの魅力は……重厚なSF史劇を舞台装置として活用しながら、
キリコとフィアナのラブストーリーを描き切ったことにあると思います。

レッドショルダー、パーフェクトソルジャーという互いの出自。
陰謀と虚実に彩られた二人の出会い。
戦争で幾度も引き裂かれる邂逅。
イプシロンというライバル。
そして、神と運命の克服。

恋を盛り上げる要素がすべて詰まっているといっても過言ではありません。

むせ返るような戦闘シーンに心躍らせつつ、全52話を通して背骨となっている
キリコとフィアナの関係に注目してみましょう。


……それにしてもフィアナさんがラストまで生き残ってくれてよかった。

こういう位置づけのキャラって、40話くらいで死ぬイメージがあったもので。
コールドスリープ後の運命がどうかはともかく、最終話でようやく二人が
安息できたことは何よりのハッピーエンドだと思います。

 

 

登場人物(キリコの魅力)

 


ロッチナさんの渋すぎる次回予告(本編の役割はキリコストーカー)や
ココナさんの親近感の湧くウザかわいさが大好きなのですが、
クメン編の登場人物はみんなキャラが立っていて超好きなのですが、
魅力的な人物が多すぎるので一人ひとりに触れるのはやめておきます。


主人公のキリコ・キュービィー

この方は“超人”“異能者”と呼ぶに相応しい強さを持った人物です。
他のロボットアニメ全般と比較しても、キリコさんほどのパイロットは
そうそうおりません。

パイロットの腕で見ればガンダムアムロさんやマクロスのマックスさんなどの
怪物も思い浮かびますが、こと「生き残る」一点にかけてはキリコさんがすごい。


キリコさん、けっこう負けてるんですよね。

治安警察や軍にもしばしば追い詰められているし、
イプシロンさんにはしばしばボコボコにされたし。

「全話を通して無傷のまま無双しました」という訳ではないのです。

ですが、キリコさんは撃墜されつつも絶対に生きて帰ってきます。
むしろ撃墜されてからが本番なんじゃないかというくらいタフです。
半分はロボットアニメ、半分はコマンドーって感じに。

更に、回を追うごとに操縦技量もめきめきと上がっていき、
最終的には何度か負けたイプシロンをも圧倒するようになっていきます。

敵が強くなれば、その分キリコさんも強くなって、絶対に生き残る。

こんな兵士は怖すぎます。畏怖の対象です。

 

そして、「強さ」以上のキリコさんの魅力。

それは「人格」であります。
キャラクター性に惚れ惚れしてしまうのです。


かわいい。

無口なのに、内心ではけっこう饒舌なのです。
毎話毎話、ラストシーンなどで詩というか散文を語ってくれます。

そこは俺にとって、懐かしい匂いのするところだった。 手には冷たい鉄の肌触りしかなかったが、慣れ親しんだ温もりが蘇ってきていた。
俺はおふくろの胸に抱かれたような気持ちになって、いつの間にか眠ってしまった……。

クメンでの旅が終わった。自分だけのために選んだ地獄をフィアナのために捨てたのだ。愛……かつて俺が愛のために戦っただろうか。

ココナ、ゴウト、バニラ、シャッコ。みんなに会えて良かった。そして、フィアナ……。

仏頂面でこんなことを考えているのか! とキュンキュンします。

フィアナの前で格好つけて酒を飲んだ時なんて、口にした途端むせまくって
「なんでこんなものを、みんな美味そうに飲むんだ……」ですからね。

こんなん惚れてしまうやろ。

  

弱い。

長年の戦争で、キリコさんの内面はぼろぼろなんです。

レッドショルダー時代のトラウマに苦しむキリコさん。
昔のことを思い出さないようにしているキリコさん。
人とのかかわりを極力避けようとするキリコさん。

きっと、もともと誰よりも傷つきやすい人柄だから無愛想なキャラになったんだ。

こんなん惚れてしまうやろ。

 

やっぱり強い。

ストーリーで触れた通り、自分は誰にも支配されないと、
遂には神殺しまでやってのけます。

目的を果たすためなら、フィアナを始め仲間をも裏切ったふりをします。
なんなら躊躇なく仲間を撃ち抜きます(死なない程度に)。

この意志の強靭さ。

フィアナのためならどこにだって殴りこんでいきます。
フィアナのためならイプシロンにだって勝ってしまいます。


キリコさんの魅力を色々挙げましたが、私が思う一番の魅力は
「目的を絶対に果たす」意志の強さ・ブレなさです。

余計な口上をべらばら謳うこともなく、黙って突っ走ってやり遂げる。

こんなん惚れてしまうやろ……。



メカの魅力(アーマードトルーパー)

 


ボトムズの世界では、人型機動兵器のことをアーマードトルーパーと呼びます。
ガンダムで言うモビルスーツマクロスで言うバルキリーです。

このアーマードトルーパー(AT)、うっすい鉄板でつくられたやっすいメカで、
敵の銃弾は簡単にコックピットまで貫通し、挙句簡単に爆発します。

通称「鉄の棺桶」「ボトムズ(最低野郎)」


量産品ですから、あちこちでスクラップが落ちています。
キリコさんはいつも簡単に乗り捨て、また現地でATを調達するのです。

数えてませんが、全52話で10回くらい乗機が爆発していた気がします。


でもこの量産感がいいんですよね……。
「あとはパイロットの技量次第です」という突き放した感じが。

私はガンダムシリーズの量産機ではジムよりもザクよりもリーオーが好きなんですが、
このATはあのリーオーの魅力を更に高めたような機体だと思います。


ATの挙動で好きなのは、空から降下してきた時の着陸時のアクション。
スクワットみたいな動きで衝撃を殺すあの膝の動きが格好いい。

ローラーダッシュももちろん疾走感と迫力があって好きなのですが、
個人的には「横スライド」時のATが無機質な兵器の美しさを感じて
更に好きです。

例えばクメン編終盤で、キリコのもとにポタリアとキデーラとシャッコが
助けに来てくれるシーン。
三機揃って崖を横スライドで下りながら援護射撃してくれる場面に痺れました。

複数の量産機がシンクロして横に並んで動くさま、なんかいいんですよねえ。
真ゲッターロボ対ネオゲッターロボでプロトゲッター2が襲いかかってくるとことか。


量産機の魅力とはまた違いますけど、最終話付近でキリコが「ラビドリードッグ」を
駆るところもよかった。

この機体、キリコさんには珍しい青色の機体ですが、
実はかつてイプシロンが載っていた「ストライクドッグ」の派生機なんですよね。

同じ秘密結社系統ですからたまたまかぶっただけなのかもしれませんが、
やっぱりライバルを想起させるメカで活躍する主人公という構図はグッときます。


AT、格好いいです。
フィギュアとか見つけたら買ってしまいそうです。

量産機にロマンを感じる方などは是非ご視聴ください。

 

 

主題歌とBGM

 


オープニングテーマの「炎のさだめ」、エンディングテーマの「いつもあなたが」

ともに名曲です。
52話ずっとこの曲なのですが、聞き飽きることはありませんでした。
炎のさだめの方が有名っぽいですけど、個人的にはいつもあなたがの方が好きです。

歌っているのはあの織田哲郎さんだそうで。
ZARD相川七瀬さんに楽曲を提供したり、踊るポンポコリンの作曲をしたりと
幅広く活躍されている方ですが、ボトムズもやってはったんですね。
後から知って驚きました。

 

BGMの「THE UNIVERSE END M-14」

ゾクゾクするような殺伐としているような不穏極まりないような、
不思議なくらい心に残る名曲です。
ロボット大戦でも使われていましたね。

フィアナとの出会いや戦闘シーンなどで流れていましたが、
何故か第3クール・第4クールになってくると使われなくなりました。

印象が強すぎるからでしょうか。
個人的にはもっと聞きたかったです。

 

「レッドショルダーマーチ」

本当に唐突に流れるので、インパクトが凄かったです。
一緒に観ていた友人がしばらく口ずさむようになってしまったくらい。

オリジナル曲ではなく、イタリア映画から持ってきた曲だそうです。
スタッフの発想というか、対応力にかんたんします。

ターンタッカタカタカターン。

 


終わりに

 


色々語りましたけど、あらためてまとめると「キリコさんの魅力」が一番かな、
と思います。

同じ世界観の続編や、メカとしてのATが出てくる続編なんかも惹かれますが、
やっぱり一番観たいのは「キリコさんが活躍する続編」なんです。
OVAを借りるのがいまから楽しみです。

 

こうしてつらつら書いてみると、ボトムズを知らない人には冗長で、
ボトムズを知る人には今更感のある内容になってしまった気がいたします。

文章を書くのって難しいですね。
実力不足が恥ずかしいです。



ルーキー最低野郎としてもっと腕を上げられますように。

 

 

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