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肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「てなもんや三度笠(映画)」内出好吉監督(東映)

 

 

映画「てなもんや三度笠」にかんたんしました。


藤田まことさん演じる「あんかけの時次郎」と
白木みのるさん演じる小坊主「珍念」コンビが織り成す傑作娯楽時代劇です。

詳細なストーリーは伏せますが、おおきくは三下ヤクザの時次郎がハッタリで
成り上がっていくような筋になります。

一世を風靡したヤンキー漫画「カメレオン」の偉大な先祖みたいな感じ。

成り上がりストーリーそのものよりも、登場人物の軽妙な掛け合いの上手さが
一番の魅力なところも含めて……。



特に惹かれてならないのが小坊主「珍念」の話芸です。

私、以前は珍念役の白木みのるさんをリアル子役だと思っていて、
「この子役の人めっちゃ演技上手いなあ」とか言ってたら、
「この人おっちゃんやで」と親か誰かに教えてもらって
仰天した記憶があります。

白黒画面なこともあって? まったく大人だと分かりませんでした。
ちょっと背が低いおじさんやったんですね。

そりゃそうか。
あそこまでよう喋る子役がいたら天才どころやないです。

いたずらに昔の人を偉大や偉大や言うのもはしたないですけど、
この珍念=白木みのるさんの喋くりは本当にすごいですよ。
数々の漫才ブームを経た現代でも、これだけの水準で掛け合いができる
芸人は多くないのではないでしょうか。

騙りの人相見で銭を巻き上げるシーンとか、寝小便をばらされて泣くシーンとか、
ほんまの子どもよりも子どもらしい演技やと思います。
大阪のちょっと知恵が回る子どものリアルさをたまらなく再現しているのです。

 

 

それにしてもこの映画、登場人物が豪華でした。

異常に豪華でした。

めっちゃ若い「いとしこいし」師匠。
そろばん柄の着物を着てそろばん片手に出てくる「トニー谷」さん。
ぴんぴんひょうひょうと動いている「大村崑」さん。

そもそも藤田まことさんがルーキーという時点でもうなんていうか
とんでもないんですけど。


次々に出てくる有名人が有名芸を繰り出し尺を取るもので
映画全体のテンポや構成には苦労している感がありますが、
現代から見ればもうこれは昭和芸能文化遺産(特に関西人にとって)ですから、
笑いまくった後にはありがたくて感謝の気持ちが湧いてくるという、
希有な映画なのであります。

皆さん映画的な演技ではなくて舞台的な演技なんがまたいいんですよね。
白黒の画面に大げさなムーブがよくマッチしています。

時代劇がかった筋立てやら清水の次郎長やらは若い世代の方には
馴染みがないかもしれませんが、たぶんティーンエイジャーが観ても
この映画は面白いと思います。

もう亡くなった方々もよぼよぼしたお爺ちゃんお婆ちゃんも
若い頃はこんなに楽しい芝居を観て笑っていたんだと思うと、
世代間闘争が起こりがちな昨今の風潮に一服の清涼を呼ぶのではないでしょうか。

老若男女、笑いに違いはないですもんね。

 

 

それにしても……

耳の穴から手ェ突っ込んで
奥歯ガタガタイワしたろか!


声に出して読みたい実に美しい大阪弁です。

 

 

いつかリアルの生活で使う機会がありますように。