肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

北極星の「チキンオムライス」と「オムライス肴に飲んでるおっさん」

 

ひさしぶりに北極星のオムライスを食べてかんたんしました。

 

オムライスの北極星(北極星産業株式会社)

 

関西ではけっこう有名なオムライス屋さんで、
一説にはオムライスを発明したお店とのことです。

東京の煉瓦亭が発祥という説もありますね。
カツ丼などもそうですが、昭和後半のグルメブーム到来以前、
明治大正期の料理史については分からないことが多いようで。

まあ起源はどうあれ、現在まで隆盛を続けているお店というのは
すごく偉大なことだと思います。



私が推す北極星のオムライスの特長は、なんといっても
「バター・油を抑えた優しい薄味」であること。

もちろん洋食なので一定量の油は使っているんですが、
昨今のトロトロ系オムライスやビーフシチュー系オムライスよりは
明らかにあっさり目の仕上がりになっています。

ガツンとうまい感じではなく、

「……うまかった。」
「おなか、あんしん……」

こころよく帰ることができる
感じ
なのです。


これは、一定年齢を過ぎた者にとっては大変ありがたいことです。

(逆に新陳代謝盛んな十代青年とかには地味に映るかもしれません)



名物はチキンオムライス。

ふわふわやわらかなめらかな卵でチキンライスを包みこんでいます。
楕円の黄色いオムレツに真っ赤なケチャップソース。
お手本のような色彩に巧みな技術と年季を感じます。


繰り返しですが、卵もチキンライスも現代外食の中では薄味な方です。

それがいい。
それがいいのです。


チキン。
昔より小さくなった気がします。
量が減ったと言いたいのではなくて、カットが小さくなったような。
お年寄りへの配慮でしょうか。

トッピングにピーマンが乗ってました。
これも昔はなかったような……。
覚えてないだけで、昔からあったのかなあ?
それとも店舗限定の付け合せだろうか。

ガリ。
お寿司についてくる、あの桜色のガリ。
口の中がスパーンとリセットされます。
個人的にはオムライスに必ずしもマッチしている訳ではないと
思うのですけど、このガリが好きなファンも多いんですよねえ。


けっこう量もあるんです。
高齢者には充分な量です。

やさしくて、おいしくて、おなかが和んで、780円('17.5月現在)。

大満足しました。

 

 

きょうは商業施設内の、カウンター中心のお店に入りました。

北極星といえば心斎橋の趣ある店舗が有名ですが、
私はカウンターのお店がお気に入りです。

なぜなら料理過程を見物できるから。
きびきびキッチンの掃除整頓に励む姿を見られるから。

たくましい男性コックさんが器用に繊細にたまごを巻いているのは
おかしとキュートみを感じます。

あくまで私の経験ベースですが、北極星の厨房で働く人は
見ていて感じのよい方が多いんですよね。
仕事ぶりが堂に入っていて。
この辺はさすが老舗というべきでしょうか。



中途半端な時間に入ったところ、カウンターの隅で
オムライスを肴にビールを飲んでいるおっさんがいました。

この飲み方も堂に入っています。
たぶん常連さんなんでしょう。
アイドルタイムにやってきて売上貢献してくれるタイプっぽい。


オムライス肴にビール……。

オムライス一皿でビール2本空けてました。
うむ、傾奇者だ。


オムライスとは立ち位置定かならぬ料理だと思います。

クラッシックなような人気者なような庶民的なようなよそ行きのような。
家庭でも気安くつくるけれど、日常光景というほどには馴染んでいない気も。


それが、おっさんが肴にしていることでぐぐぐっと親密な距離に
近づいてきた気がするのです。

関東炊きやお好み焼きや煮込みや餃子と同じところに
オムライスさんが来てくれたようで。

なんだろう、おっさんに認められることこそが土着の証といわんばかりの
奇妙な情景を目にしてしまった思いです。

食文化定着のひとつのバロメータを発見したのかもしれません。

 


そういう訳で、私は北極星のオムライスが好きです。

北極星がその名の通りオムライス界の泰山北斗として
これからも賑わい続けますように。