肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「'17大相撲夏場所の結果 帰ってきた白鵬」

 

大相撲、'17年度(平成29年度)夏場所にかんたんしました。

 

日別の取組・結果 - 日本相撲協会公式サイト

 

白鵬関の復活が嬉しいです。

15勝全勝とは素晴らしい。
ほんまにたいしたお人というか、この時代を目撃できてよかったと思います。

 

優勝インタビューの中で

勝負に絶対はないが、頑張りました。

との一言。
何気ない言葉ながら、実際に今場所の白鵬は極めて厳しく緻密でした。
「絶対がないからこそ、1%でも勝率が上がる手があるなら迷わず使う」
そんな姿勢だったように思えます。

遠藤を意地でも組ませずに突き放した白鵬
立ち合い巧者の玉鷲を揺さぶった白鵬

フィジカルも経験もトップクラスの白鵬が、なお相手力士を研究し尽くして
あらゆる手を使ってくる。

白鵬の言う“頑張る”とは稽古や取組中のことだけではないのでしょう。
そして、つまるところ一番頑張っているのが白鵬なのではないでしょうか。

若手力士から見て、これほどとんでもない壁はないと思います。



日馬富士は11勝に終わりましたが、途中までの白鵬との全勝レースは
見応えがありました。
千秋楽全勝対決もあると思っていたのですけど、御嶽海や高安への
対策検討量で白鵬に一歩遅れたというところでしょうか。

とは言え、ぼろぼろの身体でなぜそこまで動けるのかと
一番一番がファンの心を揺さぶる内容だったと思います。

誰よりも傷ついている人が、誰よりも土俵を割った相手力士を労わっている。
日馬富士もまた偉大な横綱の姿を見せつけてくださいます。



休場した鶴竜は残念でした。

私はあのぽてっとした表情&体型とインテリジェンスな取り口&インタビューが
好きなものですから、元気になって帰ってきてほしいです。

“ネズミ”と呼ばれる離断性骨軟骨炎が見つかったそうですが、
これが治れば復調していただけるのでしょうか。

今場所の白鵬復活劇にぜったい刺激を受けているでしょうし。
ファンは待っています。
やいや言う外野の声は気にしないでください。



同じく休場した稀勢の里

鶴竜に対してと同じく「横綱たるもの」とぶちぶち言う人も多いようですけど、
怪我をした人に対してはまず「お大事に」と思う心が必要だと思います。

栃煌山に敗れるまで、8日目までの稀勢の里の相撲は
観客の心を打つには充分過ぎる内容だったと思うのです。

万全には程遠い身体で、相手の攻めをなんとか堪えて、なんとか逆転して……
の連続連続。
それは、血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ。

横綱相撲とは言えないかもしれませんが、
あの姿は間違いなく横綱、仰ぎ見るべき存在だったと断言できます。



照ノ富士は12勝3敗。
初日からの連敗がもったいなかったですね。
彼は本気で優勝を狙っているのが伝わってきます。
4横綱時代というすさまじく高い壁、突破するのはやはり彼でしょうか。


豪栄道は9勝6敗でカド番脱出。
けっこう安定した相撲が多かったように思えます。
なんだかんだで大関長期在位が狙える気がしますね。

 

関脇の玉鷲は10勝5敗。
各実力者にめちゃくちゃ警戒されていました。
横綱大関陣から見てもいまの玉鷲は怖い相手なのでしょう。
とりわけ白鵬と栃ノ心には上手くやられちゃいましたね。


高安は11勝4敗で大関昇進を決めました。
おめでとうございます!
稀勢の里も喜んでいるでしょうし、これまで虐げられてきた
全国の毛深い系男子も歓喜しているに違いありません。

琴奨菊豪栄道という日本人実力者を一蹴していた場面が
とても印象に残りました。

照ノ富士逸ノ城が出てきた時は口惜しそうでしたが、
再び平成生まれ力士ナンバー1候補に舞い戻ってきましたね。

これからは大関同士、照ノ富士とバチバチ鎬を削っていくのでしょうか。


琴奨菊は7勝8敗です。
惜しい。
アナウンサーに「いつもの澄んだ瞳」と実況されていたのが面白かったです。

序盤はめためたでした。
稀勢の里戦以降に調子を取り戻したというところに何とも複雑なものを
感じてしまいます。
この方は心理状態がもろに成績に出ますからね……。

どんな気持ちで稀勢の里に向かっていき、
どんな気持ちで稀勢の里の休場の知らせを聞いて、
どんな気持ちで終盤戦を勝ち抜いたのでしょうか。

番付を更に落としますが、これからも稀勢の里戦が組まれる地位に
いていただきたいです。

 

小結の御嶽海・嘉風はともに8勝7敗で勝ち越し。

東の御嶽海が関脇に上がるんですかね。
御嶽海と前頭5枚目で10勝5敗の正代は緊張感あるよい関係だと思います。
新世代の軸になってきている感が好ましいです。

嘉風は初日の稀勢の里戦がやっぱり印象的でした。
彼は背中に家族愛を感じるので好きです。

 

前頭で気になった方たち。


筆頭の千代の国は2勝13敗。
いわゆる上位の壁に跳ね返されました。

いまはまだ嘉風の下位互換というか、上位陣を感心はさせるけれども
焦らせるには至らない感じといったところでしょうか。

とは言え金星1個ゲットしましたし、星勘定以上にファンを増やす取組が
多かったと思います。

機動的で魅せる相撲内容。
溌剌とした若さ爽やかさ。
勝った時の嬉しそうな表情。
負けた時の悔しそうな表情。

花道を帰っていくときの様子がたまりません。

 

7枚目の北勝富士は10勝5敗。
更に安定感を増しています。

個人的には、宇良にひらりひらりとしてやられて惜敗した際、
口惜しいだろうにきっちりべこりと礼をしていたのが最高に好印象でした。
ああいう場面で礼儀正しくできる男は間違いのない好漢です。


同じく7枚目の貴景勝は11勝4敗。
こちらも独特の存在感がますます強まっています。
この今場所7枚目コンビは御嶽海・正代に続いていくかもしれませんね。

 

14枚目、幕内復帰の千代大龍は9勝6敗で勝ち越しました。
嬉しいです。
相変わらずバーンとぶつかってサッと引くのが上手で憎たらしいです。
でも憎めないんです。


15枚目の妙義龍が4勝11敗、魁星が7勝8敗……。
マジかよ。なんてこった。

 

ちなみに相撲界の毛利3兄弟は

若隆元3勝4敗(幕下39枚目)
若元春3勝4敗(幕下9枚目)
若隆景7勝0敗(三段目63枚目)

ということで、三男が三段目優勝を遂げたようであります。

まだまだ幕内十両には登場しなさそうで、
安芸国人として大内家尼子家に従属している感じです。

 

 

以上、序盤中盤戦は稀勢の里の生きる道に心揺さぶられ、
後半戦千秋楽は白鵬の偉大さに敬服させられた15日間でした。

今場所も充実していたと思います。

白鵬のインタビューも北の富士さんのコメントも平和そのもので
気持よく見納めることができました。
何よりのことです。

 

激闘した力士も休場した力士も身体を癒して、
来場所も伸び伸びとした取組が見られますように。