肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

ドトールの「フィナンシェ」

 

ドトールのフィナンシェが相変わらずおいしくてかんたんしました。

 

こちらのフィナンシェ、パッケージにドトールと書いていて
オフィシャル商品のはずなんですが、HPには載っていないんですよね。

置いている店と置いていない店があるので、直営店オンリーとか
特定フランチャイズ限定の商品とかなのかもしれません。


値段は150円、サイズはやや小ぶりで罪悪感なく食べられます。

バターとアーモンドの風味が濃くて、食感がザムザムズモズモしていて、
単体でもコーヒーと合わせてもおいしいというナイスな焼き菓子なのです。


「ハード系」フィナンシェの廉価品の中ではトップクラスの
パフォーマンスだと思いますよ。

 


ここで私の独断と偏見による「日本市場におけるフィナンシェ普及史」
紹介いたしますと。

 

30年くらい前までは、フィナンシェという焼き菓子は
それほど認知されていなかったと思います。

洋菓子店などでマドレーヌと一緒に置いてあったりはしましたが、
まだバターの質もよくなかったのか、人気があったイメージはありません。

「日持ちする、ケーキの親戚」くらいの扱いだったのです。

 


20年くらい前から、ご存じアンリ・シャルパンティエ
フィナンシェが急速に知名度を高めてまいりました。

フィナンシェ | アンリ・シャルパンティエ | Henri Charpentier


たぶんもっと前から神戸芦屋界隈では人気があったのでしょうけど、
一介の庶民たる私の口に届いたのは20年前だったのです。

初めて食べたときはそらもう衝撃でしたよ。

激烈たる上品さ。
エレガントな武闘派。

ものすごく濃厚で個性的な者同士、「発酵バター」と「アーモンド」が
手を取り合って雲上の美味をつくりだしているのです。
まさに洋菓子界のゼクスとトレーズですよ。

こんなうまいお菓子がこの世にあるのかと驚きました。

しかもアンリ・シャルパンティエさん、ケーキは高いんですが
フィナンシェは安いんですよね。
現在1個141円と、実はドトールより安い。

質も価格も間違いなく最高峰。
日本のフィナンシェマーケットを切り拓いたのはアンリさんだと思っています。



そのアンリさんの唯一の欠点は、お店がデパートや芦屋や銀座にしかないこと。

しもじも目線での安定供給には課題がありました。
「フィナンシェ食べたい……でもデパートに行く服がない……」という
ハードルが残っていたのです。


そこを乗り越えたのは、セブンイレブンを筆頭とするコンビニたちでした。

これも私の記憶ベースですが、各コンビニがフィナンシェに力を入れ始めたのは
10年くらい前だったと思います。

デパ地下人気スイーツの研究も当然していたのでしょう。

セブンイレブンさんのフィナンシェはアンリさんのフォロワーっぽくて
とてもよくできています。

セブンカフェ 焦がしバターのしっとりフィナンシェ - セブン-イレブン~近くて便利~

セブンカフェ 焦がしバター香るフィナンシェ - セブン-イレブン~近くて便利~

 

こうして、日本の隅々までフィナンシェという焼き菓子界の
ニューエースが浸透して参りました。


ここでポイントとなるのが、この普及したフィナンシェは基本的に
「ソフト系」ということです。

アンリさんやセブンイレブンさんのものがまさに代表例ですが、
全体的に黄色っぽくて、食感が「サフッ」とした感じのやわらかい食べ味。

やわらかい粉モン好きの日本人の味覚に大変フィットしています。



一方、2009年のエシレ上陸あたりを皮切りに、近年では「ハード系」
フィナンシェの人気がじわじわ上がってきています。

ガトー・ドゥミセック - 商品ライン アップ - エシレ・メゾン デュ ブール

エシレさんのは1個300円(半分くらいは丸の内という立地代かも)という
凄まじく高級な代物ですが、値段に見合う存在感であります。

「ザムッザムッ」という外側カッチリ内側しっとりな食感の色気。
いかにも手作り風な大ぶりかつまっ茶っ茶の仕上がり。
エシレバター独特の奥行きある風味。

くぁ、これがまたすんごいうまいんすよ。
初めてアンリさんに出会ったとき以来の衝撃。
ソフト系フィナンシェでは無敵だったアンリさんの前に
とうとうライバルが現れたのです。


こうして、フィナンシェ界には「ソフト系」と「ハード系」の
二大軸が成立するに至りました。

いよいよマーケットが成熟してきた印象です。



私の心は近頃「ハード系」を贔屓気味です。

そして、ドトールのフィナンシェは「ハード系」の特攻隊長だと思うのです。
エシレなんて年に1回くらいしかお目にかかれませんけど、
ドトールなら週に1回でも通えますもんね。

値段も、アンリさん並と言われたら高く感じますが、
エシレさんの半額と言われたら悪くない気になります。


ずいぶん迂遠な話になってしまいましたが、
とにかくドトールのフィナンシェは一目置くに値しますよ。

コーヒーの相棒にザムザムした甘味がほしい時はぜひお試しください。



今後、できればセブンイレブンが「ソフト系」と「ハード系」両方の
フィナンシェを用意してくれますように。

あるいはドトールのフィナンシェがどの店舗にも供給されますように。