肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

装甲騎兵ボトムズ「赫奕たる異端」高橋良輔総監督(サンライズ)

 

 

ボトムズOVA「赫奕たる異端(かくやくたるいたん)」に
困惑気味にかんたんしました。

 

ボトムズWeb

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ボトムズTVシリーズの32年後のエピソードになります。


何の因果か、キリコさんとフィアナさんのコールドスリープ
解かれてしまいました。

ていうか……


フィアナさん死んじまったよ!!

くそっ、どうすんだこれっ、
物語がふりだしに戻ったじゃねえか!

 

 


「実はパーフェクトソルジャーの寿命は2年しかなく、
 TV版ラストの時点で余命は尽きかけていたのです」

 




そんなん急に言われましても。

 


「プロトワン」PS第1号なのになんで正確に余命が分かるんだよ。
だいたい2年しか稼働できない兵士のどこがパーフェクトなんだよ。
コンセプトにムリムラがあり過ぎだろパーフェクトソルジャー計画。

 

なんと言うか、ここからのボトムズ光源氏死後の源氏物語のように
余韻と寂寥感を味わう物語になっていくんでしょうか。

ラストのキリコさん、とても切ないです。
完全にふりだしに戻るです。
戦いには飽きていて、いつも目に浮かぶあなたも失ったんですよ。
異能者って「絶対に幸せになれない人」という意味ですか。

 

 

ストーリーは中世イタリア史みたいな宗教界の法王指名争いに
キリコさんが巻き込まれて戦う感じです。

マーティアルというアストラギウス銀河全体に普及している宗教で、
ギルガメス・バララントも頭が上がらない存在みたいなんですけどね。

なんかキリコさんとフィアナさんを特別扱いして意地悪してくるんですよ。
しかもキリコさんが神殺しであることを知っているのに。
正気ですか。

マーティアルにもテイタニアさんというPSの親戚みたいな超強い兵士が
いるんですが、キリコさんの異能伝説を知っているなら勝算ありとは
判断できないと思うんですけど。

どうも敵の黒幕的な人の思考がずさん過ぎる気がします。

 

また、「野望のルーツ」でキリコさんは「異能生存体」という設定を
つけられてしまいましたので、「絶対に死なない」という前提で
話が進んでいくんですよ。

キリコさんも「自分が死なないことを確信している」節が出てきています。

なので、どれだけシリアスに戦っていてもちょっとコメディっぽくなります。

テイタニアさんの補助脳を破壊するシーンなんて完全にラッキーマンですからね。

 

加えて、作画の線が細やかになり、おっさん兵士率が減り、
効果音が全体的にガンダムWになり、舞台全体がキリスト教っぽくなりで、
炎の匂いが薄れたというか、汗や硝煙の気配が弱まって
スタイリッシュボトムズといった趣になっております。


キリコさんが駆るバーグラリードッグは足元にかんじきみたいな
機動力向上装備がついていて格好良かったですけどね。

 

いいところ、見どころは、2話と5話でキリコさんがフィアナさんのところに
駆けつけるシーン。

フィアナさん瀕死という設定が加わったこともあり、
キリコさんが本気で焦っています。
この必死さがいい。
必死な白馬の王子様がいい。

一緒に観ていた人は「キリコさんらしくない」と仰ってましたが、
私はこういうキリコさんも素敵だな、と思いました。

 

 


以上、困ってしまうOVAでした。

全体的に高品質な仕上がりなのですが。
TVシリーズすべてをふりだしに戻したことは大胆過ぎで勇気あり過ぎですね。

とは言え、ファンの「こんな話が観たかった」というものだけをつくるのは
スタッフも面白くないでしょうし、冒険していただくこと自体は
ポジティブに捉えたいと思います。

せっかくここまで設定を崩したのだから、この赫奕たる異端の続編は
TVシリーズに負けない傑作になっていってほしいと願います。

 

どうかフィアナさんの御魂が安らかでありますように。

 

 

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