肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「アルベルト・ジャコメッティ展」国立新美術館@東京の六本木

 

 

ジャコメッティ展の迫力にかんたんいたしました。

 

www.tbs.co.jp

 

 

アルベルト・ジャコメッティというアーティストがいらっしゃいます。


特徴的な彫刻をおつくりになる方で、
百聞は一見にしかずなので作品の画像を貼らせていただきます。

(今回のジャコメッティ展で撮影OKな作品を撮ったものです)

 

f:id:trillion-3934p:20170709091618j:plain

 

f:id:trillion-3934p:20170709091703j:plain

f:id:trillion-3934p:20170709091723j:plain

 

 


ご覧の通り、ものすごく細長い人物の彫刻をつくられることに
定評がございます。


10年くらい前にも兵庫県立美術館ジャコメッティ展が開かれていて、
その際の印象が強く残っていたので、今回も移動ついでに六本木まで
行って参りました。

 



行ってよかったです。

空いててじっくり見れたし。


展示されている作品の中では、
後半の大きめの彫刻群と、篇5のスケッチ群※を気に入りました。

ペロポネソス戦争本の挿絵を構想していたものだそうで、
 彫刻とはまた違う味わいがあります。
 巨人と小人が向き合う構図のものとかおとぎ話感あっていいですね。



ジャコメッティさんの彫刻は、パッと見では「削ぎ落した」ように
映るのですけど、近くで見ると「凝縮した」かのような力強さを
感じて、とてもとても圧倒されるのです。

力士やグラビアモデルの肉付きとは真逆の造形ですけど、
力士やグラビアモデルに負けないくらいのエネルギーを受け取れますよ。

 

完全に素人の感想になりますが、
彫刻の中に力のベクトル、力の矢印が埋め込まれているようなんです。

特に後頭部から鼻先・顎先にかけてのライン、
水平かつ平たい肩から平たい骨盤にかけての背骨のライン、
特徴的な細長い手足のライン、

それぞれに「←」「↓」といったエネルギーの方向性が
埋め込まれているように思えるんですよね。


侘びしさとか哲学とかを受け取るというより、
私はパワーを受け取ることができる展覧会だと思います。

日常のなんやかやで疲れている方におすすめですよ。



哲学といえばサルトルなど実存主義系の人がこのジャコメッティ
愛好していたそうです。

戦後ヨーロッパの各種アートで「実存主義的」と評される作品が
生まれましたが、個人的には「但しイケメン・美女に限る」系のものが
多いなあと思っております。
(具体名は挙げません)


そうした中で、このジャコメッティ彫刻はまさしく実存主義的、
人が人であるがまま、あらまほしきままの迫力を有していると
言えるのではないでしょうか。




それにしても「アルベルト・ジャコメッティ」とは
日本語使い的には独特に思えるお名前ですね。

10年前の兵庫県立美術館で友達とこんな会話をしたことを覚えています。

 友「ジャコメッティって覚えにくいね」
 私「せやね」
 友「じゃこ道くんとかなら親しみやすいのにね」
 私「がぜん愛媛生まれっぽくなったね」


今回の国立新美術館の物販でも「ジャコメッティー(茶)」
「ジャコリントウ(かりんとう)」といった趣深いグッズが売られていて、
なじみが薄い文化圏のお名前に懸命に親しもうとしている日本人の
姿勢を感じることができます。

物販では白トートバッグのデザインがけっこういいんじゃないと思ったのですが
よくよく考えたら使う場面も思い浮かばないので購入は見送りました。

 

 

以上、ジャコメッティ展のご紹介でした。

 

 

 

ちなみに、美術館の2階でやっている「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」も
よかったですよ。

政治歴史的な背景がありますのでメッセージ性が強いものが多いのですが、
暗くならずにはっちゃけている作品が多くて楽しかったです。

階段から世界地図っぽいデザインのブロック板を延々落とし続ける映像作品とか、
アーカイブ」で紹介されている楽しそうな写真の数々とか
(ダッチワイフにドレスを着せて結婚式を挙げたりしていました)、
物販店が100円で石を売っていたりとか、

それぞれでくすくす笑えました。

 


国立新美術館の展示は文章が少なくていいですね。

能書きが多すぎると作品見ずに文章ばっかり読んでるになりますし、
足を止める客が増えて流れが悪くなりますし。

こちらの美術館は広いしゆったりしてるし実に私好みです。

 

これからもほどよい混み方で存続していきますように。