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かんたんにかんたんします。

装甲騎兵ボトムズ「ペールゼン・ファイルズ OVA版」高橋良輔監督(サンライズ)

 

ボトムズOVA「ペールゼン・ファイルズ」の殺伐ぶりとATギミックに
かんたんしました。

 

ボトムズWeb|ペールゼン・ファイルズ

 


テレビ版のボトムズに惹かれてシリーズを観始めましたが、
けっこう巻数が多いものですね。

こちらのペールゼン・ファイルズ(OVA)は全6巻・12話。

本編シリーズは全部見るつもりですが、外伝までは手が回らなさそうです。

 

 

感想としては、戦闘シーンは見応えがあってめっぽうおもしろい!
一方で人物描写・ドラマはそれほどでもない、というところです。


以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘シーンの魅力

 

 

今作では、ATがすべて3DのCGで描かれています。


このことによって見た目は薄そう・軽そうになっているのですが、
思った以上にボトムズの世界観に合っているんですよね。

カンカンカン(数発被弾)⇒爆発(死亡)というATっぽい運命に
絶妙にマッチしています。


加えて、CGにしたことでATの数が異常に多くなった、
様々なギミックで魅せられるようになった、というメリットを感じました。


ボトムズの世界はひたすらに人命が軽いのです。
たぶん一組の夫婦から10人以上の子どもが生まれてるんじゃないでしょうか。

アホみたいな数のAT(人命)を用意して、「誰か一人成功しねえかな」みたいな
無謀作戦が次々に繰り出されます。
以前のシリーズからそういう風潮はありましたが、今作では特に、意識的に
この傾向を補強していますね。


例えばラストの作戦は、「1億2千万名の兵士を投入」という
気が触れているような内容でした……。

こうした馬鹿馬鹿しい設定が、今回はドラマ面での鍵でもありましたので。

トーリーの評価はともかく、ストーリーとAT・戦闘描写のマッチっぷりは
すばらしいと思いました。



CGを活用した戦闘ギミック、よかったですねえ……。


全話通じてみても、1話の渡河作戦がいちばんおもしろかったです。

大量のATが敵陣地を攻めるために大河を渡るのですが。


味方の飛行船が大量の杭を落とす。
うっかり当たって味方の一部が死ぬ。
 ↓
向こう岸に刺さった杭にワイヤーを巻きつけて渡河に励む。
敵の反撃で味方がたくさん死ぬ。
 ↓
なんとか向こう岸に辿り着いたら、持ち運び可能坂道用カタパルトみたいな
ぐるぐる巻きのアイテムを坂に据えて、懸命に斜面を登る。
敵の反撃で味方がほとんど死ぬ。
 ↓
キリコさんだけが生き残る。


という一連の流れ、それぞれでCGギミックを堪能できるのです。

こんなに惚れ惚れする渡河作戦映像を観たのは初めてだ。

 

以降の話でもポリマーリンゲルの交換とかポリマーリンゲルのブレンドとか
ポリマーリンゲルの爆発とか、燃料まわりの描写が気に入りました。

雪上戦闘、白いATが入り乱れるシーンは一種のアート味がありましたし、
前述のラスト3話でのアホみたいな人数を投入した作戦はお祭り感ありましたし、
どれもこれもようございましたよ。


戦闘シーンではありませんが、全体的に米軍映画みたいな雰囲気があって
(エンディングテーマとか特に)その辺も楽しかったですね。

 

とにかく、バトル・AT描写が大変優れたOVAでございました。

 

 


人物・ストーリー

 


時間軸としては「野望のルーツ」と「テレビシリーズ」の間。

「異能生存体」「ペールゼン閣下」を軸とした内容になります。

 

ペールゼン閣下の研究成果を横取りしたい情報省の偉い人が、
キリコさんと、キリコさん同様に「死なないっぽい人」4名、
計5名で「死にません部隊」を組成。

 ↓
無茶な作戦に次々と送り出して本当に死なないか実験してみよう。
 ↓
誰も死なへんやん! こらぁ本物やで!
 ↓
せっかくやからアホみたいな規模の作戦立案して注目集めたろ!
こいつらおるから成功するやろ!
 ↓
作戦大失敗でした……。
キリコさん以外の死なないっぽかった人たちも全員死にました……。
(本物の異能生存体はキリコさんだけでした)
 ↓
それどころか情報省の偉い人は初めからペールゼンさんの
掌の上で踊っていたのです……。


という特に誰も幸せになっていないストーリーです。
この辺は実にボトムズっぽい。

最後の作戦大失敗(目標惑星大爆発)は、これもまたキリコさんの異能力なのか、
それともワイズマンの意志が働いたのか、意見が分かれそうですね。

 

 

キャラクターの魅力面では……

死なない系仲間の皆様とか、
カン・ユーさんの類友であるワップ少尉とか、
ロッチナさん(改名前)の最終話でのイキイキした表情とか、

魅力ある人物はけっこう出てくるんですけど。


肝心のキリコさんが、全編通じて「受け身」なんですよね。

そりゃそうなんです。
フィアナさんにもまだ出会っていないし、
バニラ・ゴウト・ココナというお友達も登場していないし。

キリコさん本人に生きる目的とか、やりたいことがないんです。


言われた通りに淡々とミッションを遂行してくるのみ。

キリコさん(テレビシリーズ以前)の設定には合っているんですが、
合っているからこそ人間味や魅力が見えてこないという皮肉。

12話も使う長い物語だからこそ、この流され感が目立っちゃいます。


唯一「おっ」と思ったのは、11話で仲間に異能生存体について語るシーン。

キリコさんが自分から異能について語るとは。

ひょっとしたら、この頃には「こいつらも本当に異能生存体ちゃうか」と
信じたくなってたのかもしれません。

「俺はひとりじゃない」「同種の仲間がいる」という思いを抱きたかった、
結果としてそれは幻想だったけど……
ちょっとだけキリコさんの願いが透けていたように思います。


とは言え、作品全体ではキリコさんの戦闘能力&異能生存力以外の
魅力はあまり出ていませんでした。
イプシロンさんのようなキリコさんを外側から掘り下げてくれる
ライバルも出てこないですし。

私はフィアナさんが絡んだ瞬間に戦闘力が300%くらい跳ね上がる
キリコさんの意志の力が好きなので、その辺は物足りなかったです。

 

 

 

まとめ

 


ボトムズの殺伐とした世界観、AT挙動、あるいは異能生存体という設定に
魅力を感じる方にとっては最高傑作、キリコさんの人間味ある物語に魅力を
感じる方にとってはもうひとつ、という評価になるかと思います。


いまにして思えば、テレビ版クメン編やOVAラストレッドショルダーなんかは
上記魅力の両方が高い次元で融合していたんですね。



とりあえず残すOVAは「孤影再び」と「幻影篇」です。

ラストレッドショルダーの高い壁を越えてくださいますように。

 

 

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