第1回インフラメンテナンス大賞という社会的意義の大きそうな表彰が
ひっそりと行われていてかんたんしました。
併せて、素人目にもすごいと思ったデック社のSDF工法にも
かんたんいたしました。
日本の全国土に張り巡らされた膨大なインフラ群の
保全・維持が大きな課題となっております。
そんな中、国土交通省等が民間企業の優れたインフラメンテナンス技術を賞し、
今週表彰式が行われたそうなのですが。
日刊工業新聞の社説くらいでしか取り上げられていなくて侘びしい限りです。
社説/初の「メンテナンス大賞」−インフラの維持・管理技術に注目を | オピニオン ニュース | 日刊工業新聞 電子版
省庁サイドでの発信も足りなかったのかもしれませんが、
もう少し注目されてもいいように思いますね。
受賞者の方々、まことにおめでとうございます。
受賞案件としては
総務省案件の情報通信分野(NTT等)、
文科省案件の大学・校舎施設分野(名大等)、
厚労省案件の水道分野(東京都水道局等)、
農水省案件の農林水産分野(山田堰土地改良区等)、
国交省案件の道路・鉄道・河川・下水道分野(東京都下水道局等)、
防衛省案件の自衛隊施設分野(第1術科学校『大講堂』大改修)、
と幅広い領域からセレクトされております。
ざっと受賞案件を確認したところ、ITを活用した効率化案件が多いですね。
IT業界自体、数十年前の機器やコードの保守改修で死にかけている人も
多いと思いますが……。
画期的なリニューアルなりマイグレーションなりの技術が出てきたら
IT系企業も表彰してあげてほしいものです。
受賞案件の中身については、残念ながら概要紹介を読んだだけでは
具体技術や定量効果をはっきり把握することはできません。
一定程度の企業秘密情報も入っているんでしょうし、
まあ概要レベルの発表になっちゃうのは仕方ないでしょう。
そんな中、素人目で見てもデック社のSDF工法(厚労大臣賞)は
分かり易い上にすごいなあと思いました。
開削工事が不可能であることから水道管路の経年管路更新が難しく、今まで手付かずであった軌道下横断、河川横断、交通量の多い交差点、他企業体が輻輳している道路において、管路更新を可能とする切り札としてステンレス・フレキ管を使用した既設管の中に挿入する工法(SDF工法)を開発した。
水道管は至るところに埋まっておりますが、線路の下や川の下や
交通量の多い交差点の下などを掘り返すのは困難です。
そこで、該当箇所を掘るのではなくて、他の場所で立坑を開けて、
既設の水道管の内側に新しい水道管をむんずむんず挿入していく
画期的な技術を開発されたのだそうで。
こちらのサイトではSDF工法のプロモーション動画が載っていたりして
簡潔明瞭に技術を解説してくれております。
動画では、
踏切近辺に2つの立坑を掘り、そこからSDF(Stainless Dynamic Flexible)管を
挿入していくことで電車を止めることなくリニューアルを完了。
技術に詳しくない者でも凄さ素晴らしさを絶対に理解できる動画です。
一見の価値あり過ぎです。
地震にも強い、90度カーブの既設管にも対応可能、
強靭かつ弾性に優れたこんな技術をよくぞ確立されたものだと感動しました。
考えた人も実現した人もまさしく偉大です。
こうしたインフラ・メンテナンスの世界に光が当たるのは
とてもよいことだと思います。
お国全体であれ各企業内部であれ、
何十年もかけて築き上げてきたインフラを誰かがメンテしてくれているから
今日も平和に安定的に仕事が回るのです。
インフラを維持できなくなって滅びたローマ帝国の教訓を
忘れてはなりません。
誰かを支えてくれている人がまっとうにリスペクトされる世の中でありますように。