肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「まなざしの長さをはかって」カルロ・マッツァクラティ監督

 

イタリア映画「まなざしの長さをはかって※」の主演女優、
ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさんの美しさにかんたんしました。

 

 ※イタリア映画で原題は「LA GIUSTA DISTANZA」。
  直訳したら「正しい距離感」とか「適切な距離感」でしょうか。



youtubeで検索したらオフィシャルトレーラーが出てきました。

www.youtube.com

 

 

 

2時間弱の映画で、イタリアはポー河周辺の鄙びた村を舞台にした
青春映画のような恋愛映画のようなサスペンス映画のような内容になります。



以下、ネタバレを含みます……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ざっくりとしたあらすじを最初に申しますと。



ポー河を空撮する素晴らしい眺めのカットから始まります。

この映画、最初から最後まで景色が素晴らしい。
オープニングの風景だけでレンタル代のもとが取れるくらい。

 

臨時教師としてマーラさん(ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさん)が
村に赴任して参りました。

大変な美女ですから、田舎の村にとっては刺激が強過ぎます。
バスから降りて道を練り歩くだけで村人みんなが釘付け。

匂い立つような美女というのは彼女のような人のことを言うのでしょう。

 

主人公のひとりジョバンニくん(記者志望)も
主人公のひとりハッサンさん(自動車工)も
村人たちはさっそく夢中になってストーカー化します。

マーラさんのお家を覗いたりメールに不正侵入したり。

こええよ田舎町。

 

マーラさんは都会の人生経験豊富な美女ですから、
田舎暮らしは退屈です。

ですので、ストーカーのハッサンさんと付き合うことにしました。

マジかよ。

 

マーラさんは新鮮な刺激を求める美女ですから、
今度はブラジル勤めの話を受けて村を離れることになりました。

ハッサンさんと別れ話をせざるを得ません。



     (ここまでで1時間20分)


……翌朝、マーラさんの遺体が発見されました。


えっ、これそういう映画?



後半30分はジョバンニくんによるサスペンスものになります。

無実の罪でハッサンさんが投獄されたり自殺しはったりしましたので、
ジャーナリスト志望のジョバンニくんが真犯人を追跡します。

 

そして……

 

無事に真犯人(序盤から登場しているアイツです)は捕まり、
ジョバンニくんは大手新聞社へ就職することが決まって
村から旅立ちました。


立派になったねジョバンニくん(元ストーカー)。



めでたしめでたし。

 

 

……支離滅裂ですが、実際この通りのストーリーなので仕方ありません。


TSUTAYAでは「ラブストーリー」の棚にあったのですけど、
実際はラブストーリーとその他いろいろをチャンポンにして
水で1/5に薄めたようなストーリーです。


「まなざしの長さ」「適切な距離感」という妙に洒落たタイトルから
深い何か、玄人のおしゃれ味を得られそうな雰囲気ながら……


たぶん「単に脚本でしくじった映画」なんだと思います。


都会・田舎のギャップとか移民問題とかジャーナリズムのあり方とか
一見深そうな因子はあちこちに散らばっていますけど、
散りばめただけで設計や構築は未着手なイメージ。

無理して「深い!」という必要はないでしょう。




ですが。

この映画は値打ちものです。


主演女優ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさんを始めとした
役者陣の素晴らしい演技っぷり。

それらとイタリアの美しい風趣風景をズパズパ収めた熟練のカメラワーク。


この2点だけで充分にお釣りが出ます。

 



マーラさんが本当によかった。


最序盤はちっとも面白くないのですが、彼女が出てきてからの
画面の華やぎっぷりが半端ない。

ネット接続を村人に頼んで家の中をうろうろしているだけで
異常にキュートでエロい。


エロい。

 

下心丸出しのおっさんを上手に笑顔であしらう所作がしなやかにエロい。


ストーカー男に「コーヒー飲んでく?」と誘いを入れる仕草が凄い。
これまでの男性キャリアを存分に察知させるほどエロい。


ストーカー男(チュニジア人)の家にクスクスをつくりにいって、
現地の花嫁衣裳コスプレをする愛嬌がめちゃくちゃかわいくてエロい。

そのまま初セックスに雪崩れ込んだ際のディープキスがまたたいそうエロい。


なんやかんやで痴話喧嘩してからの仲直りセックスがストレートにエロい。
初セックス時にヌードを温存しておいて、2回目の濡れ場では乳首まで
惜しげもなく見せてくるのが天晴れエロい。

 

 

ここまでセクシーかつ快活な美しさを丹念に拝ませていただくと、
視聴者にとってもマーラさんがすこぶる尊い存在になって参ります。

 


そのマーラさんが殺されて河に浮かぶ


これは心情的に許容できるものではありません。
何としても真犯人に刑場の泥を舐めさせねばという気持ちになります。



サスペンスなストーリーとしてはまったく見るべきものはないのですが、
マーラさん尊さに真犯人探しにはついつい身を入れて観てしまうのです。

 

まあ、真犯人に殺された経緯も、彼氏と別れた後に他の口説いてきた男を
家に上げてワインまで飲ませて……というものだったんですが(笑)。

マーラさん、恋と色に奔放過ぎましたね。

 

 


マーラさん(ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさん)の輝きが群を抜いておりますが、
他の役者陣も皆さん好演でしたよ。

雑貨屋の憎めないおっさんとか胡散臭い先輩ジャーナリストとか
ジョバンニくんの人間臭いおばさんとか。

 

個人的に一番気に入ったのは、ハッサンさんの同僚のおっさん。

マーラさんがハッサンさんを訪ねてきたらさりげなく席を外すし、
ジョバンニくんが村を出ていくときには一人だけ見送りに来てくれるし。

「適切な距離感」を一番体現していた登場人物は
この脇役のおっさんだと思います。

マーラさんはこのおっさんと恋に落ちればよかったんじゃないか。
経験豊富でも男を見る目が育っているたあ限らないというやつか。

 

 


ストーリーは雑の一言ですけど、役者陣と風景とカメラワークは最高の作品。
なによりヴァレンティーナ・ロドヴィーニさんが眼福そのもの。

なかなかおもしろいイタリア映画でした。
ミニシアターとかでレイト上映するなら1-2回は行ってしまいそうです。

ひょっとしたらストーリーが分からない前提で原語版を観た方がいいのかも。

 

 


どなた様もストーカー被害や色情狂被害に遭いませんように。