肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「消費者庁 打消し表示に関する実態調査報告書」ねとらぼ報道より

 

 

消費者庁が発表した広告における打消し表示に関する調査報告に
かんたんしました。

 

nlab.itmedia.co.jp


↓件のレポート

http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170714_0002.pdf

 

 

さまざまな業界の広告で


 「かくかくしかじかで最高です!

                         ※但しイケメンに限る


みたいな言い方が活用されていて、この※の後付部分を打消し表示と呼称します。

 

消費者庁レポートの前半P3-4ではこの打消し表示の類型がまとめられていて、

 

 ・例外型

   -入院、手術、通院の保障が、一生涯続いて安心。何回でも受取OK! 

    ※医療行為、医療機関及び適用症などによっては、給付対象と
     ならないことがあります


 ・体験談型

   -楽しくダイエット!!
    毎日すっきり起きて、体重が5kg減り、着られなかった服が
    ぶかぶかになり、周りからほめられるようになりました。

    ※個人の感想であり、効果には個人差があります


 ・別条件型

   -次世代モバイル! 通話も! ネットも! 月額2,340円!(税抜き)

    ※●●のインターネット契約が3年間必要です
    ※〇〇カードを同時に申し込みされたお客様限定

 

などなど、見たことあるような例がずらずらと並んでおります。 


要は人目を引くようなインパクトある表現をデーンとやっておいて、
後から小さいフォントでこちゃこちゃ責任逃れワードを書いているやつですね。

 

 

 

レポートではこの後、様々な実験・アンケートを積み重ねて
「やっぱり打消し表示は問題あり!」と極めて実感に沿ったデータを
立証されている感じです。


(ねとらぼさんの記事が大変良質ですので詳しくはそちらをご覧ください)

 


それにしても……

これ、見ようによっては「世の中に騙される人はいっぱいいます」
「まだまだ詐欺業界にはポテンシャルがあります」という嫌な事実を
実証してしまっているレポートでもありますよね……。


 ・打消し表示を見落としていた人が9割

 ・打消し表示を見つけていても正しく理解できた人は少数


つまり「この広告手法は極めて有効」ということであります。


消費者庁がわざわざこのようなレポートを公表し、
各業界を牽制したということは……

遠からず大手企業は順番に刺されていくんだろうと思います。


金融、美容、スマホ、通信、健康などなど、
ここで例示されているようなビジネスはその前に襟を正しておくべきですが、
一社だけ先んじていい子になって売上落とすのもしんどいので
業界全体が刺されるまでやり続けちゃうんでしょうかね。

こういう時は業界のリーディングカンパニーが率先していい子になるのが
穏やかシナリオですけれども。

できれば職業倫理に沿って着実な見直しが進んでほしいものです。

 

 

一方、大手企業が品よく改善していく間に、当局の網に引っ掛からない
零細アングラ業者はむしろこのレポートを活用してますます詐欺まがいの
広告をぶっ放してきたりして。

大企業のテレビCMや店頭パンフはすぐに刺せますけど、
寂びれたアーケード商店街の空きテナントで開催されている
怪しげな健康セミナー兼健康食品販売とかなかなか尻尾を掴めなさそうです。

困ったものであります。


お近くのお年寄りとか若い子とか見守ってあげてください。


地味な話ですが、数年に1回くらい「くらしの豆知識」とかを読んで
消費者力を高めておくのが被害予防に繋がると思います。

本当に地味な冊子ですけど「くらしの豆知識」は良本ですよ。

2017年版 くらしの豆知識(国民生活センターの紹介)_国民生活センター

 



さて、こうやって広告関係にメスが入ってくると、
実務的にはとても大変なことになると予想されます。


広告制作って一見華やかなんですが、実際の仕事内容は
契約書づくりや製品設計と同じように地道な作業の積み重ねです。


こういう世の中からの真っ当な要望・改善命令を受けると……


一般的に経営者さんが選ぶ道は「チェックリストを増やす」
「外部専門家たちを交えた広告内容チェック委員会をつくる」
「偉い人が広告の細部デザインに口を出す」などになってきます。


要するに広告の実務担当者さんからすれば「余計なチェック負荷が増える」
「納期が短くなる」「責任だけは重くなる」「ちなみに給与は増えない」
という結果に繋がる訳です。

 

まして景品表示法に手が入ろうものなら既存チェックリストの
再構築負荷が膨大なものに……うごごごご。


経営が長年に亘ってアコギな商売をしてきたツケが
まとめて実務担当者さんに降りかかってくるのです。

ご無体ですねえ……。

 

 

某広告会社を発端にした働き方の変革も道半ばの中。
しわ寄せが広告制作担当者の寿命を縮める結果になりませんように。

中長期的には「無知の人を騙す」ことに頼らない経済成長企業成長が
実現されますように。