永井豪先生の新作「デビルマンサーガ」がおもしろくなってきた上に「第一部 完!!」にもなっていなくてかんたんしました。
こちらは小学館のビッグコミックで連載されております、「デビルマン」のリメイクあるいはリブート作品になります。
永井豪先生はマジンガーであれキューティーハニーであれリブートを手掛けることが多いですね。
もともとデビルマンには一方ならぬ思いをお持ちになってはったので、「激マン!」などをやっているうちにデビルマンの描き直しにいよいよ挑戦したくなったのかもしれません。
さて、我々ダイナミック信者においては「神々の戦いを人間が描写することなどできない」であったり、「でたなゲッタードラゴン」であったり、端的に言えば「作品が無事に完結することはない」「“第一部 完”という名の投げっぱなしジャーマン」というのが基本教義になっております。
未完に終わった作品について、読者ひとりひとりに結末を自由に想像する権利を与えてくださるのがダイナミック作品なんですよ。
そこでこのデビルマンサーガですが。
当初は「グレンダイザーギガ」のように2巻くらいで終わるかな……と思っていました。
しかし、終わらない。
それどころか2巻になってようやく主人公「不動勇希」さんがデビルマンに変身するというテンポの緩やかさ。
原作デビルマンの不動明さんは学生でしたが、今作の不動勇希さんは社会人です。
ロボット開発会社の若き社長さんです。
そんな勇希さんがアメリカ軍事企業の研究に巻き込まれ、南極で発見された「悪魔の壁画」「悪魔の鎧」の謎に絡め取られていくというストーリーになっております。
シレーヌさんも1巻からヒロイン級で登場しますよ。
3巻まで出ました。
デビルマンが悪魔化した同僚と戦っています。
悪魔化した同僚は「イエース!! アイムヒューマン!!」と意識を取り戻しますが、命は救えませんでした。
まだ第一部完の字幕は入っておりません。
4巻まで出ました。
不動勇希さんは日本に帰国しますが、やはり登場している飛鳥さんとサイコジェニーさんに色々吹き込まれたりして大変です。
一方で、日本でもアメリカでも「悪魔の鎧」に取り込まれて悪魔化しはる人が続々と……。
カイムさんや魔将軍ザンさんも登場しますが、サイコジェニーさんが断トツ怖いです。
98ページ・112-113ページとか特に。
まだ黙示録は始まりません。
5巻まで出ました。
不動勇希さんが日本政府……「国軍省」から目をつけられ始めます。
この作品内では自衛隊が日本国軍に切り替わっている模様です。
そのうち悪魔王ゼノンになりそうな3人組も出てきました。
5巻といえば既に原作デビルマンと同じ巻数ですが、終わる気配がありません。
それどころか、絵もストーリーも徐々に「勢い」が出てきています。
そしてこの6巻です。
だんだん「悪魔の鎧」の謎が明らかになりつつあったり、だんだん不動勇希さんが好戦的になってきていたり、だんだん世界情勢が不穏になってきていたりと……。
「さあ盛り上げていくぞという土台づくり」が整いつつあるように感じます。
少し大人向けな描写かも知れませんが、軍事嫌いな不動勇希さんが「公」との関係で葛藤している描写もいいですね。
「軍に利用される恐れ」「日本(親しい隣人)の平和のため」「自分がデビルマンかつ殺人者である秘密」などの思いを抱える中、これから不動勇希さんがどんな選択をしていくのか。
先の展開が楽しみです。
遂に6巻ですよ。
6巻といえば「マジン・サーガ」最終巻と同じ巻数ですよ。
それなのに、原作デビルマンの1巻分くらいしかストーリーを消化していない……。
世界情勢だとか軍備増強だとかロボット技術だとかの要素が入ってきているためか、原作よりも壮大な規模で原作をやり直そうとされてはるようです。
このままのテンポで進めば、デビルマンレディー全17巻を超える長編になりそうな気が。
既に御年70を超えた永井豪先生の体力が持つか心配です。
遺作のつもりで描いてはるんだったらどうしよう。
デビルマンサーガ1巻の冒頭では、サタン・アモン・シレーヌが並んで神の軍勢と戦っている場面が描かれています。
ひょっとしたらデビルマンレディーの続編という位置づけなのかもしれませんね。
永井豪先生の場合、デビルマンレディールートの他にもバイオレンスジャックルートやマジン・サーガ合流ルートや完全新規ルートもあり得るのでまったく先が予測できませんけど。
昔からライブ感で展開を決めはる漫画家さんですから、読者側もライブ感を持って楽しみたいと思います。
仮に「神」の正体がケン・イシカワ率いるゲッターエンペラー軍団だったとしても受け容れますよ私は。
リアルタイムで永井豪先生が長編を書いてはって、それが右肩上がりに面白くなってきていて、しかもブン投げずに続いている。
なんて幸せなんでしょう。
収まりの良いところまでは連載が続きますように。
可能ならば黙示録の一端を見ることができますように。