肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「ネット広告の闇」等(週刊東洋経済'17.12/23号)

 

今週の東洋経済が良記事が多くてかんたんいたしました。

 

store.toyokeizai.net

 

f:id:trillion-3934p:20171218222029j:plain

 

 

 

ネット広告の闇(巻頭特集)

ネット広告の

 ・アドフラウド
   
-表示数やクリック数の水増し等による広告詐欺・料金過大請求

 ・ビューアビリティ
   
-長いページの最下部に広告が表示されるなど、消費者にきちんと届かない

 ・ブランドセーフティ
   
-アダルト系や暴力系などの公序良俗に反するサイトに広告が表示される

 

という3問題に広告主の企業がキレているという趣旨の記事であります。

 

いいぞいいぞ。

 

 

 

アメリカのウーバーがイギリスの電通子会社フェッチを訴えた件の紹介(極右系サイトに広告が出てブランド棄損、さらにはクリック数偽装による課題広告費請求まで)から始まり、P&Gブランド責任者によるネット広告への怒りのスピーチ(これはいいスピーチ)、アドフラウドの代表的手口の紹介(ボット活用やURL偽装等)、日本大手企業へのブランド棄損事例の通報(こんなサイトに御社の広告載ってますけどいいんすか? と)、アップルが付きまとい広告(リターゲティング広告)を制限し始めた件……などなど。

 

読み応えのある記事が次々と出てまいります。

業界関係者にはお馴染みの内容も多いと思いますが、こうして良い意味で総花的に特集して広く発信したことに意義がありますね!

 

 

 

週刊東洋経済らしいな、と思ったのが「業界キープレーヤーの反省と戦略」

ネット広告関係者大手の電通デジタル、ヤフー、LINE、楽天データマーケティングの経営者へのインタビューが掲載されていて、内容はそれぞれまっとうできれいなことを言ってはるのですけど。

 

この誌面づくり、週刊東洋経済らしい品のよさです。

他の雑誌なら、「元ネット広告会社社員」とかをつれてきて、「スポンサーのブランドとか考えたことないっす」「ぼくらクリック数どんなけ増やすかで給料もらってましたんで」「体質なんて変えようないっすよ」みたいな覆面座談会でも入れるようなところだと思います(笑)。

 

でも、今後のことを考えたら大手有力社にちゃんときれいなコメントを表明してもらった方がいい方向に物事は進むでしょうし、こっちの方が世間に対して良心的ですよね。


Webの東洋経済はアクセス数重視・通俗主義寄りで、あれはあれでけっこう面白くて好きなんですが、雑誌の方の東洋経済のちょっと固い感じも私は好きです。

 

 

一方、内部リーク的な覆面座談会がない代わりに、広告主である企業の本音コメントが匿名掲載されています。


いちばん共感したのは

ネット広告が普及する中、広告代理店はクリック数ばかりに目を奪われ、広告主のブランドイメージを高めるという本来の機能が低下していると感じる

(業種:消費者向けサービス、年商レンジ:~1,000億円)


というコメント。

 

せやせや。

 

ブランドセーフティの対策は必要だと感じている。法令順守の基準をわが社独自に設け、それに合致したメディアだけを出稿の対象にしている

(業種:日用消費財、年商レンジ:3,000億円~5,000億円)

 

という実直な運用をされている企業担当者にも好感が湧きますね。

 

 

この特集は、巻末の編集後記(杉本さん)で「ベネトンピエタ」エピソードを紹介されていた点も含めて満足度が高かったです。

 

 

 

こういうブログ系も含めて、あふれるネット広告を前提にビジネスモデルをつくっている人・企業は多いですよね。

今後、こうしたネット広告の供給元のところで大きな(真っ当な)地殻変動が起こるであろうことを予見しておくのは大事だと思います。

 

ネット広告でごはんを食べている人は気をつけてください!

 

 

 

 

 

 

 

本気になった富士フィルム 不正会計を機に大手術
古森重隆 富士フィルムHD会長兼CEOインタビュー

富士ゼロックスの海外での不正会計を機に、親会社の富士フィルムホールディングスがグループガバナンス強化に頑張ってるよ、という記事なんですが。

 

古森重隆会長兼CEOのインタビューが超面白いですねえ。

素すぎるコメント、歯に衣着せぬ言い回し。

言葉にパーソナリティーがしっかりと乗り込んでおります。

 

 

当時のグループガバナンスの雑さについて

「それは怒られた。東証に。」

と素直に認めていたり。

 

 

――第三者委員会の報告書では、売り上げ至上主義が不正会計の一因と指摘されました。

 

「売り上げ至上主義がいけないんじゃない。売り上げ至上は当たり前のことだ。」

 

と小僧がごちゃごちゃ抜かすな感みなぎるリアクションを見せていただいたり。

 

 

――後継者はどう育てますか。

 

「いい経営者になりえる人がたまにいるが、50歳前後で部長になるとダメになる人が多い。「これでいいか」と思ってしまうのだろう。肉体的にも頭脳的にも疲れてくる。
経営者にとって大事なのは決断することだ。決断する勇気を持つ訓練を積まなければいけない。人間の幅や深さがあり、自分の美学やロマンに満ちあふれ、気概がある、根性もある、という要素も必要だ。そういう人はなかなかいない。」

 

といいこと言ってはったり。

 

 

優等生が多い大企業経営者の中で、こういう自分の言葉で物事を語る人は珍しいです。

広報担当者は胃薬が手放せないでしょうけど、読者的には楽しいですね。

 

上記後継者素養トークの次に現社長をいじってはるところも含め、憎めない人柄を感じてしまいます。

 

 

 

 

 

J.フロントの財務革命 「店舗BS」の威力

大丸・松坂屋のJ.フロントさんが、各百貨店の店長に「店舗ROA(営業利益/総資産)」目標を課した、という記事になります。

 

バランスシートレベルの判断力を培わせることで、店舗特性に応じた経営判断(フロアづくりレベルだけでなく、店舗不動産等も含めた総合レベルのジャッジをせよと)を求めている訳ですね。

 

とてもいい理念だと思います。

 

が、突き詰めていくと店長さんが「社長……この立地なら、百貨店やるよりオフィスビルに商売替えした方がROAはいいんじゃないでしょうか。このご時世に百貨店ビジネスっていったい……我々の使命とは……」とか悩み出してしまいそうな気もしますね(笑)。

 

私は百貨店さんの商品・サービスに幸せにしてもらったことが何度もありますので、百貨店ビジネスを応援したい派です。

 

 

 

 

 

“光の国・徳島”

徳島県のLEDバレイ構想とかのアピール記事です。

 

徳島県といえば阿波藍の「青の国」ですが、さいきんはLEDライトの「青の国」でもあるんですよ。


これには聚光院殿も実休殿もにっこり。

(阿波藍の“すくも”づくりは三好実休さんが始めはったと伝えられています)

 

記事自体は2ページにいろんな要素を詰め込んだ感じで正直読みにくいんですが、徳島県が栄えてくれたら私も嬉しいので応援しています。

 

'18.2月には徳島県で「とくしまLED・デジタルアートフェスティバル」(チームラボ)も開催されますし、お近くの方はいかがでしょう。
(私も行きたいんですが2月は難しそうです)

 

↓サイトも一見の価値があります

tok-led-artfest.net

 

 

 

 

 

 

 

以上、年末の読み物にも適した充実の一冊でございました。

 

興味が湧きましたら目を通してみてくださいまし。

 

 

 

 

私個人の願いですが。

グロ画像や子どもが不幸になる系漫画のネット広告が消えてくれますように。

 

エロ画像は黙認します。