肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「貴乃花親方はいったいどこまでファンと自分を傷つけるのか」

 

理事選後の貴乃花親方の振る舞いが突き抜けまくっていてかんたんしました。

いいんでしょうか、貴乃花親方。

 

 

別に相撲協会現執行部の肩を持つ訳ではありませんし、貴乃花親方の肩を持つ訳でもないのですけど。

白鵬関の取り口や日馬富士関の引退会見にネガティブな意見が寄せられること自体はいいんですけど。

 

 

相撲協会貴乃花親方の対立、もはや落としどころがなくなっている。

相撲関係者は誰も得をしていないし、いたずらにファンを傷つけているだけ。

得しているのは視聴率や雑誌売り上げを稼げるメディアやコメンテーターのみ。

 

……という状況に陥っていると感じるのは私だけでしょうか。

 

 

 

身も蓋もないことを申し上げますが、そもそもほとんどの相撲ファン相撲協会という組織に大きな期待を寄せていないと思うのです。

 

大半のファンが見たいのは土俵上の充実、現役力士の活躍だけでして。

相撲協会はあくまで裏方、そこの組織運営やガバナンスがどうだとかは関心の外だと思うんですよね。

 

ぶっちゃけた話、相撲協会が一流の経営なんてできる訳ないじゃないですか。

興業が黒字になって連日満員御礼を実現しているだけで充分じゃないですか。

 

あのメンバーに、一流企業や省庁並のパフォーマンスを本気で求めているんですかね。

 

 

 

「公益財団法人なんだから」という向きもあるとは思いますけど。

具体的に公益財団法人の一覧とかを見たことある方はどの程度いらっしゃいますか。

ハッキリ言って相撲協会よりはるかにグズグズの組織がいっぱい散見されますよ。

 

世間バッシングが高いからと言って相撲協会の公益財団法人認可を取り消すとなると、認可取り消し理由を明文化する必要が出てきまして、そうなると他の公益財団法人は同じ基準に照らし合わせて大丈夫かという検査が必要になって参ります。

行政がそこまで手間暇コストをかけて、いったい何が得られるというのでしょう。

 

公益財団法人が税で優遇されているのは事実ですが、相撲協会が有り余るほどの経済効果を生み出しているのもまた事実であります。

既得権益ムカつくと単純に言い切るのもちょっとどうかという感がございます。

 

 

 

相撲協会の諸対応がグダグダなのは間違いありませんが、世間一般の組織だってたいていそんなもの、それどころか相撲協会以下のガバナンス組織が大半だと思います。

非難している方も、自分の所属組織を冷静に見て「言う資格がある」と確信できる方がどれほどいらっしゃることか……。

 

もちろん悪いことや不祥事にはそれぞれ非難を浴びせるべきですが、大きな改革や改善まで果たして期待するべきなんでしょうか。

それほどの高度なマネジメントを社会が要請するのだとしたら、相撲協会よりも優先される組織がたくさんあると思うのですが。

 

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とりわけ疑問なのが、既に相撲協会内で実権を失っている貴乃花親方がどれだけ世間の支持を得ようと、その先に何があるのか……何もないとしか思えないことであります。

 

相撲協会は国会ではありませんので、世間の支持が高まろうが離れようが、実際のところほとんど影響はないんですよね。

ファンの本場所来場が減ればもちろんダメージはありますが、ファンは協会の内紛なんて関係なしに観戦を楽しんでいるのは初場所で証明済みです。

将来の新弟子や新規ファンの獲得は困難になったでしょうけど、貴乃花親方が仮に協会の実権を握ったとしても具体的にどのように協会を改革したいのかが明らかでないいま、いたずらに対立を盛り上げることは傷口を広げることにしかならないはず……。

 

 

何が言いたいかと言うと、貴乃花親方は相撲協会の改革に直接影響のない世間支持を集めようとするより、堂々と相撲協会内の貴乃花親方支持者を増やす方に注力すべきではないかということです。

 

私見ですが、貴乃花一門の親方衆ですらそう思ってはる気がいたします。

 

 

きつい言い方をすれば、「横綱かくあるべし」と仰っている貴乃花親方自身が、いまやってはることは「変化」「奇襲」で、組織人として「横綱相撲」を取っているように思えないことが残念なのです。

 

 

現役時代の格好いい貴乃花関はどこにいったんでしょう。

相撲協会内で自身が人気・支持を得られなかったことに正面から向き合わず、「あいつらが腐っているからだ」みたいなマスコミ印象操作に同調して、相撲協会の共感を得られないやり方で世間を煽っているというのはどう見ても……横綱相撲的な戦略ではありません。

自身が非難している白鵬関の取り口(受け止めない相撲)を、自身がいままさに土俵外でやっている感じなのは気づいてはるんでしょうか。

 

 

抽象的理念ではなく、具体的に相撲協会の何をどう変えたいのか、そのためのロードマップは、想定される課題と対策は……などの貴乃花ビジョンを明らかにし、是非を協会関係者に問うてくださることを祈っております。

さすがに単にモンゴル横綱を追放したい、愛国主義的な理念を布教したい、というだけではないでしょうし。

……ないですよね?

 

 

 

どれだけマスコミや一般人にもてはやされようが、相撲協会関係者の共感を得られない限り、相撲協会の改革を進めることはできません。

 

そこに向き合わず、相撲協会へのバッシングを煽り続ける姿は……長期的に見れば貴乃花親方自身を傷つけることになると思います。
最近の貴乃花親方の振る舞いは見ていて悲しくなります。
貴乃花親方には組織人としても痛みに耐えて頑張ってほしい。

 

何より、昨今の相撲関係報道は相撲ファンの人格すら否定しているような勢いがありますから、大っぴらには言えないものの相撲ファンのフラストレーションをチャージしまくっているのが実態だと思うのです。

 

 

 

相撲ファンに心を癒す静穏を与えるためにも、

横綱貴乃花親方の貫目を損なわないためにも、

落としどころのない対立煽りがそろそろ沈静化していきますように。

 

 

 

こうした貴乃花親方の行動を生み出したのは相撲協会ですから、こっちはこっちで心底からの反省とケジメを見せてくださいますように。

貴乃花親方を悪者にして満足していちゃおかしいです。

 

一方、相撲協会メンバーの大半だって彼らなりに相撲の未来を考えている訳ですから、メディアには協会の地道な取り組みもちゃんと取り上げてもらいたいですけどね。