平成最後の夏場所が終わり、横綱鶴竜関が連覇を果たしはりました。
鶴竜関と栃ノ心関の冴えっぷりにかんたんし続けた2週間でしたね。
幕内で勝ち越したのは次の方々です。
14勝 鶴竜
13勝 栃ノ心(技能賞、敢闘賞)
12勝 千代の国(敢闘賞)
11勝 白鵬
10勝 妙義龍、旭大星(敢闘賞)、貴景勝、錦木
9勝 御嶽海、正代、大翔丸
8勝 勢、逸ノ城、玉鷲、松鳳山(殊勲賞)、嘉風、琴奨菊、輝、
栃煌山、佐田の海、碧山
鶴竜関の連覇は心の奥から湧き出るような嬉しさがありますね。
優勝インタビューで後半戦の優勝争いについて聞かれたとき、
――トップに立ってからも気持ちは変わりませんでしたか。
「そうですね、そこで気持ちがブレちゃって辛い思いをしたこともありますので、そういう経験も活きたと思います」
という短いやり取りに過去の経緯を様々思い起こして涙ぐんだ私のような相撲ファンも相当数いらっしゃるのではないでしょうか。
長く相撲を見てきてよかった、という瞬間に立ち会えた喜びは何物にも代えがたい!
満身創痍の中で優勝をもぎ取った先場所と異なり、今場所は鶴竜関の巧みな技術をたくさん見せていただけて観客満足度も高かったと思います。
白鵬戦、栃ノ心戦、逸ノ城戦などこれぞ鶴竜関の「形」という納得感がありましたね。
(一方で時折見られた張り差しや変化が気になる方もいらっしゃるかと思いますが)
栃ノ心関の大関昇進も非常に明るいニュースで、相撲ファンの気持ちを快晴にしてくれたような清々しさがございます。
今場所は栃ノ心関の魅力が全部出たような印象でしたね。
持ち味の重機のような腕力に加えて、まわしを掴む技術の急速な高まり。
観客の胸を打つような場面の連続はまさしく台風の目といった存在でありました。
鶴竜、白鵬、栃ノ心といった上位陣の取組はいつもの場所以上に「まわしの取り方、取る位置」に注目してしまう内容が多く、突き押しメインだった昨今の幕内の風潮にも変化が出てきたような気がいたします。
千代の国関の12勝、敢闘賞受賞もたいへん嬉しい。
この人の内容が「危なげなくなってきた」という事実は実はすごいことだと思います。
休場明けの白鵬関は11勝。
もうかれこれ3-4年くらい「力が落ちてきた」と言われ続けていますが、力が落ち続けているのだとしても11勝で負けた相手は鶴竜、栃ノ心、逸ノ城、阿炎だけだという。
よくも悪くもこの10年の相撲界は「絶対強者の白鵬 vs その時期調子のよかった力士」という構図が続いてきて、力士も観客もそれに慣れてしまっておりますが、いつか(私はいますぐではないと思っていますけど)白鵬関の力が本当に落ちてしまったときに、どのような魅せ方をすれば相撲界が盛り上がるのかは試行錯誤が要るんだろうなあ。
10勝の妙義龍関、旭大星関、貴景勝関、錦木関はそれぞれ喜びたい背景をお持ちなので誰か一人を強調するのは憚られますね、4人とも勝ってくれたことがとにかく嬉しい。
9勝勢の中では御嶽海関がもう少し星を伸ばせそうな印象だったのですけど惜しかったですね。8勝勢の逸ノ城関も同様。
負け越した方々の中だと、印象に残ったのは阿炎関、千代大龍関と遠藤関でしょうか。
阿炎関(7勝8敗)は白鵬関に勝った後のインタビューがほんまにね。
あれで全国のお母さま方は完全に貫かれてしまいました。
息子はみんな見習うべき。
千代大龍関(6勝9敗)は御嶽海関に勝った一番が往年の千代大海関の取り口みたいでグッときました。
遠藤関(3勝10敗2休)は勿体なかった無念さに尽きます。
もともと下半身が強靭な方ですが、今場所は上半身の仕上がりも凄い充実していて、これは期待できそうだと思っていたところの怪我でしたからね……。
強行出場について色々言われておりますが、おそらく一番無念さを抱いているのが本人だったのだろうと受け止めております。
怪我をされている方々といえば、稀勢の里関や照ノ富士関が……。
まだ引退しないで欲しいなあ、本当に。
一方で、いまも幕内上位で勝ち越してはる琴奨菊関の凄さを思い知らされます。
来場所はできれば3横綱3大関がそろって活躍してくださりますように。
なにとぞ怪我や事故が減っていきますように。
定点観測 相撲界の毛利三兄弟
若隆景(十両十四枚目) 8勝7敗
若元春(幕下十枚目) 5勝2敗
若隆元(幕下十三枚目) 4勝3敗
それぞれ順調に番付を上げてはりますね。