前回の記事で蘆名家の話をしたら、たまたま蘆名家にちょっとだけ縁のあるお菓子をいただいてしかもそれがもの凄く珍しいおいしさだったのでかんたんしました。
お菓子の名は「もろこしあん」であります。
※画像はオフィシャルHPより引用。
「もろこし」と聞いて一瞬??となりましたが、これは「とうもろこし」でなく「唐土」、すなわち中国のことなのだそうです。
「中国から伝わったお菓子」的な意味なのでしょう。
このお菓子は小豆餡のまわりを炒った小豆の粉(きな粉の小豆版)で覆ったものです。
こうした「炒った小豆の粉を落雁のように打ち菓子にしたもの」を「もろこし」と呼ぶのだそうで。
名前も珍しいのですが、味も珍しいのですよ。
しっとりした小豆餡を、柔らかぱふぱふな炒り小豆粉でコーティングしている訳で、食感の対比がまず面白いです。
その上、この炒り小豆粉……もろこしの部分が実に味があるのです。
きな粉と似ているんだけど、ちょっとだけニュアンスの違う香ばしさでして。
もともと小豆由来ですから当然にあんことの相性もよく。
小ぶりな一口サイズにまとめられているのも好印象、一口食べればもろこしの香ばしい風味と奥ゆかしい甘みが相混ぜになって脳髄を癒してくださいます。
しかもこの風味、コーヒーやお茶とすこぶる合うんですよね……!
秋田県にこんな名物菓子があるとは存じませんでした。
これはもらったら嬉しい秋田土産ランキング上位にエントリー間違いなしであります。
こちらのお店がある角館は武家屋敷と桜で有名な町ですね。
実は、この地の武家屋敷は蘆名家にゆかりがあるんですよ。
戦国時代末期に伊達政宗さんにしてやられた蘆名家は佐竹家に仕えることになり、佐竹家が秋田に移った際も一緒についていきまして。
ほいで秋田で居を構えたのがこの角館の地だったのであります。
町割りなんかも蘆名家の影響が強かったらしいので、蘆名ファンは訪れてみると感慨ひとしおではないでしょうか。
蘆名家は多少マイナーながらも美少年系(ていうかあっち系)のエピソードが多いし、けっこう有名人との絡みも多いので戦国時代ビギナーにもいいと思うんですよね。
まあ蘆名家は江戸時代になってから、3代で断絶しちゃうんですけど……。
私も秋田は秋田市内と男鹿半島(安東愛季さんの脇本城がありました)にしか行ったことがないので、角館はぜひ一度訪れてみたいと思っています。
行ったことがある人によれば大変満足度が高かったそうなので……!
どこの地方も人口減が懸念される時代ですが、こうした魅力ある町の風情がこれからも残されていきますように。