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「アクタージュ3巻 感想 百城千世子は偉大なり」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

 

アクタージュの3巻、デスアイランド編のクライマックスがパトスに溢れていてかんたんしました。

 

主人公の夜凪景さんたちが生み出したとんでもないエネルギーを受け容れた上で最終的に素晴らしい方向に纏め上げてしまった百城千世子さんの存在。

アクタージュの作品内でもアクタージュという作品の連載を継続させたという点でも、まことに偉大なキャラクターだと言い切れるのではないでしょうか。

 

 

www.shonenjump.com

 

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3巻の表紙。

なんでしょう、小学校に入った娘に友達ができたときの親のような気持ちが湧いてくるこの構図は。

夜凪景さんは本当に「普通の子どもが体験していくはずだった人生」を数年遅れでやり直している感があって、厳しい暮らしにようやく光が差し始めたように思えるのがいいですね。

 

表紙カバーをめくったら、いつもの舞台裏ネタではなくて、夜凪景さんおよび百城千世子さん&星アキラさんの幼少期の一場面が出てきたのにも驚きました。

こんな一コマもキャラクターの掘り下げや今後の伏線になってきそうな予感がします。

 

 

 

3巻の内容を詳しくネタバレはしませんが、大きくは天使こと百城千世子さんがブルドーザーこと夜凪景さんを取り込んで神の住まう世界へ至るような展開です。

 

夜凪景さんを完全に陥落させてしまったのが凄いですね。

百城千世子さんの至高の「ケイコ!!」「ありがとう」後ですら、いまだ彼女の「反省か…」にびくびくしていた夜凪景さんが。

デートと線香花火を通して百城千世子さん大好きに染まり切ってしまいましたからね。

そりゃこんな存在が近くにいたら感情忙しなくもなる(×2)わ。

花火回の表紙、夜凪景さんの瞳に百城千世子さんの線香花火が映っているところが心境乗りまくりでとても美しいと思います。

 

て言うかこんなにライバルのこと大好きなジャンプ主人公はナルトさん以来な気が。

 

 

百城千世子さんの責任感や使命感、それらを輝きに転じさせる演技の実力、更に夜凪景さんと手塚監督によって引き出された“伸びしろ”の凄まじさ。

4巻以降はしばらく出番が減りそうですけど、再登場したときは更なる高みに君臨してはりそうですね。

これから先も、いわゆる「かませ」にはなりそうもない、むしろ作品を牽引し続けるような存在であるんだろうなと思いました。

 

キャラ設定の「ハラワタ系珍味好き」「好きな昆虫の画像検索注意感」「横顔フェチ」も彼女の底知れなさを高めてますね。

きっと南の島でのロケは楽しかったに違いない。

 

 

 

主人公格二人の他で、3巻を通して読んで印象が強まったのはスターズの二人でした。

一人は堂上竜吾さん、一人は星アキラさん。

 

 

堂上竜吾さんは単に個人的にキャラクターが好みなだけなんですが。

いいですよね、軽薄で残念で付き合いのいいイケメン。

「I♡RYUGO」Tシャツ、ちょっと欲しいです。

好きな映画に「グーニーズ」「ホーム・アローン」が挙がっていたのも好感度高い。

 

一方で、夜凪景さんと百城千世子さんの芝居を観ていて「…怖がってる」「追撃されてカレンが傷つくのを恐れているんだ」と冷静な解説ができる実力者としてのインテリジェンスもいい。

 

キャラ人気がめっちゃ出るとは思いませんが、また何かのシリーズで再登場してほしいものであります。

 

 

 

星アキラさんは……本誌の直近掲載分も含めての印象ですが、実は1巻から通してもの凄く静かに丁寧にキャラクターを育てられてはりますよね。

この丁寧な扱われ方自体、作品内の彼の生まれ育ちとリンクしているようにも。

 

武光さんほど目立たないものの、さりげなく夜凪景さんとずっと一緒にいますし。

「いないよ」「いないよ そんな人」という、地味ながら展開上めっちゃ大事なお言葉を発してはりますし。

3巻のカバー裏や、百城千世子さんがドタキャン時真っ先に彼を頼ったことなどから、千世子さんとの強い関係性も察することができますよね。

 

ヒロイン二人や、3巻終盤から登場してくる「明神阿良也」さん(マタギ役の破壊力にやられました)などに比べて、演技力・才能に欠けるという扱いをされてますが。

 

母親アリサさん(元女優。演技へ入り込み過ぎたが故に傷ついた経緯がある模様)との関係上、実はパない演技の才能を持っているんだけど、その才能を「才能がない演技」に全力でつぎ込んでいた……無自覚に……みたいなヘビィな裏事情持ちだったりして。

百城千世子さん以上に強固で完璧な仮面をつけていた的なね。

 

普通の漫画だったら主人公との恋愛とか三角関係とかに使われそうなキャラですけど、この漫画だったら意外性のある、かつ正統に面白い展開で魅了してくれそうで楽しみ。

 

 

 

あとは手塚監督の“よし!!”が格好良かったのと、

特殊効果班?の「なめんな」が格好良かったのと、

こんなに役者やスタッフがみんな頑張っているのに肝心の脚本が女子高生にミサイルを(ビビらせるためだけに)降らせるような酷い代物なのが面白かったです。

デスアイランドの主催者はもっと経費に気を配った方がいいと思うの。

 

 

 

銀河鉄道の夜」編については4巻以降で詳しく書こうと思います。

好きな作品だからめっちゃ楽しみ。

本誌連載もますます面白くなっていて超嬉しいです。

 

 

人気も出てきているような気がしますし、もうこうなったら作者さんの構想をぜんぶ出し切れるほどに連載が続いてくださいますように。

 

とりあえず、1-2巻を入荷してなかった近所の小さな本屋さんが3巻は入荷していたのに感動しました。

 

 

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