肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

映画「祖谷物語 -おくのひと- 感想」蔦哲一朗監督

 

祖谷物語という不思議な映画にかんたんしました。

 

iyamonogatari.jp

 

 

 

 

 

徳島県三好市の祖谷を舞台にした映画です。

祖谷といえば平家の落人伝説であったりかずら橋であったり201X三好長慶さんのスキル鍛錬であったりで有名ですね。

(映画のクレジットによれば三好長慶武者行列の方々も参加されているようです)

 

 

 

ストーリーはあってないようなものです。

後半はファンタジー寄りですが深く考えなくてもいいと思います。
流れ、モダンアート、視聴者の心がなんらか揺らめければそれでいいんじゃないかと。

物語よりも、ひたすらに祖谷の原風景、過剰なくらいにオールドな時代の生活ぶりを、すんごい美麗に撮影してくれておりますので素直に受け止めて楽しみましょう。

 

印象としては、もののけ姫ラストの蘇る緑のシーンを2時間半かけて眺めていたような映画でした。いかにも海外の賞で評価されそうな。

祖谷の空気感をこれだけ繊細にリアルにフィルム収録できているのがすごい。

緑の草むらを走り抜けるシーン、雪原を彷徨するシーン、原チャで集落を駆け抜けるシーンなど、どれもこれもが満足度高いカメラなのであります。

ラストシーンもいいですね。

 

 

 

主に寒さ方面で体当たりの演技をされている武田梨奈さん、

うぶい農作業や田舎ヤンキーとの会話温度の演技が光る大西信満さん、

そして圧倒的存在感を醸し出す田中泯さんと、役者陣も好演でございました。

 

とりわけ田中泯さんと、この映画、祖谷との噛み合いっぷりは半端ないですね。

全編に亘ってセリフが一切なく、それでいておおいなる神秘性をまとってるんですよ。

後半に差し掛かる辺りの田中泯さんがさまようシーンの動き、あれは常人にはできないと思います。

歩く円空彫りwith苔むし的な佇まいにめっちゃ惹かれました。

 

 

誰にでもおすすめできるような映画ではありませんが、祖谷の四季の空気感、祖谷に惹きつけられる病んだ人々の空気感、神秘と不浄が交わるもおおきくは神秘のまま、的な雰囲気を味わってみてもいいかなと思える方にはおすすめです。

 

撮影に協力した三好市の方々の大半は、当初、出来上がった作品を観てポカーンだったんじゃないかなと予想しつつ。

でも、時々見返したくなる故郷アルバムのような映画として今は受け止められていたりするんじゃないでしょうかね。

 

 

四国の山間や清流って、美しいと思うんですよね。

こうした映画を通じて四国の魅力が広く伝わっていきますように。