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「アクタージュ7巻 感想 天知心一氏の目的は」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

 

ちょっと遠出していて本屋さんへ行けない間にアクタージュの最新刊が発売されていて、発売日から1週間くらい経ったのに単行本が平積みされて目立つ場所で売られていてかんたんしました。

1巻2巻の頃は入手することすら大変だったのに……よかったよかった。

 

www.shonenjump.com

 

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表紙が素晴らしいですね。

季節は夏から冬へ。1巻との表情の違いが、そのまま夜凪景さん(およびこの作品)の変化と成長を表しているようでいいなあと思います。

 

(1巻)

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7巻は学園編、夜凪景さんが役者業をいったん休止してフツーの女子高生の生活を得ようと奮闘する話です。

フツーを入手するのに奮闘しなきゃいけないところが彼女の気の毒な生まれ育ちと直結していますね。

 

 

以下、少しだけネタバレ混じりの感想を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクタージュは目的意識がしっかりくっきりしている大人のキャラクターが多くて、私はそういうとこも好きなんですが、この学園編は逆にまっとうな若者、目的や進路に悩む、等身大の可能性なキャラクターが出てきたのが実によございました。

 

夜凪景さん、アクタージュという作品、のこれまでと現時点の立ち位置を作者さんも読者さんも一緒に確認する、新学期前の連休のようなイイ章だったなあと思います。

 

 

とりわけ朝陽ひなさんという人物はいいですね。

フツーフツーを連呼しつつ、健全で、プレーンで、揺れていて。

 

彼女のセリフの一つひとつが好きです。

「夜凪さぁ 吉岡の名前覚えてた? 私の名前は?」

(私が一番先に仲良くなりたい)

「夜凪さぁ!」

 

童謡縛りカラオケで盛り上がってくれるとことか最高やん。

 

読んでて思いましたが、“フツーにあざとくてウザくて意味不明”っていう体験をすることって、フツーの人生、とりわけ高校生時点では意外と少ないですよね。

若い衆の世界では、そういう体験が起こるのを待っている人が大半で、目的意識が明確な人の方がレアであろうと。

 

彼女の存在が、アクタージュの世界を一層複層的にしてくれた気がします。

 

 

 

他に単行本で面白かったのは、何と言っても手塚監督のオマケ漫画でしょうか。

ええわあ手塚監督。

精神的にも年齢的にも成熟した美女に慄きつつも信奉している感じが。

 

 

あとはウルトラ仮面のデザイン、冷静に見たらウルトラマンファンにも仮面ライダーファンにもウケなさそうな独特の代物で面白いなとか、

裕次郎さん告別式で止めていたタバコを吸ってしまう黒山墨字さんとか。

 

 

 

 

さて、7巻では天知プロデューサーが登場しました。

 

現時点では顔見せ程度で、具体的な動きは見せておりませんが、作品的に新たなキーマンとして存在感が増していきそうな気配がぷんぷんします。

役者とも演出家とも違う、別軸の定義で動く、大きくは悪役? という印象ですが。

 

大金を動かしていたり、

悪名が知れ渡っていそうであったり、

黒山墨字さんのことを名字呼び捨てしていたり、

フックが散りばめられているこのキャラ、一体何を目的に動いてはるんでしょうね。

 

アクタージュの他の大人との対比でも、この天知さんも何らかの目的意識は持っているんだろうなとは予想しているんですけど。

単なるお金稼ぎ目的の人なら夜凪景さん関係で損失が出た時点でイライラするはずで、どっちに転んでもOK的な平然としたアティチュードを見るに、お金稼ぎは手段であって目的ではないタイプなんだろうなあと。

 

 

ジャンプ漫画でこういう雰囲気の人物というと、個人的にはダイの大冒険キルバーンさんと、キン肉マンのサイコマンさんがパッと思い浮かぶんですけどね。

前者は目的も手段も他の悪役とは違っていた人(?)で、後者は目的は他の悪役と一緒だけど手段が違っていた人(超人)でして。

 

後者で、目的はあんがい黒山墨字さんと近いんだけど、手段が違い過ぎて決別したとかなんかもしれないですね、天知さん。

そうすると、最終的にはアロガント・スパーク喰らって大黒天消滅ビームを身代わりに浴びて絶命しちゃう役回りになるのか。

 

 

今後の展開で、天知さんがどんな状況や理由に感情を露わにして、どんな動機や目的で魅せてくれるのか、楽しみですね。

 

 

 

大きな意味で新たな季節に入っていくアクタージュが、ますます面白く盛り上がっていきますように。

 

 

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