ミスター味っ子幕末編が寺沢大介先生のやりたい放題に描き切って大団円を迎えていてかんたんしました。
とりあえず、ミスター味っ子や将太の寿司が好きな方は読んだ方がいいです。
(後ろの若い切島傀さんみたいなのは明治天皇です)
以下、ネタバレをふんだんに含みます。
味吉陽一さんや堺一馬さんの活躍もあり、物語は幕末クライマックスを迎えます。
戊辰戦争は起こりません。
代わりに天皇料理祭(すめらみことにたきまつり)という名の天皇GP料理対決で日本の舵取りを誰が担うか決めることになりました。
味っ子界からは劉虎峰さん(先祖)や下仲基之さん(本人)も登場します。
西郷隆盛さん(本人)も料理します。
審判は山岡鉄舟さん(大年寺三郎太さん)が務めます。
……悪ノリが過ぎるような流れですが、こうなってくると寺沢大介先生の筆はノリにノッていて料理漫画としても寺沢大介作品としても非常にレベルの高い作品にまとめあがっております。
このままリイド社あたりに移籍して類似作を発表してほしいくらい。
話の展開として、
「皇室で一番大事な行事は新嘗祭」
↓
「だから料理勝負で一番大事なことを決める」
という強引なロジックが飛び出すのが大好き。
これこそ漫画力というものですね。
山岡鉄舟さん(大年寺三郎太さん)が暴れ牛にブレーンバスターをかけるシーンも大好き。
これこそ寺沢大介作品ならではの悪ノリというものですね。
現代から下仲基之さんが転移してくる際、
「そのすべてを滅ぼす……力が欲しいか……?」
と料理漫画らしからぬセリフを吐きながら徳川慶喜さんの前に現れるのも大好き。
この作品の西郷隆盛さんは手段を選ばない実力派悪党として描かれているのも大好き。
「封印を……解き放つ時が来もした……!!!」
と不穏なセリフを吐きながら解き放った封印=ハンバーグというのがたまらない。
他にもツッコミどころや笑いどころがたくさんあるのですが、というか料理勝負としても幕末物語としてもネタとしても山岡鉄舟さん(大年寺三郎太さん)が美味しいところを持っていくのですが、最終的にはハッピーな感じになって、更には味っ子Ⅱに続くようなラストを迎えたのが私としては嬉しゅうございました。
初代味っ子や将太の寿司ほど知られていない気もしますが、みんなもっと味っ子Ⅱを好きになりましょう。面白いから。みんな大好き大年寺三郎太さんも出るよ。
土山しげる先生も亡きいま、寺沢大介先生がこれからも健康なままで、悪ノリ含め楽しい料理漫画をたくさん発表してくださりますように。
読切含め寺沢大介先生の時代劇ものはかなり面白いので、本当にリイド社あたりで連載を持ってもらいたいものです。
「ミスター味っ子 幕末編 2巻」寺沢大介先生(朝日新聞出版) - 肝胆ブログ