2017春場所の千秋楽が終わり。この15日間にかんたんしました。
稀勢の里にはもう言葉もありません。
すごいものを見せていただいてありがとうございました。
今場所の稀勢の里は落ち着きを一層深め、大仏のような存在感でした。
千秋楽の取組にどうしても目がいってしまいますが、
怪我を負うまでの安定ぶりは本当に凄かった。
しかも高安まで似たような雰囲気を放ち始めていて。
稀勢の里の怪我が長引かないことを前提に話しますが、
これから、力士たちは対稀勢の里・高安の研究に励むのでしょうね。
これまで白鵬がそうされてきたように。
白鵬の場合はむしろ白鵬の方こそがライバル力士の研究に熱心だから、
なかなか各力士は白鵬の次元に近づけませんでしたが。
稀勢の里・高安の場合はどうなるのでしょう。
今場所稀勢の里・高安が見せた重々しい力強さ。
これが一過性のものではないのだとしたら、なかなか難攻不落でしょう。
腰を据えて戦う相手としては実にきつい。
ならば考えられる作戦としては、立ち合いの集中力で一気呵成に決める……
今場所の日馬富士や先場所の琴奨菊がやってみせたように……とか。
嘉風のような機動戦とか、碧山・琴勇輝のような突き放しとか。
まずは「慌てさせる」ことから始めないといけないのでしょう。
変化を狙う者も増えると思います。
思い返せば、白鵬は稀勢の里相手の立ち合いでの駆け引きが上手でした。
幕内力士たちが、このまま田子ノ浦部屋勢の独走を放っておくことはないと思います。
白鵬の休場、琴奨菊の大関復帰失敗はいやがおうにも世代交代を印象付けました。
残念なことですが、これもまた受け容れなければならない現実です……。
上に稀勢の里対策のことを書きましたが、誰が一番上手に対策するかというと
それはやはり白鵬になる予感がします。
フィジカルが多少衰えたとしても、身体が多少痛んでいるとしても。
白鵬の真価は研究力と対応力の高さで、その点はまだまだ衰え知らずです。
現状の身体でできることを把握しきれば、いままでほど圧倒的でなくても、
再び稀勢の里たちを振り回す大横綱として活躍されるのではないでしょうか。
琴奨菊。10勝に届かなかったとはいえ、関脇でしっかり勝ち越しました。
高安に当たりを止められた時はけっこう絶望感を覚えたものですが、
やはりまだまだ(好調時は)日本人トップ5に入っているように思います。
これからも長く活躍して、ファンを喜ばせてほしいです。
何かの拍子で数年後に平幕優勝とかしてくれたらとても嬉しい。
負け越しましたが、今場所は貴ノ岩と北勝富士の印象がよかったです。
共にどっしりしてきて、ごつごつした身体の感じが格好いい。
特に北勝富士の無骨な面構えは、昔の時代劇の悪役みたいで大好きです。
そして千代の国。
石浦や宇良が目立ちがちですが、体重軽い若手勢の中では彼に一番注目しています。
嘉風戦のY字バランス引き落としは最高でした。
怪我することもなく前頭六枚目での勝ち越し、おめでとうございます。
最後に照ノ富士。
色々ショックもあると思いますが、十三日の鶴竜戦までは本当に凄かったんだから、
引続きふてぶてしく強い大関でいてほしい。
強い照ノ富士が帰ってきてくれたのは本当に嬉しかったのです。
変化の件も……まあ、照ノ富士も琴奨菊に変化されたことあるしね……笑
今日も手負いの稀勢の里が変化してくれたことで、救われた部分もあるのかなあ。
千秋楽の二番は焦ってしまった感じがありましたが、
いまの稀勢の里が相手でも、照ノ富士なら力勝負に持っていけるはず。
これからも名勝負を繰り広げてほしいと願っています。
来場所も、怪我なく事故なく、充実した土俵が見られますように。