肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

日経新聞より「テンセントを真っ向批判 人民日報、ゲーム自殺騒動で」

 

 

日経新聞が報じた中国のゲーム・IT大手「テンセント」の記事に
かんたんいたしました。

 

www.nikkei.com

 

 

テンセントという中国の企業をご存知でしょうか。


たぶん知らない人の方が多いと思います。

現在世界時価総額ランキング10位。
アリババ社に次ぐ中国企業ナンバー2。
すなわちアジア企業としてもナンバー2。

世界時価総額ランキング2017 ― World Stock Market Capitalization Ranking 2017


残念ながら規模面では任天堂ソニーが束になっても叶わない、
世界トップクラスのゲーム・IT企業さんなんですよ。


中国のゲームマーケットというと日本の人気ソフトの海賊版
露天で並べられていて当局に内緒でこっそり楽しんでいるような
アングラなイメージがあるかもしれませんが、この10年ですっかり
様変わりしておりまして。

このテンセント社、アメリカの大手ゲーム会社を次々と買収したり
色んなゲームで採用されているゲームエンジンを提供したり
AI活用を積極的に研究したりと手広くブイブイいわせてはります。



今回のニュースは、そのテンセントさんの株価が急落したという内容です。


どうしたかというと、同社のスマホゲームが中国内で人気出すぎて、
親に叱られた13歳の少年が飛び降り自殺を図ったり
11歳の少女が盗んだクレジットカードで170万円も課金したりと
不穏な事件が続いたものでしたから、ついに当局機関紙の人民日報が
同社をバッシングしまくったという経緯なのであります。


……なんか、日本でもありそうな(あったような)話ですね。

廃課金問題とかコンプガチャ問題とか。


これからVRが普及したら、狂四郎2030みたいなサービスが出てきて
ますます少子化が進んでますますゲーム?業界が叩かれるんだろうな。

 


どこの社会でもどんな領域でも、王者という立場は品格や責任を
求められるものです。

トップ企業は高い水準の社会貢献やお客様サービスやコンプラコストを
要求されますし、大臣さんは不倫がばれたら失職してしまいますし、
横綱は変化したら叩かれてしまう訳です。


中国社会でもそうあるべきとされているのでしょう。


中国当局というところは頭のいい方々ですから、
こうしてトップ企業をときどき叱って、
業界全体の引き締めやモラルアップを図っているんでしょうね。
自分たちに民の矛先が向かないよう計算しつつ。

 


……中国当局、本当に頭がいいです。動きも早いし。

このテンセント社のサクセスストーリーでもそうですけど、
外資企業への参入障壁のかけ方が天才的です。

凄まじい人口を有する巨大マーケットの魅力をチラつかせて、
「ちょっとだけ」外資企業を参入させて、コツを吸収して、
「オラオラァッ」と自国企業を大成長させる。

有形無形、当局による様々な形のバックアップ。
センスが高過ぎます。
これは卑怯と言ってはダメで、むしろ見習うべきでしょう。

 

 

これからも中国企業の日本進出が続くんだろうなあ。


「中国製品なんて買わんし」って思う人も多いかもしれませんが、
違うんですよ。

中国クラスのマーケットでてっぺん取った企業って、
莫大なマネーマネー資本を蓄積できますから。

わざわざ中国でウケた商品やサービスを日本向けにローカライズするとか、
手間かかる割に儲からないことなんてしませんよ。


……日本の儲かる企業を次々に買収していくんです。


さいきんクラッシュした郵政のオーストラリア企業買収だとか、
バブル期の日本勢によるアメリカ企業買収だとか。

日本クラスのトップ企業ですらそういうことができるのです。

中国クラスのトップ企業なら、どんな企業でも買収できちゃいます……。

 

まあ、日本は低成長社会ですから、わざわざ日本企業を買収するよりは
他地域の企業買収を優先するでしょうけど。

それでも最近までの不動産価格高騰はだいぶ中国マネーの影響が
ありましたし、引続きある程度は買収されちゃうんだろうなあ。
先端技術や独自技術があるところほど。

シャープとかシャープとか。

ゲーム業界で言えばコーエーのような企業が狙われるかも。
是非とも「大志」を傑作にしていただいて、高株価を維持してほしいです。

 

こういう潮流を受けて、案外、10年くらいしたら
企業間の株式持ち合いが復活するかもしれませんね。

日本企業の純潔を守れ、的な。


いやいや、んーむ。
安直で下策な匂いがする。


日本式の、新たな参入障壁の築き方が求められているんだろうなあ。

21世紀型の築城術。
求む軍配者。
いい案を編み出せたらどこの企業にも仕官できますよ。

 

 

冗談はさておき、日本も中国もゲーム業界が健全に成長して
世間様の理解を得られますように。

若者も食い物にされるばかりではなくて、
たまには大人をぎゃふんといわせてやれますように。