アメリカ企業「メタ社」でAR・3Dホログラムを活用した職場づくり実験が
始まったというニュースにかんたんしました。
記事の中のこの写真、とても格好いいです。
何が書いてある記事なのかも一目で伝わります。
(Photographer: Stephen Schauer/Meta)
メタが目指すのは、実在する物体を扱うのと同様にホログラムを取り扱え、現実世界をシームレスに拡張させるAR技術の確立だ
ユーザーは、クリックやドラッグ、ボタン押しといった操作をすることなく、手で3次元物体をコントロールできる
コンピューターも間仕切りも、普通の仕事机も椅子もないオフィスで、スタッフがホログラムの回りに集合して共同作業する、という未来のビジョン
いよいよ実現・普及が見えてきましたね。
職場の掃除が楽になりそうでいいと思います。
一方、空間に映したホログラムをいじって仕事し続けると
腕がプルプルになりそうな気もします。
この辺は人間工学に基づいて楽な姿勢・映し方が見出されていくんでしょうか。
メタの従業員の一人の仕事机にはヘッドセットとキーボードが置いてあるだけ、壁にも賞状と新聞の切り抜きがいくつか貼ってあるだけだ。だがヘッドセットを装着すると、ガールフレンドの写真やスティーブ・ジョブズ氏の胸像、「テスラ3」などのホログラムが姿を現し、別画面ではユーチューブの音楽ビデオが再生される。本物の仕事机の上には、ホログラムの整理棚もある。
地味にキーボードは残っているのが面白いと思います。
ARキーボードの研究も進んでおりますが、
いまのところは本物キーボードの方が操作しやすいのかもしれません。
空中に浮かんだARキーボードを打ち続けたら
それこそ腕の筋肉がえらいことになりそうですし。
未来職場の真の敵は重力だった、的な。
PC作業で必要な機械のうち、キーボードや紙ベースの出力装置なんかは
案外しぶとく残っていくのかもしれませんね。
メタの従業員の体験に基づくと、事実上無限のスペースを使って無制限の数の画面を表示できることが生産性を大きく向上させるようだ
この辺りは一般企業への普及時に最も期待されるところだと思いますが、
実際どうなんでしょう。
私の体験では「無制限の数の画面を表示」はどちらかというと
生産性が悪化するイメージもございますけど……。
業種にもよるのかな。
日本企業だと、職場の皆さんがどんな画面を展開しているのかを
互いに共有できる機能を実装した方が生産性は上がりそうです。
手が止まって悩んでいる子がひと目でわかるでしょうし、
サクサク仕事を進めているデキる子に注目が集まるでしょうし、
ゲーム攻略サイトやyoutubeや食べログを開いていたら即バレるでしょうし。
この技術の利点は、実際に手に取ることができる製品を生産する企業には明白だ。試作品のホログラムを実物大で即時投影できるため、例えば自動車メーカーは新車の企画・設計等に必要な時間を短縮できる
こうしたデザインを伴う仕事には本当によさそうですね。
職場へのインフラ投資という点では3Dプリンタとの競合も起こるのかも。
それにしても、ホログラムであったとしても3Dモデルを周囲に投影可能となれば、
民間普及が進むとアートやらフィギュアやらの業界に地殻変動が起こりそうです。
彫刻なりオブジェなりいかがわしいフィギュアなりの3Dデータが
格安や違法無料でダウンロードできるようになっちゃったら、
実物を買う人ってすごく減りそうですよね。
違法アップロードサイトとかには「エロフィギュア3Dデータ」とかの
リンクが貼られて、ダウンロードしてみたら「う●こ」だったみたいな
悪戯も横行しそうですよね。
未来だなあ。
投資対効果の話はさておき、使う分には楽しそうなので普及が楽しみです。
ただ、ひとつ気になることが。
このアメリカ企業での実験、出資者は「レノボ」「テンセント」という
中国マネーなんですよ。
新しいことはなんでもアメリカと中国が独占する時代です。
例によって儲かるインフラは他国が用意して、あまりお金にならない
コンテンツは日本も一所懸命つくっていますがという形になりそうです。
いいっちゃいいんですけど、
こうした現実を認められない人はけっこう多そうで、
導入にしても普及にしても国内議論が変に紛糾しそうでやだなあ。
低成長時代における日本社会のお家芸……
仏教伝来時や黒船来航時の国内紛争再び、って感じになりませんように。