肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

装甲騎兵ボトムズ「幻影篇」高橋良輔監督(サンライズ)

 

ボトムズOVAの最新作「幻影篇」にかんたんしました。

 

ボトムズWeb|幻影篇

 

現時点でリリースされているキリコさんの物語を観終わりました。
長かった……。


今後続編がつくられるかどうか分かりませんが、この幻影篇で
キリコさんの物語がリスタートできたのはよかったと思います。

 

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりサンサはいいねえ」


ボトムズシリーズでこんな台詞を聞くことができるとは思いませんでした。

砂と鉄屑しか存在しない星。
レッドショルダーによって破壊・虐殺され尽くした星。
大気は汚れ、酸素マスクなしには生きていけなかった星。


この幻影篇は惑星サンサとゾフィーさんの再生物語だったように思います。

そんな内容、どこにニーズがあるんだという突っ込みは置いといて……。

 

 


あらためてあらすじを纏めますと。

幻影篇は全6話です。


1話「ウド」。
バニラさんとココナさんとゴウトさんが30年ぶりにウドを訪れます。
懐かしいバトリングを見物に言ったらシャッコさんがいました。
シャッコさんは謎のATと戦います。
キリコさんは出てきません。


2話「クメン」。
クメンではなんとポタリアさんが大統領になっています。
が、クーデターに遭って首都から逃走しているところです。
相変わらずのクメンです。
30年ぶりに「ファンタムクラブ」を開きますが、キリコを追う輩が襲撃してきます。
結果、ポタリアさんがお亡くなりに……。
キリコさんは出てきません。


3話「サンサ」。
やっとキリコさんが登場します。
なんとTVシリーズに登場したゾフィーさんのお家に居候になっていました。
ゾフィーさんはレッドショルダーの手で家族を失っておりますので、
TVシリーズではキリコさんを殺そうと付け狙っていた経緯があります。
幻影篇では視力が弱り、居候している若者がキリコさんだと気付いていません。
ATの襲撃を受けますが、キリコさんはサンサではATに乗らないと言い切り戦わず。
その時、古代クエント文明の力で唐突にみんなワープしてしまいます。


4話「ヌルゲラント」。
消滅したクエントの双子星だそうです。
シャッコの村では「神の子」が生まれました。
クエントの他部族は「神の子」を殺そうとしてきます。
どうも「死んだら神の子じゃないから殺してみろ」という趣旨の掟のようです。
キリコさんは神の子を守りますが、シャッコさんと一緒に大穴に落ちてしまいます。


5話「コクーン」。
ヌルゲラントにそびえる「ゴモルの塔」の地下に落ちたキリコさんたち。
カイコみたいな変な虫に神の子を奪われ、取り返しに追いかけます。
遥か昔から「神の子候補」はこの地下に落とされ、神の眼鏡に適わなかった子は
命を失ってきたようです。


6話「インファンティ」
ヌルゲラントの神の正体は生きていたワイズマンでした。
「赫奕たる異端」に出てきたモンテウェルズさんが神の子の養育係に名乗り出ますが、
ワイズマンに拒否られ怒って銃を乱発するも跳ね返ってお亡くなりになります。
ワイズマンはキリコさんに神の子を神として育てることを要請しますが、
キリコさんに拒否られ再び殺されます。
キリコさんと神の子は緑の泡に包まれて宇宙の彼方へ飛んでいきました……。

 

 

相変わらずロッチナさんも出てきて、ワイズマンの復活と死を見届けて
喜んではりました。
本当にワイズマンとキリコさんのことが好きなようです。
たぶんキリコさんと神の子のことも追いかけていくのでしょう。

 

5話からはかつての神の子候補「ジュノ」という子が仲間になり、
なんやかんやでゾフィーさんと仲良くなって一緒に暮らすことになります。
家族ができてよかったねゾフィーさん。

冒頭で申し上げた通り、幻影篇で救済されたのがゾフィーさんだと思います。

 

一方、TVシリーズクメン編の好漢ポタリアさんは2話で出てきたと思ったら
あっという間にお亡くなりになってしまいました。
かつてのカンジェルマンさんの役割を今度は自分が担ったのだとしたら
一概に気の毒とは言えませんけど……。

やっぱり残念は残念です。

 


あらすじを見れば一目瞭然、この幻影篇はTVシリーズの同窓会、
リバイバル的な内容になっています。

物語の中でも現実の時間軸でも30年の時が流れているので、
感慨は深いものがあります。

画質もすこぶる良いですし、OP・EDはキリコさんの雰囲気がよく出ていますし。

ファンサービス的にATは懐かしい機体が続々と出てきますし。
30年後なのにベルゼルガやらストライクドッグやら登場しますからね。

セリフ回しもTVシリーズのセルフオマージュになっていて楽しいです。

TVシリーズが好きだった方にとっては一見の値打ちがあると思います。

 


ただ、TVシリーズやこれまでのOVAと違って、
キリコさんはほとんど戦いません。

5話・6話でATには乗りますが、ほぼ移動に使用するだけです。
AT戦はほんの僅か。

6話のラストで、生身のキリコさんがアーマーマグナムで
3機の敵ATをぶち殺したのはめちゃくちゃ格好良かったですけどね。
人間やめてる感じがありありと出ていました。

 


ストーリーについては、作品単体としては微妙です。

ワイズマンがいくらなんでもアホ過ぎます。
「やめるんだキリコ……(グエー)」じゃねーよと。
この神様なに同じやり方で殺されてんねん。


神の子を引き取ったキリコさんを見て「神はサイコロを振らず。強かだ」と
ロッチナさんは評しておりましたが……。

キリコさんの手に渡った以上、神の子はワイズマン式銀河統治システムの
後継者にはならないと思います。
あるいは後継者になろうとしたら最終的にキリコさんの手で阻止されると思います。

後付けでワイズマンの深謀遠慮を設定することもできるでしょうけど、
現時点ではあまり「強か感」は湧いてきませんでした。

 


一方で、幻影篇はボトムズシリーズにとってはよかったと思います。


ゾフィーさんとサンサの再生は、キリコさんの「過去の清算」を象徴しています。
「未来へ向かって生きていくためのけじめ」ができたと言えるでしょう。

フィアナさんの代わり(と言いたくはないが)に「神の子」を得た
キリコさんは、今後どのように生きていくのか。

新たな想像の余地ができました。

願わくば静かに平穏に暮らしていてほしいんですけど、
続編がつくられたらまた殺し合い生活になっちゃうんでしょうね。

 


幻影篇を観れば観るほど「赫奕たる異端とはなんだったんだろう」という
複雑な感情が湧いてきますが、神妙に受け止めることにしたいと思います。


フィアナさんもテイタニアさんもこのラストを受け容れてくださいますように。

 

 

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