松田優作さん初主演の映画「あばよダチ公」がひど過ぎて笑えたのでかんたんしました。
※ゲッターロボの竜馬さんやグレンラガンのカミナさんは関係ありません。
松田優作さんを中心とした四人のチンピラの物語なんですが……
松田優作さんの演技や肉体美は魅力的なんですが……
この映画、脚本・展開が酷くて下種過ぎて面白すぎます。
ナンセンスなドタバタストーリーを役者さん方が真剣に演じているのが脱力感溢れる笑いをもたらしてくれるんですよ。
以下、ネタバレを含みます。
強盗事件で服役していた松田優作さんが浦安の実家に帰ってきたところから話が始まります。
浦安……きったねー。
まるで大阪や尼崎のようです。
この映画の公開は1974年。
マリナーゼはおろか、東京ディズニーランドすらこの世にない頃ですね。
現代の浦安人にこの映画を見せたらどんなリアクションしはるんでしょうか。
松田優作さんの実家では「樹木希林」さんのヌードシーンを拝むことができます。
大変ありがたいことです。
松田優作さんは友人たちと合流し、夜のお店で無銭飲食して乱闘騒ぎを起こします。
警察に捕まった後、警察署でもまた乱闘騒ぎを起こします。
警察に留置された後、錦糸町で街宣していた右翼団体の女性のスカートをまくり上げてまたまた乱闘騒ぎを起こします。
頭おかしいです。
冗談抜きで、優作さんの友人役の「佐藤蛾次郎」さんは「政治」と「性事(ハマグリとも)」の区別がついていないという人物設定なので、右翼女性の「若者よ政治に参加せよ」的なスピーチを聞いて奮い立ってしまったという訳なのです。
…………んごい。
その後、優作さんの友人の友人という設定の「加藤小夜子」さんが合流いたします。
加藤さんは山村の生まれで、実家がダムに沈む予定。
父親が補償金上乗せ目当てで立ち退きせずにダム建設反対を訴えているそうです。
金の匂いがするからと、優作さんは加藤さんと結婚し、彼女の実家に向かいます。
話早すぎです。
ちなみに移動手段は盗難車。
ドライブ途中でもさまざまカッパライし続けます。
本当にダメな連中です。
加藤さんの父親をぶん殴って籠城小屋から追い出し、男4人+加藤さんの暮らしが始まりました。
優作さんと加藤さんは毎晩濡れ場シーンに励んでくださります。
加藤さんはリアリティのある美しさの持ち主なので、視聴者も、男友達3人もドキドキします。
というか、こんなもんを毎晩見せつけられる男友達3人は堪りません。
堪りませんというか溜まり過ぎてしまいます。
たまたま通りがかった女性に襲いかかったり、その女性を助けようとした猟師さんから猟銃を奪ったりします。
もはやチンピラというか山賊です。
その上、餓次郎さんなんて盗んできたヤギとファックし始める始末ですからね。
……脚本、フリーダム過ぎます。
そして、立ち退きを請け負う建設会社兼ヤクザとの抗争に話は移ってまいります。
ヤクザは当然のことながら卑怯ですし強いです。
優作さんたちはボコボコにされ、ダム周辺から追い出されてしまいます。
諦めて尻尾を巻いて帰ろうとしたんですが。
そこに偶然、カラスの鳴き声が響き渡ります。
「アホーアホー」
…………アホーアホーの木霊が四人の屈折を浮かび上がらせます。
貧困、汚濁、屈辱……
希望レスの人生、これでいいのかという反骨がめらめら湧いてくるのです。
カラスの鳴き声がきっかけで。
もしかしたら名シーンなのかもしれませんが、シュール過ぎて笑ってしまいました。
そんなこんなでヤクザの親分のところに殴りこんだ四人組。
首尾よく親分を締め上げ、大金を奪いますが……
事務所は手際よい警察たちに包囲されてしまいました。
一人、なりゆきで四人組についてきていたチンピラがいたのですが、「俺は無関係だ」と叫びながら事務所から逃げ出した瞬間、なんのためらいもなく銃殺されます。
お巡りさん、容赦なさ過ぎです。
優作さんたちはしばらく籠城していましたが、催涙弾的なものを投げ込まれていよいよ危なくなってきました。
その時、優作さんがナイスアイデアを閃きます。
\\ヤギだ!//
なるほどと。
奪った紙幣を、皆でモシャモシャ食べ始めました。
……えええ。
モシャモシャ万札を食べるシーンが続きます。
役者さん方はみんな超真剣。
観ているこっちの頭がおかしくなりそうです。
痺れを切らしたのか、警察方はクレーン吊りモンケンで事務所を破壊してきました。
(あさま山荘事件的な奴です)
ほんまに、お巡りさん容赦なさ過ぎです。
……が、優作さんたち四人組はこれ幸いとモンケンにしがみつき、そのまま事務所を脱出。
上手いことモンケンから警察包囲網の外に飛び降りて、川を泳いで逃げてしまいましたよ。
えええ、警察さん無能過ぎませんか。
優作さんたち。
腹の中には大金が眠ってるし、まあ良かったなあと。
爽やかに対岸の土手を歩いて去って行きます。
完!!
……なんなんだこの映画!
恐るべき松田優作さんの無駄使い!!
て言うか「あばよダチ公」って。
優作さん最後は死んじゃうんだろなと思っていたら。
死なへんのかーい!!!
……という訳で、シュール過ぎて変な笑いが出てくる楽しい映画でございました。
汚い言葉やヌードや暴力がたくさん出てきますのでアレですが、そういうのに抵抗のない方なら楽しく笑えると思います。
男子大学生の集まりとかで観るといいんじゃないでしょうか。
こんな怪作が、松田優作さん初主演ということで歴史に残ったり現在もDVDが借りられたりするのは凄いことです。
映画の神様もイタズラが過ぎますね。
この愉快な映画が今後も発禁になることなく、後世に残っていきますように。