2017年の九州場所が終了。
白鵬関V40や安美錦関の涙や北の富士さんのレッドジャケットにかんたんするだけで終われればどんなによかっただろうという15日間でございました。
とてもつらいです。
まずは幕内力士の結果から。
今場所、10勝以上をあげる活躍をされた方々は次の通りです。
11勝 玉鷲(前頭筆頭)、貴景勝(〃)、北勝富士(前頭三)、隠岐の海(前頭十二)
10勝 逸ノ城(前頭四)
白鵬のV40はほんまにほんまに凄いですね。
もうなんて言うかリアリティのない次元まで行ってしまってはります。
漫画のキャラみたいです。
「バチバチ」「火ノ丸相撲」という漫画の展開が成立しているのも白鵬というモデルがあってのことだと思いますし。
今場所はいいところも悪いところも白鵬らしさが出まくっていました。
動きのキレのよさは今年一番だったと思います。
とりわけ阿武咲戦・北勝富士戦でみせた左張り→右から→と見せかけて左、という左右の動きが半端なかった。
対戦相手からすれば横綱が消えたようにも見えたんじゃないでしょうか。
栃煌山戦で時間前に立ったのも衝撃でした。
(ルール的にはアリ。TV中継との関係で普段は起こらない)
毎度毎度おもしろいことをやる相手は栃煌山。
それだけ栃煌山の実力を白鵬が評価しているということでしょうか。
舐めてる訳ではないと思うんですよね。
嘉風戦のふるまいやその他諸々のリップサービスも白鵬らしさが溢れていました。
批判は受けて当然ですが、いかにも白鵬らしいエピソードが増えたという印象です。
土俵外がいろいろ騒がしい中で、当事者に近いところにいる安美錦(幕内復帰からの8勝)であったり、北勝富士や隠岐の海であったり、貴景勝であったりが活躍したのはよかったですね。
相撲は心技体とよく言われますが、今場所で心の部分が崩れない、むしろ発奮していたのはとても大きなことだと思います。
とりわけ北勝富士・貴景勝は強さに安定味が出てきました。
来年あたりいいポジションまで行くかもしれないですね。
玉鷲と阿武咲(小結昇進からの8勝)の立ち合いの鋭さも素晴らしかったです。
玉鷲は完全に上位陣に定着しましたね。
逸ノ城も強くてどっしりな形が戻ってきて何よりです。
他には千代大龍(前頭二で7勝)。
幕内上位で善戦しましたよ。
勢いのいい出足が復活してきましたね。
同じ部屋のイケメン千代の国(前頭四で6勝)は足首の具合が心配です。
大事なければいいのですが。
そう、今場所はケガによる休場が本当に多かったです。
照ノ富士や妙義龍(前頭十五で6勝8敗1休)の休場は心底悲しい。
第二次白鵬一人横綱時代が冗談でなくなってきたのは辛すぎます。
あとに続くべき高安もまた休場だし……。
若手の光が増えてきたといっても、休場者続出の沈鬱は払拭できておりません。
この数年間、本当に土俵の充実は素晴らしいと思うのです。
これは力士一人ひとりも協会の皆さまもファンの方々も一致団結して頑張ってきたことが報われたんだと捉えています。
ですが、その副作用としてケガの続出が。
更には、土俵以外での不祥事と組織内不和が……。
不祥事・組織内不和については不確かなことが多いのでコメントはしません。
私は相撲ファンなので、どうしてもかばうようなコメントになりそうですし……。
事実が明らかになり、その上で世間様から見ても納得感のある厳しい処分と自律が敷かれることを期待いたします。
大相撲はまた難しい局面に立っています。
「土俵の充実」と「副作用・組織管理」のギャップが大きくなっていて、せっかくの前者を後者が台無しにしてしまいました。
「現在の相撲ファン」……いまの土俵の充実を見届けている人々は、それでも相撲を応援し続けることでしょう。
ですが、これだけ土俵外のことがニュースになれば、「未来の相撲ファン」や「未来の力士」の獲得はそうとう狭まったと言わざるを得ません。
相撲協会におかれましては、現在のファンの厚情に甘えることなく、5年先・10年先を見据えた施策を進めてくださいますように……。
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定点観測:相撲界の毛利三兄弟
若隆元(三段目十枚目)6勝1敗
若元春(幕下十一枚目)4勝3敗
若隆景(幕下十二枚目)3勝4敗
若隆元さんがケガして番付を下げたものの三段目で大勝。
毛利両川は幕下上位で頑張ってはりますね。
おめでとうございます。