マジンガーZのムックが出ていて、しかも内容が思った以上によくてかんたんしました。
訓練されたダイナミックファンは、マジンガーZやデビルマンの復刻単行本や特集ムックが定期的に出版されることを知っております。
その質が玉石混淆であることもわきまえております。
ましてマジンガーZの映画公開を目前に控えたいま、いかにも便乗感があってあまり期待せずに立ち読みしてみたのですが……
このムック、愛がある!
とかんたんし、そのままレジに持って行って購入してしまいました。
編集したのはスパイスコミュニケーションズ社とのこと。
いい本つくらはりますね。
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このムックは原作漫画版のマジンガーZ特集が中心で、そこに東映アニメ版や映画INFINITYの紹介も付いている構成です。
目次は次の通り。
マジンガーZイラストギャラリー
マジンガーZ解説
漫画グレートマジンガー最終回「ダブルマジンガー出動」(フルカラー掲載)
マジンガーZ研究(コラム、セクシー場面集等)
アニメ版マジンガーZ解説
映画マジンガーZ INFINITY特集
マジンガーZ レアグッズの世界
超合金の世界
原作コミックの変遷
私が特に気に入ったページを紹介してまいります。
永井豪先生インタビュー
30年くらい前にフランスの映画祭へ審査員として参加されたときのエピソードが印象に残りました。
そのとき、フランスの新聞記者が「私は『グレンダイザー』を観て、初めて日本人が『人間』だとわかりました」って言うんです。「えっ?」ってどういうことか、聞き返したら彼が「日本人というのはエコノミック・アニマルで、経済にしか興味がない、昆虫みたいなやつらだ」とか「がむしゃらにモノを売るコトしか考えていない、そういう経済動物みたいな、感情も何もないような奴らだ」と思っていたと言う訳です。
ところが、グレンダイザーを作ったのが日本人だと知って「自分たちと同じ感情を持っていて、熱い血が流れているということを強く感じて…。それで日本人も自分たちと一緒なんだ、とわかって」って。
異文化・異民族理解の根底を表した内容ではないでしょうか。
そうなんですよね、新聞とかTVニュースとかネットニュースとかだけ見ていると異文化って理解しがたい、恐怖や嫌悪感を感じる対象になりがちなんですけど。
(30年前も現代も変わらないです)
同じ映画を同じように感動した、
同じ食べ物を同じように美味しいと喜んだ、
一緒に鬼ごっこして一緒に笑った、
そういう体験を1回やるとガラッと印象が変わってくることがあります。
人はよく知らない相手をなかなか好きにはなれないということなんでしょう。
一方、実感を分かち合った相手のことは好きになれるということでもあるのでしょう。
文化(や信仰)の力はとても強力なのです。
永井豪先生の作品が、世界各国と分かち合えるドキドキになっているというのは素晴らしいことですね。
敵メカ解説「機械獣軍団」「ミケーネの戦闘獣」「円盤獣」
原作漫画版の敵メカ特集ページが眺めていて楽しかったです。
私が好きな機械獣はゴーストファイアーV9とゴウキューンU5、
好きな戦闘獣は魚類型戦闘獣ビラニアス、将軍だと悪霊将軍ハーディアス。
巨大母艦デモニカもいいなあ。
ベガ星連合軍は円盤獣や幹部より平兵士であるベガ星人の小物臭いデザインが好き。
漫画「ダブルマジンガー出動の巻」
超人将軍ユリシーザーとダブルマジンガーの戦い、
兜剣造の特攻、
地獄大元帥との決戦、
という豪華エピソードをまとめた原作最終回です。
(鉄也さんは無事です)
これをフルカラーかつ大判で読めるのはありがたすぎます。
コラム「マジンガーZ研究」北波英幸さん・篁光太郎さん
ダイナミック愛が満ち満ちていてとても読みごたえがありました。
コラムは次の通りで、どれも力作、ファンの共感を呼ぶ内容です。
・マジンガーシリーズをつなく兜甲児という存在
・「マジンガーZ」に見た夢
・「マジンガーZ」欠損の美学
・「マジンガーZ」セクシー場面集
・激先生の激闘! 激マン! マジンガーZ編
バイオレンスジャック(黄金都市編)や魔王ダンテなど、他のダイナミック作品まで読み込んだ内容の数々に感激。
そういえば真マジンガーでも、ケドラに乗っ取られたマジンガーZが魔王ダンテ化していましたね。
アニメ マジンガーZ 名エピソード五番勝負
選出されていたのは次の5本。
・第7話 あしゅら男爵の大謀略
・第34話 赤い稲妻 空飛ぶマジンガー
・第52話 甲児ピンチ! さやかマジンガー出動!
・第57話 Dr.ヘル日本占領!!
・第78話 あしゅら男爵 太平洋に散る!!
納得感の高いセレクトではないでしょうか。
あらためて、アニメのマジンガーZも凄いですね。
僅か第7話で、あしゅら男爵に扇動された市民が光子力研究所と兜家を取り囲み、マジンガーZを使うなDr.ヘルに降れと投石しまくる内容を放映していたんですよ。
市民の支持なしにはスーパーロボットも戦えないのです……。
(よく言われることですが、マジンガーは「リアルロボット」でもあります)
マジンガーZ INFINITY 大解剖
今週末公開の映画特集。
INFINITY版マジンガーZのメカニックデザイン……「立体化すると貧弱になりがちな肩を大きく」「曲げやひねりの出来る腰の分割アレンジ」にはワクワクさせられました。
また、プロデューサーインタビューの中で、
永井一巨「だいぶムチャしましたよ。こんなに壊れるシーンをやるとは思わなかった。CGだと基本無理ですからね」
金丸裕「そのためにマジンガーZのモデルを4個作っていますからね」
永井「本来、CGは途中で壊せないんですよ。別の壊れてるモデルを作らないといけないので」
金丸「監督たちはそれをやれたっていうのがあるんでしょうね」
――確かに壊れるって大事ですからね。
金丸「豪先生のマンガでもしそれがないと物足りないですよね」
永井「うちが2Dにこだわるのは、壊れができるからですね」
――TVシリーズのマジンガーZは容赦なくボコボコにされてましたからね。
永井「壊れますし溶けますし」
金丸「溶け方もエグいですよね。どうやって直すんだっていう」
永井「だから、脚本があがったときに、CGでこれ「本当にできますか」っていうのがありましたね」
という箇所には唸らされました。
こういうこだわりには敬意を惜しみません!
などなど、他の特集も含めてそうとう楽しめる、愛あるムックになっていますよ。
ファンアイテムとしても映画の事前勉強としてもよい本だと思います。
INFINITYが素晴らしい出来で、ダイナミック映画や東映スーパーロボット映画が引き続き製作されるように流れていきますように。
でも、INFINITYが面白かったらINFINITY版マジンガーZの超合金21,600円をうっかり買ってしまいそうでどうしよう。
映画「マジンガーZ INFINITY」志水淳児監督 - 肝胆ブログ