週刊ビジュアル戦国王の最終号、三好康長さんを筆頭に三好一族が大トリを飾っていてかんたんしました。
康長さんを筆頭に、三好義興さん、三好義賢さん、篠原長房さん、三好長逸さん、三好政康さん、岩成友通さん……と三好一族が勢ぞろい。
(紹介されている内容は定説ベースです)
ここにきてどんな読者層を対象にしていた雑誌だったんだろうと思わざるを得ない采配ですね(笑)。
大半の読者からしたら「三好●●って何人おんねんややこしい!」くらいにしか思っていただけないのではと不安になってしまいます。
とは言え、確かに三好康長さんは戦国時代の濃密な部分を味わい尽くしたという意味では「戦国王」の名に相応しい人物の一人かもしれません。
きっと義興さんや実休さんも、康長さんの方が目立ってても納得していただけるのではないでしょうか。
三好康長さんは三好元長さんの弟とされていて、細川家の内乱、三好元長さんの活躍と蹉跌、三好長慶さんの栄達と悲哀、三好家の分裂と内乱、織田信長さんの台頭と横死、長宗我部元親さんの躍進、羽柴秀吉さんの君臨までのすべてを現場近くで見てきたお方であります。
三好政康さん大坂の陣に参加説が風前の灯火であるいま、康長さんは畿内戦国史と織豊時代を繋ぐ貴重な人材だと言えるでしょう。
(実際「夏草の賦」や「センゴク」では格好良く扱っていただいていました)
私も康長さんが好きです。
康長さん、一説には三好元長さんの評判を大きく落とした「柳本甚次郎さん殺害事件」の実行犯かもしれないそうですが(一秀さんが正当? 若き康長さんが同行していた可能性もあるのかなあ)。
「三好元長さんとは何者なのか」信長の野望201X '18/1の勾玉交換武将より - 肝胆ブログ
そんなヒットマンぽい噂をお持ちでありながら、三好長慶さん時代は比較的おとなしくされていたっぽいのがまず面白い。
元長さん死後の三好家を簒奪しようとする素振りもなく、かといって長逸さんのように政に戦にと使い倒されることもなく。
実休さんや一存さんが亡くなり人材の層が薄くなってきてから、ようやく存在感が強くなってきた感。
その割に長慶さんの死後は、三好一族の重鎮としてドンと構えて久秀さんを追い詰めたり信長さんに抗い続けたりと武闘派で鳴らしたかと思えば、上手いタイミングで信長さんに降って重宝されるという老獪な一面も見せはって。
されども織田信孝さんや羽柴秀次さんを養子に迎えていよいよ四国で三好再興や待っとれ長宗我部……からのどうもハッピーエンドで終わり切れない無常感ある歴史からの退場。
いったいどの康長さんが一番素に近いのか、いまいち分からないんですけれども、そのミステリアスかつ隠れ実力者お爺ちゃんな感じがなんとも素敵な気がするんですよね。
多面性のある、あるいは渋みのある人物イメージとでも言いますか。
どなたかが康長さんの人生をもっともっと掘り下げてくれますように。
学術的にも物語的にも。
最近、小和田哲男さんや小和田泰経さんが三好家に優しくてありがたいですね。
'18.6月号の歴史人(戦国時代の全国勢力変遷地図)でも三好家をおおきく取り上げてくださっていましたし。
研究者や執筆者によって細かな解釈の違い、アピール方法の違いはあると思いますが、穏便に知名度が上がっていくならまずはいいなあと思います。