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かんたんにかんたんします。

「アクタージュ4巻感想 巌裕次郎の背中が大きい」原作:マツキタツヤ先生 / 漫画:宇佐崎しろ先生(ジャンプ)

 

アクタージュ4巻、舞台「銀河鉄道の夜」編が本格的に始まったら、更に面白さが加速していてかんたんしました。

 

www.shonenjump.com

 

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以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表紙は明神阿良也さん。

目のクマ系男子が刺さる人には特にヤバいですね。

 

天球メンバーとの絡み(巻末おまけ漫画)やジョバンニ役時の無垢な表情などもいいのですが、一番好きなのはscene30.の脚本読み合わせ時に夜凪景さんが弱音はいたときの無言の間です。

なにか匂っていたんでしょうか。

独自ピントの独特ハンサムストーカーってのが蠱惑的です。

夜凪景さんを2時間=映画一本分追いかけまわしていたというのが実にホラー。

 

彼は常に自分の「気持ち」および他人の「気持ち」を正確に読みとろうとしていて、更にそれを独自の言葉で表現しようと努めているのがいいですね。

常在戦場的な、いつも潜っていつも表現している生活習慣。

役者としてとても真面目に仕事している訳なのです。

 

 

 

4巻は、演劇界の巨匠「演出家:巌裕次郎」さん率いる演劇集団「天球」とともに、舞台「銀河鉄道の夜」に夜凪景さんが挑戦する内容になっています。

 

銀河鉄道の夜 原作(青空文庫

宮沢賢治 銀河鉄道の夜

 

 

デスアイランド編が終わって百城千世子さん成分がなくなることを懸念していた方も多いと思いますが、scene32.「私のカムパネルラ」と、巻中おまけの「二人の逃避行(2時間=映画一本分)」と、巻末おまけの「あのデカいキャリーバッグには夜凪景さんのための“千世子セレクトおでかけコーデ”が入っていたという事実」で吹き飛ぶことができるので安心してください。

 

百城千世子さんも「役作り」(しかも透明人間の骨っぽい内容)を始めていたり、明神阿良也さんとのバトル漫画っぽい邂逅があったりと、ライバルキャラたちが主人公に負けず劣らず成長しているのがいいですね。

往年のはじめの一歩を見ているかのようです。

 

星アリサさんが「千世子と手塚で手いっぱい」と仰っていましたが、千世子さんについては殺人犯役への挑戦のことを指していたのでしょうか。

ならば、手塚監督もまた何か面白いことをやっているんでしょうかね?
そうだといいなあ。

 

 

 

他の登場人物ですと……

 

主人公の夜凪景さん。

「感情表現」の課題認識→解決の流れがとても魅力的でした。

天才過ぎるやろという気がしなくもないですが、漫画としては展開早くてとてもいい。

 

非現実的な天才性、異常性が、死者であり違う世界の存在となった「カムパネルラ」に嵌まっていて、作品全体に強烈な個性を帯びさせることに成功しているのではないでしょうか。

 

というか、デスアイランドに続く2つ目の長編で、既に「生と死」を掘り下げていこうとしているのが役者としてもバトルものでない漫画としても異常値だと思うのです。

こういうテーマって、普通の漫画なら20巻台とかでやっているやつだと思うの。
師匠の死を乗り越えて……とかさ。
エピソードを溜めて溜めてからやらないと普通は盛り上がんないですよね。

それを4巻の時点でやっててしかも面白さを増しているんだから、なんてスゲェ原作なんだと素直にかんたんしてしまいます。

 

 

彼女の特設サイトができていたのもウケました。

空メール送ったら本当にスタジオ大黒点からポートフォリオPDFもらえたし。

www.shonenjump.com

 

↓こういうメールとPDFが自動返信されてきます。

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大黒天HP内で百城千世子さん(しかも太もも露わ)が映っている画像を使っていますが肖像権の許可は取ってはるんでしょうか。

スターズから激しく攻撃される気がします。

 

 

 

 

続いて三坂七生さん。

舌ピアス、コンプレックス、憧れ、弱さ、かわいいもの好き、率直。

リアリティのある女性なので応援したくなります。

 

 

青田亀太郎さん。

三枚目、実力派、フルチン派、乳首攻められたがり、イジられてイジれるお兄さん。

いいなあ。

喜怒哀楽の“楽(エクスタシー)”表現だけバストアップになっていましたが、下半身でどんなムーブをやっていたのか気になります。

 

 

星アキラさん。自覚のない嘘吐き。

「たとえあなた(巌裕次郎)でも黒山でも夜凪景でも

 アキラは変えられない

 だから問題ないの」

という母親アリサさんのお言葉が前フリだったらいいな。

その三人だけでは変えられなくても、亀さんの言葉が既に響き始めていますしね。

彼の変化、成長が今から楽しみです。

 

 

亀さんはザネリ役ですが、七生さんとアキラさんは何の役やるんでしょうね。

銀河鉄道で出会う姉弟と家庭教師とかでしょうか。

ハレルヤハレルヤ。

カムパネルラに負けず劣らず難しい役だと思いますし、七生さんアキラさんそれぞれがどんな皮の向け方をしてカタルシスを与えてくれるのか、期待が募るばかりです。

 

 

 

そして、巌裕次郎さん。

伝説の演出家にして怖い人にして業の深い人。

4巻ラスト、scene34.「演技指導」に戦慄した読者も多いのではないでしょうか。

 

「何だよその顔は」

のアンタの表情こそよ。

 

3巻ラストで仰っていた

「俺達と一緒に死への旅と行こうか

 夜凪 景」

がまったく言葉通りの意味だったのがイカツ過ぎる。

 

黒山監督といい手塚監督といい巌裕次郎さんといい、この漫画に出てくる監督・演出家は本当にどうしようもなく作品と役者に対して自己中過ぎるところが似通っていて、めっちゃ酷い連中で、だから好きです。

 

この漫画、大きくは美女と美男に満ちた作品ですが、作画という点ではこの巌裕次郎老人が好き過ぎるんですよね。

基本無表情からの、僅かな顔の変化がたまらん。

 

何より、背中の広さ、たぶん意図的な広さが超いい。最高にいい。

カバー裏のおまけ漫画も、巌裕次郎背中フェチ的にはそっちばかり注目してしまう。

この背中の大きさが彼の存在の大きさをそのまま表しているようで、この背中がフッと消えてしまった時の喪失感の大きさまでが必要以上に想像できて、ほんまたまんない。

 

ジャンプでお爺ちゃんの生死をこんなに気にかけることになるとは。

全国のちびっ子読者よ、これで泣いたら自分のお爺ちゃんお婆ちゃんにもやさしくしてあげようね。

 

 

 

作品内では、映画デスアイランドはまだ公開されていない模様です。

おそらく銀河鉄道の夜もデスアイランドも話題作になるでしょうから、ここから夜凪景さんに対する世間の目も急激に変わっていくのでしょうね。

 

アクタージュという作品も、作品内の夜凪景さん同様、いい感じに世間評価が高まってますますレベルアップして凄いことにならはりますように。

 

 

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