肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「ドリフターズ6巻感想 織田信長さんの煽りスキルが半端ない」平野耕太先生(ヤングキングアワーズ)

 

ドリフターズの6巻がいよいよ大規模会戦で各キャラクターの魅力が思う存分描かれていてかんたんしました。

ヘルシングの終盤といい、平野耕太作品のキャラクターが入り乱れて争う様は本当にいいものですね。

 

www.shonengahosha.co.jp

 

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(表紙は安倍晴明さんです)

 

 

ドリフターズは剣と魔法なファンタジー世界を舞台に、戦国武将等各時代のヒーローが召喚されて争っている感じの物語です。

主人公は島津豊久さんで、脇を織田信長さん、那須与一さんが固めているという。

海外勢だとハンニバルさんだとかロシア皇女のアナスタシアさんだとかが登場します。

 

この6巻では主人公勢と「黒王」という謎の救世主系人物に率いられた軍勢との決戦が描かれています。

敵はオークやのコボルトやの竜やの巨人やのを、明智光秀さんや土方歳三さんやらが指揮しています。

カオスですね。

 

 

 

以下、ネタバレを含みますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非常に見どころの多い、名場面続出型の戦でございました。

 

エルフやドワーフを指揮して長篠型陣地を構築する織田信長さん。

巨人の首を嬉々としてもごうとする島津豊久さん。

三連継矢で竜を射殺す那須与一さん。

 

中でも大きな見どころが2つ。

 

織田信長さんと明智光秀さんの舌戦。

本能寺&山崎後に異世界に辿りついた二人が、両軍に分かれて対峙。

シチュエーションだけでもたいがい面白いのですが、光秀さんの存在に気付いた信長さんのキレッキレな煽りと光秀さんの暗い応酬が超よかったです。

 

信長さんの

手前ぇも

こっちに来てたか

金柑頭!!

 

上等だよ相手してやる来いよ!!

俺の丁稚ごときの分際で何をトチ狂ったか

俺を殺ろうとしやがって!!

 

ようも信忠(せがれ)殺してくれたなあ

わかってんだろうなあお前

わかってるよなお前

 

丹波一つに十年かかる雑魚が

俺にかなう

わけがねえだろザコが!!

お前みてえな低能の雑魚をちっとでも信用したのが

俺がばかだったわがっかりだわ

何が気にくわねぇで謀反おっ始めたか知らんが

 

能無しのお前には充分以上だっただろうがよ

あーひょっとして秀吉(サル)とくらべちゃった? 自分

でもしょうがねぇじゃんお前猿より無能だもの

 

なんか? 聞いたら? お前? 謀反の後?

猿に負けて滅んだらしいな?

まあしょうがないよなぁ

猿よりお前だいぶ無能だったもんなあ

 

おれがお前につけたキンカンってあだ名な

アレお前の頭がキンカンみてえって意味の他に

キンカン程度の脳だって意味よ

そえものだそえもの

そえものごときが俺になり替わろうとか笑わすなキンカン

 

そんなそえものがなんで謀反?

そえものなのに?

ああ

天下人にあこがれちゃったかな?

自分で天下の軍勢を差配したくなっちゃったのかな?

よかったじゃねえかお前も大軍指揮できてよ

クソみてえなクソ化物のクソ徒党だけどよ

あーでもこれ 黒王の軍なんだっけ

丁稚根性染みついてんなあ おまえ

 

を受けての光秀さんの一言。

うえさま

お前の信忠(むすこ)は死にざまに

まるで端女の様に泣いていたぞ

 

というね。

どっちも超ひどい。最悪で面白いです。

 

信長さん自分も美濃攻めやの石山攻めやのに何年もかけてたじゃんとか

丹波はだって丹波なんだから仕方ないじゃんとか

秀吉さんより有能な人なんていないじゃんとか

そういう個々の反論をせず、

「お前の息子超ダセェ」

と品のない反論で信長さんをキレさせる光秀さん本当キレ者。

 

 

島津豊久さんの捨てがまりと土方歳三さんの邂逅

細かい経緯や描写は説明しませんが、

島津豊久さんの

那須与一さんにビンタされた後の表情、

敵陣に突っ込む背中、

達者でのー!!

 

がほんま格好よい。

 

豊久さんの中にかつての新撰組を見出してかつての輩に邂逅する土方歳三さんも。

同じくらい切なくて格好よい。

 

ここは是非漫画を読んでみてもらいたいです。

一度でも「島津もの」「新撰組もの」の創作作品に触れて楽しんだことのある人なら、ぜったい響くものがあると思います。

異世界ものの、僅かな場面で、これだけ情緒を揺さぶるシーンが描けるのは。

平野耕太先生の卓越した技量もさることながら、日本の歴史もの創作作品の中で、積み重なってきた文脈があってこそだと思うんですよね。

作者と先人方いずれにも拍手をお送りしたい。

 

 

 

いうてもまだ6巻で、お話はまだしばらく続くようです。

スキピオさんやハンニバルさんの覚醒等、おいしいタメもまだまだございます。

いい漫画がじっくり続いてくださっているのはとてもありがたいことです。

 

まだ終盤戦に間に合うなら、中東成分が少ないのでヌールッディーン様あたりが登場してくださいますように、なんてね。