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かんたんにかんたんします。

「ハレ婚。最終話まで通した感想 君はゆず派かまどか派か」NON先生(ヤンマガ)

 

ハレ婚。が遂に完結、いい感じに物語を締めくくっていてかんたんしました。

 

 

yanmaga.jp

 

 

以前もうららさん編を取り上げたことがありますが、

「ハレ婚。11-12巻 松橋うらら編」NON先生(講談社) - 肝胆ブログ

 

ハレ婚。はヤンマガでさいきんまで連載していた恋愛漫画です。

エロ要素も含みます。

女性が、彼氏の部屋にあるヤンマガで優先的に読む系のやつです。
センゴクとか彼岸島とかとはたぐいが違います。

 

女同士の友情とか助け合いとか嫉妬とか足の引っ張り合いとか笑いとか泣くとかの描写がすごく良くて、地方都市の若者の雰囲気の表し方もめっちゃ優れているので大好きな作品でした。

男性陣も女性陣も顔と身体がいいですしね。

 

 

ストーリーとしましては、

北茨城市をモデルにした町が「ハレ婚条例(特区)」を始め、合法的に一夫多妻が可能となったという設定をベースに、伊達龍之介さん、第一夫人のゆずさん、第二夫人のまどかさん、第三夫人&主人公の小春さんが独特な夫婦模様を展開していく……

というものです。

 

一夫多妻による少子化課題の解決。

確かに現在の日本は毎年45万人くらい人が減っていて(これから更にペースアップ)、7年に1回太平洋戦争(犠牲者310万人)に負けているような悲惨な状態ですから、こんな条例を言い出す躊躇しない系の論者が今後増えていくかもしれません。

中世ですら側室を嫌がる人はけっこう多かった訳ですし、中東のハーレムでも妻同士の人間関係に夫はもの凄く気を使うと聞きますし、個人的にも一夫多妻にはネガティブですけど……。

 

それはそれとしてこの漫画の登場人物はみんな非常に魅力的ですから、個別事例としてこのハレ婚家庭はいいな、と思えたりするのですよ。

 

 

 

以下、ネタバレは控えめに、主な登場人物の概要と感想を。

 

 

 

 

 

 

 

 

小春さん

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喜んでくれると思ったの・・・・!

 

画像右の髪の毛短め、ホットパンツ愛用の主人公です。

運動神経が良くてケンカが強くていい尻をしていますが、第一夫人第二夫人と違って、これといった生活上の強みはありません。

むしろトラブルをもってきたり嫉妬でまわりを振り回したりするタイプ。

面倒くさいタイプともいう。

 

女性陣の中で唯一、龍之介さんとの幼少期の縁(刷り込み)を持っているのが強み。

何それずるい。

要は主人公なので、現時点の魅力ではなく、別の特別な理由で龍之介さんに見出され、その後は主に嫉妬(ハレ婚ですからね)で引っ掻き回して話を引っ張っていくタイプなんですね。

 

こう書くと本当に面倒くさい女に思えるのですが、単に嫉妬深いだけではなくて、感情が全般ストレートなタイプですので、日ごろは張り合っている他の夫人に対しても泣くときは泣く、笑うときは笑う、助けるべきときは助けると、非常に素直な活躍を示してくださいます。

感情的故に、読者もいちばん身近に感じられると思う。

本当に一夫多妻をやるなら、こういう人がいてくれた方がいいのかもしれません。

物分かりよくなろうとしないで、ストレートに気持ちを出してくれる方があんがい家庭は平和になったりしますもんね。

 

 

 

伊達龍之介さん

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ピンポン大正解

ありました

 

ミスター舞台装置。

イケメン、天才ピアニスト兼作曲家、絶倫、平等に妻を愛する男。

彼の存在なくしてこの漫画のストーリーは成立しません。

 

彼のスゴいところは、嘘偽りなく平等に三人の妻を愛しているところ。

彼女たちの優劣や濃淡に悩まないところが地味に人間離れしていると思います。

もちろん彼も人間として、悩むところも幼いところも歪んだところもふんだんにあるはあるのですが、一貫して「愛が揺らがない」ところは敬服せざるを得ません。

 

この方がブレずに構えてくれているおかげで、この漫画は女たちのドラマに専念できる訳です。

ちょっと変態だったり意地悪だったり弱虫だったりロン毛だったりで好みは分かれるかもしれませんが、みんな彼に感謝を捧げましょう。

 

 

 

ゆずさん

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危ない女を

家にあげるワケにはいかない

 

第一夫人。

ギャル系美人、巨乳、茨城弁(~だっぺ)、料理上手、買い物上手、床上手、実家が金持ち、勘がいい、察しがいい、そしてご懐妊……と、主婦・母としてほぼパーフェクトな女性です。

世間の男性の理想を凝縮し過ぎではないか。

 

長女として多くの弟・妹を世話していたこともあり、周囲へのフォローの巧みさは他に並ぶ者がおりません。

家庭の守護神というか、地母神にすら思えるくらい。

彼女がいてくれるだけで家庭に+100%くらいの防御バフがかかる。

逆に言えば、彼女が有能過ぎてともすれば男をダメにしてしまう懸念も。

 

本編で唯一、龍之介さんか他の男か、あるいは第三の道か、を選ぶことになる人物。

日ごろは周囲の状況を察して合わせているタイプの彼女が、こうした決断をくだすことになる展開に妙味を感じますね。

 

色々あった後の15巻で彼女が龍之介さんに恋をし直すところ、続く16巻で息子の熱けいれんにパニックになるところは非常に魅力的ですので、ゆず派の方は楽しみに巻を読み進めて参りましょう。

 

 

 

まどかさん

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あなたさえいなければ

 

第二夫人。

無口系美人、スタイル良し、和服、敬語、甘いもの好き、お酒弱い、子ども好き、頭脳明晰、資産運用上手、マネジメント上手、忠実、献身、崇拝……そして感情が巨大。

ピアニスト・作曲家としての龍之介さんを支え、彼に一途な愛を捧げるも、それ故にハレ婚に誰よりも苦しむという。

 

他にも重い背景を抱えており、ストーリーで最も苦しい役割を担うことになります。

たぶんこの作品の裏主役。

彼女を救済できるかどうかで、ハレ婚とは、結婚とは、の答も変わってくるのではないでしょうか。

 

終盤、クライマックスの彼女の活躍は圧巻です。

重い、苦しい、エロい、悲しい、虚しいを怒涛の如く浴びせられますよ。

18巻での彼女の吐露はあまりにも生々しく、人間らしくて、共感したり人生の一場面を思い出したりした女性も多いのではないでしょうか。

翌朝の彼女の柔らかな表情と、その裏での暗黒な決心、見事な二面性っぷりもたまんないですね。

 

 

 

ゆず派かまどか派か

読んだ人はみんなこういう話をする訳ですよ。

主人公の小春さんはよくも悪くも等身大ですので、自然と話題は現実離れした第一夫人・第二夫人の方に集中しちゃうという。

 

私の周りではゆずさん派が多いですね。

特に既婚女性に人気。

確かに、彼女は男性陣の理想像であるだけでなく、女性から見ても目標像であり、理想の家庭を築くパワーを感じる対象なんだろうなと思います。

ゆずさんが好き、と言うだけで家庭円満の御利益がありそう。

 

一方、男性も女性も、恋愛に重きを置いているタイプはまどかさん好きですね。

ひたすら二人きりの純粋で重い愛を求めるストロングスタイルっぷりに惹かれる気持ちもよく分かるんですよね。

この作者さんが描く敬語美人(含むうららさん)、異常に魅力的だし。

一度はこんな恋愛をしてみたい、という方も多いんじゃないでしょうか。

 

 

 

私ですか?

 

 

 

私は……

 

 

 

ジョーさん派です。

 

 

 

 

 

ジョーさん

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俺 やりてぇコト好きにやってるだけだし

なーんも恥ずかしくねぇ

 

ロン毛でひ弱い龍之介さんにノリ切れないなあと思い始めていた読者の前に、衝撃的な登場を果たしたジョーさん。

短髪、筋肉、ヒゲ、タトゥー、見かけもクズ、中身もクズ、経歴もクズ、ストーリー的にもお邪魔虫ポジション。

「元カレ」という要素を徹底的に嫌う幼い読者層からすれば、吐き気を催す邪悪に映るのではないでしょうか。

 

そんなジョーさんなんですが、この人、持って生まれたステータスを「憎めなさ」に全振りしてるんじゃないかというくらい憎めない男でして。

すごいダメな人なんですけど、放っといてもダメになるし甘やかしてもダメになる人なんですけど、びっくりするくらい愛嬌あって格好いいんですよねえ。

ボヤッとした喋り方、気のいい兄ちゃんな喋り方、短髪、ヒゲ、筋肉、、、イイ。

コーディーストZERO3、スト4)使いの私にはもうドストライクですよ。

 

龍之介さんとは、「おおきくはクズ」という点だけ一致していて、その他はまるで真逆のキャラクター。

ジョーさんが活躍する13-15巻あたりだけは、女性陣ではなく「龍之介さんか、ジョーさんか」という振り回し方をしてくれるんですね。

 

ジョーさんよかったなあ。

よくこんな「好きになれる要素ゼロなのにダメ、好きになっちゃう」キャラをつくれたものだ。

せめてもう少し甲斐性があれば……。

 

最後は大きな謎を丸抱えしたまま去っていっちゃいましたが、「まあいいか」と思えるのは彼の人徳がなせる業なんでしょう。

 

 

 

 

 

そういう訳でですね、「ハレ婚。」はいい大人がいい感じにかき乱されるいい作品な訳ですよ。

ほどよくエロいし。

 

 

一夫多妻かどうかはともかく、「つまり結婚とは楽しいことである。」なのでみんな結婚したらいいんじゃない的な空気感を抱けたりするのも効能ですね。

「子はかすがい」感もふんだんにあって、子どもを授かる、家族が増えることに前向きになれそうですし。

少子化の解決に向けましては、条例法令のような制度面からハードに進んでいくのではなく、恋人たちそれぞれの幸せの延長線上に自然となされていきますように。