アクタージュ8巻、いろいろ見どころが多い巻でかんたんしましたが、何よりも新登場した山野上花子さん(30)がまたひとつこの作品のスケール感をグンと広げてくれた感じがしてときめきました。
表紙は同じく新登場の王賀美陸さんです。
この人も既に魅力を振りまいてくれていますが、やはり舞台本番時の活躍がどんな風になるのかとにかく楽しみですね。
明神阿良也さんとの対比、「何を演じても王賀美陸」と「動物から妖怪まで何にでも化けるカメレオン俳優 明神阿良也」のバトル、ぜったい面白くなると思うの。
以下、少しだけネタバレ要素を含みます。
物語は夜凪景&王賀美陸 VS 百城千世子&明神阿良也という当作品オールスター感溢れるダブルキャスト公演対決「羅刹女編」を迎えました。
↓なんかすごい公式サイトができていてびっくり。
黒山墨字さんの妙手により世界的知名度を獲得した夜凪景さん、
夜凪景さんへの強烈なライバル意識を露わにし始めた百城千世子さん、
そんな千世子さんが心配でならない星アリサさん、
そんな千世子君を精神的にそっと支える星アキラさん、
着々と頼もしくなって天球の屋台骨たろうとする明神阿良也さん、
ひたすら暗躍し続ける怪しくもやり手な天知心一さんと、
なんだか非常に豪華な群像劇になって参りましたね。
烏山武光さんや和歌月千さんも脇役として再登場、再活躍してくれるようで何より。
8巻まできて、一人ひとりのキャラがばっちり立っていて、一人ひとりのキャラらしい動きを示しつつ物語としては大きな流れができている。
ストーリーに信頼を置ける漫画とはいいものです。
見どころは
- 夜凪景&黒山墨字コンビのMV撮影シーンの圧巻
- そのMVを真似てはしゃぐ外国人観光客のかわいさ
- 百城千世子さんのクソデカ感情……悔しかったよ、夜のデート(宣戦布告)、王賀美初登場時の殺気視線、アキラちゃんとの関係性、涙と涎と変身等々……
- 千世子をどうか―― ⇒ どうにもできない
- 禅とは心の在り方 俺は常に座禅している
等々でしょうか。
それぞれの場面の魅せ方がますます素晴らしく、読んでいて本当に満足度高いですね。
その上で、私がいちばん持っていかれたのが舞台「羅刹女」の脚本を書いた山野上花子さんの存在感。
キャラの造形、メガネ美人、30歳、表現者としての矜持、といった美点に加え、
「運命を感じる」
「私の羅刹女」
「今のエネルギーもう一度出せますか?」
「私は大人になってしまったから」
「好きな子に好きな子がいた」
「早く結婚しろと親から電話」
「当たり前で不自由な現実が私たちを大人にする」
と……言葉遣いの一つひとつに不倫経験ありそうというか不倫相手を刺したことすらありそうな淫靡で隠喩じみた官能性を漂わせているのがヤバいと思う。
なんだこの少年誌の相場観を無視した大人。
最高じゃないか。
まあそういう性癖じみた話ははんぶん冗談なんですが、
それよりも
「ようこそ 私の世界へ」
というセリフにはマジ痺れましたね。
こういうアーティストオリエンテッドな言葉、すごい好き。
「私の世界」。
「山野上花子さんの描いた羅刹女の世界」なる意味だけじゃなくて、
- 「"公"の対語としての“私”を主に置いた世界」
- 「世間の常識、評価、流行りに合わせて表現するな」
- 「私の内面が世界を覆う、変える、支配する」
的な意味を含んでいるんだと思うんすよね。
私の世界。
ですよね、本当そうですよ。
何のために表現するのか、創作するのか、を真剣に考えたことがある人じゃないと出てこないセリフですよ。
こんな核となるセリフを、ぽっと出にも関わらず納得感高く語ってしまう山野上花子さんのポテンシャル、半端ないぞ。
「子供は真似しちゃダメよ」「大人もです」と幕間で良識ぶっておきながら、本編で「常識(笑)」とやっている倫理バランスが実にいい。
この辺はジャンプイズムありますよね。
男の世界へようこそしたらジョジョで、
私の世界へようこそしたらアクタージュなんですね。
麗しいジャンプマルチバース!
という訳で、もうここまで来たら特に不安も心配もないんですが、舞台「羅刹女」編が予想も期待も超えるような盛り上がりをみせてくださいますように。
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