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かんたんにかんたんします。

小説「新三好長慶伝 龍は天道をゆく 感想」三日木人さん(幻冬舎MC)

 

ものすごく久しぶりに発刊された三好長慶さん題材の長編小説「新三好長慶伝」が時代小説らしく楽しみやすい読み味で、とりわけ三好之長さん&四国衆の描写がとても好みでかんたんしました。

 

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著者はまさに三好長慶さんの地元三好市ご出身で、執筆・発刊にあたっては地域の三好長慶顕彰関係者の協力もおおいに得られたとのことです。

NHK大河ドラマ原作化も視野に入れられているそうで、本当にそのうちそういう事態が起きたらいいですね。

 

 

以下、ネタバレを一部含みます。

基本的に流れは史実通りで、従来の三好長慶小説よりも最近の研究成果が採用されています。

人名や解釈等は必ずしも最近のトレンド寄りでないところもありますが、娯楽コンテンツとしてはなんでも最近寄りにすればいいというものでもないので人口に膾炙している方を選択する等バランスを取られたのでしょう。

その分、三好関係者の細かな逸話・伝説も多く取り上げられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじは史実に沿って進みますので、主な各人物の描かれ方を紹介します。

 

基本的に各人物は善玉悪玉の立ち位置(三好家目線)に応じたキャラになっています。

悪玉が実はいいヤツで……みたいなややこしさのない、楽しみやすい娯楽時代小説。

約400ページで三好長慶さんの濃い生涯を追っていくかたちになりますから、展開はけっこう駈け足気味ですので、その分善玉も悪玉も変にひねくれたところのない、純粋な人が多い印象。好感を抱きます。

 

また、オリキャラもかなり活躍されますよ。

 

 

三好長慶

人呼んで「阿波の蛟龍」。瞳の奥に龍が宿っています。

明確に天下人として扱われており、序盤から終盤まで優れた器量・実力を発揮します。

病気にはなりますが操られ恍惚人にはなりません。

 

 

三好実休

長慶の影。この作品では良心的でおとなしいお人柄です。

弱点は色香。死後もたまに化けて出るそうです。

 

 

安宅冬康

仁の人。更に説明上手属性をお持ち。

言葉足らずな長慶さんをフォローする姿にかんしんしました。

 

 

十河一存

後先考えずに突っ込んで敵をやっつける人。

四兄弟で最も三好之長さんや三好元長さんの癇性・直情径行を受け継いでいると語られているのがウケました。

 

 

松永久秀

意外なことに「二流の人物」として描かれていて、これはこれで一つの解釈かもしれないなと思ったり。野望はあったんだけど上手くいきませんでした、なぜなら久秀さんの実力が足りないからです、というのはかえって斬新に感じます。

頭のいい十河一存さんといったキャラ付けで、理屈や打算を重視する割に、進言する内容は「早く殺してしまいましょう」「力攻めあるのみです」「だから早く始末しておいた方がよかったじゃないですか」みたいな感じばかりなのが面白いです。

 

 

三好康長

武闘派。十河一存さんや松永久秀さん同様、甘いこと言うな、早く殺ってしまおう的なお人柄。

というかこの作品で武闘派でない三好関係者は三好四兄弟の上三人だけな気が。

 

 

三好長逸

影が薄い。三好三人衆より松山重治さんの方が目立っているくらい。

 

 

篠原長房

影が薄い。お父さんの篠原長政さんの方が活躍されます。

でも、続編で篠原長房さんが主役の小説も構想されているそうです。これは貴重だ。

 

小説「三好長慶の遺命 篠原長房士魂録 感想」三日木人さん(郁朋社) - 肝胆ブログ

 

 

細川晴元・三好宗三・足利義輝

文中の一節を引用します。

六郎晴元の権力を笠に着た横暴、強欲な三好宗三政長の悪巧み、さらには悪将軍義輝の大義なき妄動

 

なお、義輝さんおよび細川藤孝さんは武芸方面で高く評価されています。

 

 

木沢長政

悪逆無道の成り上がり者

 

 

遊佐長教

むふふふっ。

うっふふふっ。 

 

 

六角定頼&六角義賢

かなりの実力者として評価されています。

 

 

 

 

と、長慶さん時代の方々はだいたいこんな感じでお話が展開していくのですが、私がいちばんアツいなと思ったのが序盤で紹介される三好之長さんのエピソードなんですよね。

 

めっちゃイキイキしてはるんですよ。

ぜったい著者さん三好之長好きなんやろなと思うくらい。

 

 

三好之長(1458~1520)。悪名高き長慶さんの曽祖父な訳ですが……

「たとえ地獄へ堕ちようとも、死ぬのはたった一回ぞ!」

この男の血は熱い。とりわけ戦いともなると、胸の血潮は異常なほどに沸騰した。

その豪放磊落で烈しい性格は、血の気の多い足軽雑兵はもとより、荒くれ、無法者といった浮浪の徒をおのずと惹き寄せた。

「つぶせ、つぶせ! 強欲な金貸しの倉を打ち毀し、銭を取り戻せ!」

之長の背後には、得体の知れぬ強面の男どもが血走った眼をぎらつかせている。

 

と、おおむねイメージ通りの大悪キャラとしてキラッキラに活躍されます。

全400ページの中で、之長さんは約40ページにもわたって暴れまわりますからね。

大将なのに率先して敵方の大物侍大将に組み付いて仕留めにかかったりしますし。

 

これはスピンオフ製作待ったなし。

 

 

ちなみに之長さんの配下も頼もしい外道揃いで、彼らが入京した瞬間に治安が悪化する描写が最高です。

 

「有徳者(金持ち)を打ちのめせ! 手向かわば、ぶっ殺せ!」

「なあに、(バクチの)負けが込んだら、上京辺りの金貸しを襲って、銭を奪ってくるわい」 

 

と、三好家ブランドを非常に強化してくれそうな頼もしいコメントもたくさん出されておりますよ。

しかも戦方面では皆さん阿波山岳武士としてめっちゃ強くてめっちゃ熱い訳ですから、これは他の家の方々(含む上司)からするとたまったもんじゃないですね。

 

大将から配下まで統一感のある之長さん時代の輝き。

NHK大河ドラマ受けするかどうかはともかく、私は大好きです。

 

信長の野望20XX「三好之長さんとは……」(芦屋道満ピックアップガチャより) - 肝胆ブログ

 

 

 

いよいよ長編小説も出版されて、ますます三好長慶コンテンツが充実してきましたね。

 

この度の素晴らしい三好之長さん描写のように、長慶さんの知名度が上がればその前後や周辺の人物も知られていくことでしょうから、良い循環になってそれぞれの掘り下げが進んでいくといいですね。

(之長さんパートでは足利義稙さんもかなり活躍されていました。武闘方面で)

 

 

 

今後も三好家ファンや戦国時代ファンにとっていいニュースが続きますように。