大相撲2020年春場所、史上初の無観客開催を乗り切った相撲協会・力士一同の尽力にかんたんいたしました。
千秋楽の八角理事長による協会御挨拶、とてもよかったですね。
沈黙を挟みながら、言葉を振り絞るような理事長の姿。
背負っていた凄まじい重圧があれだけでも察することができるようでした。
何もかもが異例な中、親方・幕内力士が勢揃いしての協会御挨拶・表彰式はなぜか相撲ファン・視聴者を安心させるような力強さがあったように思います。
成績や勝敗のこと以上に、一同が並々ならぬ決心のもとに春場所に臨んでいたこと、このコロナ禍を乗り切ろうと尽力していたことが伺えて、結果として無事に15日間を務めあげられたことには敬服の念を惜しみません。
色々ありましたし足下でも色々あるかもしれませんが、その色々の中で相撲協会は少しずつ確かな実力をつけていっているのかもしれません。
この春場所、そんな相撲協会の底力が何よりもファンに感銘を与えてくださいました。
NHKでは出世力士手打ち式や神送りの儀式までも放送に組んでくれました。
協会同様、マスコミサイドも何とかしてこの春場所を盛り上げよう、相撲ファンの心に残るものを伝えよう、と取り組んでくださっていたように思います。
いつも以上に協会とマスコミに一体感があったような気がするんですよね。
それにしても、観客の不在がこれほどに大きいとは。
相撲の観客といえばマナーの悪さばかりが取り上げられて、あまりいい印象もなさそうなものなんですが。
いないとこんなに寂しい。
プロスポーツにおける観客、声援の力を再認識させていただいたような思いです。
そして、再認識といえば白鵬関。
先場所ではもうダメだみたいな感想を書いてすみませんでした。語る資格なしとはこのことです。
大相撲'20初場所感想「白鵬幕府崩壊からの徳勝龍下剋上・戦国時代到来」 - 肝胆ブログ
先場所の様子には本当にショックだったんですよ。
ああ、もう、時代が変わるのか……という心境だったんですが。
今場所はすっかり力が戻っておられましたね。
足利尊氏ですか貴方は。
乱れたりバタバタしたりした取り組みもありましたが、あれも弟弟子の炎鵬関をリスペクトして色々試しているんじゃないかとすら思えてきました。
白鵬関については、リアルタイムで色々語っちゃいけない気がしてきています。
彼の評価は、引退後も含めてこれから何十年も長い期間、相撲ファン皆が落ち着いて考えていかないと着地することがないのかもしれません。
あらためて今場所の勝ち越し勢は次のとおり。
13勝 白鵬(優勝)
12勝 鶴竜、隆の勝(敢闘賞)
11勝 朝乃山、碧山(技能賞)
10勝 御嶽海
9勝 阿武咲(殊勲賞)、宝富士、霧馬山、照強、石浦、志摩ノ海、琴ノ若
朝乃山関がいよいよ大関ですね。
個人的には近年稀にみるほど順当な出世だと思います。
白鵬関や鶴竜関の次の時代を担う方だと思いますから、実力はもちろん、人・看板としての器量もすくすくと育っていっていただければ嬉しいですね。
そして、その朝乃山関に土をつけた豊山関も素晴らしかったです。
あのハズ押しは技能賞レベルに光っていました。
私の中で今場所一番の取組みはこの朝乃山-豊山戦の技術的攻防です。
炎鵬関との手四つも含め、今場所の豊山関は実力と研究成果を存分に発揮してくれてよございました。
推したい度がぐんぐん上がったファンも多いのではないでしょうか。
私の推し力士である大栄翔関と隆の勝関がしっかり勝ち越し、しかも隆の勝関は終わってみれば12勝という大暴れっぷり。
これは嬉しい。
負けた取り組みも含めどれも内容がよかったですから、引続き楽しみに推していきたいと思います。
今場所は本当に見どころが多くて、番付相応に看板力士たちが活躍して、充実した内容だったように思います。
それだけに高安関の怪我が痛ましく、ファンとしてもショックでしたが……。
この土俵の充実と、朝乃山関の大関デビューと、相撲協会としての成し遂げた自信とを全部活かして、夏場所はコロナも収まりにぎにぎ盛り上がって開催されますように。
定点観測
若隆景(十両二枚目) 10勝5敗
若元春(十両十一枚目) 8勝7敗
若隆元(幕下十三枚目) 3勝4敗