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「ウィザードリィ4 地上への道 感想」ログイン編集部監修/ゲームアーツ著/ビジネス・アスキー刊

 

ウィザードリィ4が面白かったので、オリジナル版当時の攻略本を入手してみたところ、往年のゲーム攻略本らしい著者の個性・情念がこもりまくりな逸品でかんたんしました。

 

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怪作ウィザードリィ4の攻略に向けて、仲間モンスターの能力、アイテムの効果、そして各階のマップや謎解きのヒント等、あらまほしき情報はほぼ完備されている良質な攻略本であります。

ウィザードリィ4は自力攻略が極めて難しいゲームでございますから、当時のユーザーにとってこの攻略本はまさしく垂涎の一冊だったことでしょう。

 

 

しかも、単なる攻略本というだけではなく、ウィザードリィシリーズの歴史ですとか、仲間モンスターの出典元とのステータス比較ですとか、ワードナさんには関係ないキャラクターメイキングの必要パラメータですとかまでが濃厚に記されておりまして、著者のwiz愛を詰め込めるだけ詰め込んだ感が満載で素晴らしいのですよ。

 

ウィザードリィに限らず、おおらかな時代だった頃のゲーム攻略本は著者の独断と偏見でコツやレビューが書かれていて楽しかったですね。

データ大全的な攻略本もいいものですが、エッセイ的要素を帯びた攻略本もよいものであります。

 

 

参考にいくつか引用いたしますと。

 

仲間モンスター「スケルトン(SKELETONS)」の紹介。

ケルトンは、アンデッドモンスターの一種である。かつては常にコボルトの死体を使っていたので、アンデッドコボルトと呼ばれていたと思われる。

しかし材料となるコボルトの死体が減少したために、人間やオークその他のヒューマノイドの死体を使うようになった。このため、スケルトンと呼ばれるようになったと言われる。

ACがよくなったのは、コボルトの骨格よりその他の骨格のほうが丈夫なためだろう。ヒットポイントが減少したのは、材料にバラツキがあるかららしい。

攻撃したときのダメージも増加しているので、モンスターとしてはより完成したと言える。昔のアンデッドコボルトよりは、頼りになると言えよう。

 

どうですか、この#1との比較も踏まえた名文。

モンスター一体一体にこうした紹介テキストがつけられているのですよ。

 

 

仲間モンスター「メジャーダイミョウ(MAJOR DAIMYOS)」の紹介。

メジャーダイミョウは、名前だけは立派なサムライである。とにかくこれといった特技も、自慢できる特徴も持っていない。悪に寝返ったサムライの中でも、クズと言ってよい存在である。

こいつらは親はすばらしいサムライで、たまたまその子孫として生まれて来たにすぎないのだ。親がきちんとしていたので、立派な防具を譲り受け、ACと攻撃力だけはなんとか人並である。

しかしまったく修行をしていないので、メイジの呪文はひとつも使えない。またクリティカルヒットなどの練習もしていないので、ただむやみやたらと攻撃するだけしか能がない。

メジャーダイミョウという名前も、親がダイミョウだったから名乗れるのである。所詮はぐうたらしているだけの怠け者なのだ。こんな奴を召喚しても、ほとんど意味がないように思われる。

 

この下剋上マインド溢れる罵りようが素敵。

著者の前世は中世末期の足軽とか維新の志士とかなのかもしれない。

 

 

アイテム「死の指輪(RING of DEATH)」の紹介。

これはウィザードリィの世界でも、史上最悪のアイテムである。装備すると、移動するたびにヒットポイントがどんどん減っていくという、まさに呪いのリングなのである。

役に立たないアイテムなのに価格が高いのは、裏の世界では暗殺や人殺しに使われるからだ。見つけたらその場で捨てるべき代物。

 

#1以来の死の指輪の価格に対するスマートな考察がイケています。

 

 

職業「侍(SAMURAI)」の由来説明。

サムライはニンジャと並んで、非常に不思議な存在の職業である。この職業は本来、ウィザードリィの世界には存在しないものであった。狂王トレボーが世界制覇のために、見境なく強力な魔法を使ったとき、この世界でサムライの元祖となる者を召喚したらしい。

この人物の正確な名前は伝わっていない(サムライだけに伝えられる口伝では、ムサシという名前だったらしい。しかし一説では、ボクデンという名前だったとも言われている)。

 

この世界観考察もいいですね。

昨今の異世界転生設定と通じるものがあります。

 

 

 

 

また、こうした名文の数々だけでなく、この本はイラストも味があっていいのですよ。

モンスターやアイテムそれぞれにしっかりと個別イラストがついていますからね。

 

個人的にイチ押しのイラストは職業「ビショップ(BISHOP)」。ページ左側。

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この世紀末感みなぎるマッチョ司教、スゲェよくないですか。

アイテムを鑑定するより破壊する方が得意そう。

 

ページ右側のサムライは真っ当に格好いいのですが、他のページのファイターやシーフやプリーストなんかも大変なことになっているので必見ものですよ。

 

 

 

以上、かなりのレア本ですが、置いているところには置いてありますので発見した際は即確保をおすすめいたします。

ウィザードリィ好きならクッと共感できるポイントが多数見つかるはず。

 

 

こうしたファンの熱量が濃いコンテンツはいいですね。

同じくらいアクと匂いの強い作品に今後も出会って親しめますように。

 

 

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