肝胆ブログ

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「めしばな刑事タチバナ 38巻 感想 連載史上一番格好いい立花さん」原作:坂戸佐兵衛さん/作画:旅井とりさん(アサヒ芸能)

 

めしばな刑事タチバナが気づけば38巻とかなりの長期連載になっている中、連載史上で一番格好良くハードボイルドな立花さんに出会えてかんたんしました。

 

www.tokuma.jp

 

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以下、内容の一部ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めしばな刑事タチバナはタイトル通り食べものの話を掘り下げていく漫画なのですが、中にはかなり実験的な構成に挑戦している話も含まれており、作者・読者ともに飽きさせない工夫を凝らしていることが伺えます。

 

 

例えばこの巻のメインコンテンツは「長考! チョコレート」ということで、主人公の立花刑事はほとんど出てこず、20代の婦警陣がひたすら推しチョコレートについて語り続けるという展開になっておりまして。

もちろん媒体がアサヒ芸能なので、メインキャラの中年男性が出てこない回では適度に入浴・シャワーシーンを挟んだりと読者サービスに努めている訳なのですが、そうした回においてもあくまで主題はクオリティ高い食べ物話なんですね。

 

ネタバレをすれば、「長考! チョコレート」では「無人島チョコレート」というお題で女性陣が風呂に入りながらトークバトルをするというシュールな内容で、各人が推すチョコが

  • ストロベリーチョコレート(明治)
  • LOOK ア・ラ・モード不二家
  • 板チョコ版クランキー(ロッテ)
  • チョコベビー(明治)
  • ピーナッツチョコ(でん六

 

という納得感の高い名作チョコレートが続々と出てくる中、終盤ではあの90年代の怒涛の新作チョコレート発売ラッシュ……ガルボ」「メルティーキッス」「紗々」の衝撃に触れてくれたのが個人的に満足度高すぎてひれ伏しました。

私に言わせれば、鞄や机にガルボのひとつふたつを潜ませているくらいでないと一流のデキる大人とは見做せないと思いますねはぁはぁガルボ愛してるよガルボ一緒に行こうよ無人島。

 

 

 

それでですね、相も変わらず安定度の高い高品質食べもの話を繰り広げているところ、作画の旅井とりさんの腕前も密かにレベルが上がり続けておりまして。

この巻でも、決めゴマにおけるトーン表現の細やかさや、人の話に合わせて柔らかいウソをつく志波刑事の表情、いつになくイイ顔をしよる丸山刑事等々、作画技術の円熟を感じさせていただけるのですけれど。

 

白眉は、ルノワール好きの社長(組長)とコメダ珈琲の「ジェリコ 元祖」について語り合う立花さんの表情。

「……と

 長いこと通ってる俺でも馴染みきれない

 荒ぶる”何か”があの店にはあって……

 思うにそのちょっとした刺激が……

 俺のコーヒーをうまくするんだ

 

の顔がね。

鬼渋いんですよ。

 

前々から、この社長(組長)登場回は作者のハードボイルド趣味が前面に出ていて実にいい味を醸し出していたんですけどね。

従来から、立花さん、ごく稀にいい表情出すことはあったんですけどね。

 

今回の表情は何とも言えない格好良さがありました。

立花さんの顔のパーツ構成……糸目、グルリ眉毛、丸デカ鼻、口元とアゴヒゲ……の組み合わせで、よくぞこれだけ男臭い渋みを表現できるものだとかんたんしましたね。

画像を貼ったりはしませんので、興味が湧いた方や、当漫画を読んだことがある方は気が向けばチェックしてみてくださいまし。

 

 

 

数ある食べもの漫画の中でも、めしばな刑事タチバナの安定度は群を抜いていて皆を楽しませてくださっています。

引続きアサヒ芸能ともども永く親しまれる庶民の娯楽であり続けてくれますように。