じゃりン子チエ文庫版の9巻にて、アントニオジュニアが自慢の戦闘力を存分に発揮していてかんたんしました。
9巻に収録されているお話は次のとおりです。
- ボウフラは二度ダンスを踊る
- 西萩常夏ブルース
- 捨丸のオミヤゲ
- パイナップル爆弾
- 実況放送「オトシ合戦」
- 0がふえると体に悪い
- トリオ ロス パンチョス
- 走る男たち
- ニャニャ語のオッサン
- 世界ニャニャ級タイトルマッチ①
- 世界ニャニャ級タイトルマッチ②
- 世界ニャニャ級タイトルマッチ③
- 不幸な宿題
- チエの結婚相手
- みんながムカつく手紙
- 顔が悪いッ
- 復讐のセールスマン
- キツネうどんが食べたい!!
- テレビの百合根
- お好み焼屋で火の用心
- 百合根からの手紙
- 一人ぼっちのカルメラ
- 迷惑がタコ焼きを持ってやって来る
- カルメラ カンバーック
前半はアントニオジュニアのボクシング編、中盤にコケザルとマサルの因縁、後半にカルメラ弟の帰郷が描かれています。
以下、ネタバレ含みで各キャラクターの名セリフと見どころを。
チエちゃん
ウチあんた不良やけどもうちょっとマシな子と思てたわ
寿司が高いとか安いとかそうゆうことゆうタイプとは思えへんかったわ
コケザルが、寿司の特・松・竹・梅というランクの存在、おまえとこは「梅」やろうけどワシとこは「特」を食わせたる、みたいなことを言ったがために、ブチ切れるチエちゃん。
チエちゃんの誇り高い面、意地の強さが垣間見えて好きなシーンです。
コケザル
ワシはチエの結婚相手じゃ
マサルに対してイキるコケザル。
勝手に吹いているだけなのですが、マサルはピュアなので真に受けてしまいます。
マサル
アホが…
お母はん見て分からんのか
あんまり不幸になり過ぎたらこんにちわゆうて笑うだけになってしまうんやど
チエちゃんがコケザルと結婚すると信じ込んで、テツとヨシ江はんみたいになってしまうと本気で心配するマサル。
珍しくマサルのいい面が出ているシーンですね。
テツ
け…け…結婚!!
しばいたろかこのガキ
なんでチエがおまえみたいな不良と結婚せないかんのじゃ
ワシおまえみたいな奴見たらムカムカ来るんじゃ
結婚したかったら就職せんかい
コケザルの結婚宣言が耳に入ったテツのリアクション。
彼もピュアなので真に受けてコケザルを張り倒します。
自分のことを完全に棚に上げて怒っているのがいいですね。
ヨシ江はん
こうですか?
テツの前で顔芸をするヨシ江はん。
夫婦二人きりの時にしか見せない顔がある、というのはズルいものであります。
おバァはん
しかしあのカルメラの兄キゆうのはなかなかの男だっせ
人間見てくれで判断したらあきまへんで
カルメラ弟が家庭の事情で帰郷することになり、帰郷費用や背広代を負担してくれたカルメラ兄を絶賛するおバァはん。
いい男やと思ったら、ちゃんといい男やと口に出すのがおバァはんのいいところです。
花井センセ
こんなにうまいまんじゅうをテツにやれんと思うとワシはもう悲しくて悲しくてほんとになみだが出てしまったぞ
よく考えろどうしておまえはこんなにおいしいツリガネまんじゅうを食べれないのだ
おまえが家にいてたらワシといっしょにこのツリガネまんじゅうが食べれたんだぞ
早く帰ってこい そこでツリガネまんじゅうが食べれるか こんなにおいしいツリガネまんじゅう……
ほんとにおいしい……こんなにおいしい……
テツ 早く帰ってこい……
テツが鑑別所に入っていた時代に、花井センセがテツに出していた手紙の一節。
センセがテツのことを心底かわいがっていることがよく分かる、名文だと思います。
(テツは読んでいなかったようですが)
当時と比べれば、テツといつでもケンカができる現在は花井センセにとって幸福なんでしょうね。
百合根(お好み焼屋のオッチャン)とアントニオジュニア
百合根
「ニャニャ フニャ ニャニャ~ ニャニャウ ニャオニャオ~ニャオ アニャン アントニャオ~(起きんかいジュニア それでもアントニオの息子か それでもおまえはアントニオジュニアか)」
アントニオジュニア
「と…と…父さん」がばっ…
メキシカン猫とボクシングで戦うアントニオジュニア。
敵の卑怯な手もあって、大ピンチに陥ってしまうのですが……
酔った百合根の猫語声援でエネルギーを回復し大逆転を遂げるのでありました。
ピンチに次ぐピンチ。
敵の確かな実力、卑劣なトリック。
セコンドの的確な指示、固めたガードからの反撃。
危機を救う飼い主と父との熱い絆。
カタルシス抜群の猛攻・KO劇。
非常にシュールではありますが、小鉄の名セコンドっぷりも含め、ボクシング漫画としても異常に優れた完成度になっていて名エピソードなんですよ。
小鉄
あっ…チクワ!!
アントニオジュニア(ノイローゼ)が、飼い猫の象徴的アイテムとして放り投げたチクワに喜んで飛びつく小鉄。
超かわいいです。
この巻の小鉄は、甲斐甲斐しくアントニオジュニアと百合根の面倒を見ていて、大変好感度が高い存在になっています。
けっこう苦労性ですよね、彼。
アントニオジュニア好きにはたまらない9巻でした。
カルメラ兄弟のドラマは次巻に続くかたちになっていますが、ハッピーな形で収まるといいですね。
世の中の猫たちも小鉄や百合根のような素敵な存在との出会いに恵まれますように。
「じゃりン子チエ 文庫版8巻感想 動き出すコケザル」はるき悦巳先生(双葉文庫) - 肝胆ブログ
「じゃりン子チエ番外篇 どらン猫小鉄奮戦記 感想」はるき悦巳先生(双葉文庫) - 肝胆ブログ