肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「UNFIX 1-12話 感想」田口清隆監督

 

ウルトラマン等で有名な田口清隆監督がyoutubeで公開している自主製作作品「UNFIX」が噛めば噛むほど的に面白くてかんたんしました。

少年魂が燃える特撮というより、特撮の味わいを活かしたアート的な印象ですね。

 

www.youtube.com

 

 

以下、幾分ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

UNFIXは、特殊外来生物……通称特外……要は宇宙人・怪獣のたぐい……に対応する自衛隊特殊部隊「特外隊」のお話なのですが。

 

いわゆるウルトラマン等の特撮作品と違い、宇宙人や怪獣との戦いに力点は置かれておらず、宇宙人や怪獣と対峙する特殊な環境にありながら地味だったりあるあるだったりゆるゆるだったりな会話・行動を楽しむのがメインという、珍しい作品なのです。

(あくまで私の主観です)

 

や、もちろん戦闘的な場面や駆除的な場面もあるんですけど、そこよりも青柳尊哉さん、ねりお弘晃さん、須藤叶希さん、しおつかこうへいさんという、恵まれた俳優陣のゆるい日常演技がすごくイイ味で、じわじわ楽しいんですよね。

 

 

 

特に好きなのは第9話「或る夏の戦い」。

それまでの1~8話で、異常な部隊なのにその日常は我々視聴者の普通の暮らしとあんまり変わらないんですね感を示しまくった果てに、第9話で合コン飲み会に参加した須藤叶希さんがウェーイ系参加者たちのことを「特外しかいなかったです」と評して自分が馴染めなかったことを告白するのがすごくいいの。

彼女にとっては異常な特外隊の方が普通で、一般人の飲み会の方が異常なんです。

 

こういう描写を観ると、タイトル「UNFIX」の通り、固定観念がほぐれる感じがしていいですね。

宇宙人・怪獣を相手にしているからといって、いつも正義とか戦いの意味とか克服とか絆とかを考えている訳ではないし、特外隊の生活も慣れればそれが日常となる。

一般人の日常も、別の立場の人からすれば異常だったりする。

そもそも特撮作品だからといって、高額な演出をしたり、派手なバトルや怪奇な事件を描いたりしなくてもいいじゃない。

 

感性を伸びやかにしてくれるような視聴感がグッドだと思います。

 

 

なお、第9話は青柳尊哉さんとしおつかこうへいさんが二人で流しそうめんを食べ続けている姿もかわいくて大好きです。

 

青柳尊哉さんとしおつかこうへいさんが絡むシーンは間違いのない面白さで、この回以外にも深大寺を散歩していたりヨガに挑戦していたり、いちいち必見モノの芝居でこちらの胸をえぐってくるのでおすすめですよ。

 

 

青柳尊哉さん演じる寺内二尉のキャラもいいですね。

頼りになる、ユーモアセンスがある、本心はよく分からない、等のヘビクラ隊長と共通するような面もありつつ、後輩いじりの仕方が落ち着いた元ヤンみたいだったり、特外以外の異常な存在は苦手だったり。

主演に据えた場合の青柳尊哉さんは、どっしりした存在感や重みが増していて、他の役柄のときとは違う魅力が出ていていいなあと思います。

 

ねりお弘晃さんの演技もすごく好き。

基本的に地味な画が中心の作品なので、ねりお弘晃さんが塩梅よく騒いで、上手いリアクションを重ねて盛り上げていくのが大事なんだなあと唸らされます。

 

 

褒めるばかりでなんなんですけど、BGMもいいんですよねこの作品。

OPもEDもいい。ずうっと聞いていたくなるし、気づけば口ずさんでいたりします。

百瀬巡さんの曲、すごい好きなやつだわ。

近未来系のダンジョンを探索するRPGとかにも合いそう。

 

 

 

現時点で12話まで公開されていて、またその12話がコロナ禍を逆手に取った面白いやつで続きが気になるやつでしてね。

 

はやく13話が公開されますように。

 

実力のある人たちがつくった「売りたいよりも見せたい」系の作品、好きだなあ。

こういうの超贅沢だと思う。