じゃりン子チエ文庫版19巻、とうとうアントニオジュニアと敵猫が空を飛んで戦い始めてかんたんしました。
大阪の猫は空中戦まで体得しているんですね。
19巻収録のお話は次の通りです。
- 真夏のサイレン
- サイレンがテツを呼ぶ
- 真夏の夜の落石
- 終戦記念日の爆弾
- ユンカースを落とせ
- 真夏のタコ上げ
- ジュニアの離陸
- 風速40米の空中戦
- 台風後遺症
- おたずね猫ジュニア
- ユンカース語る「グラマン元帥」①
- ユンカース語る「グラマン元帥」②
- 一人ぼっちでビビビビビ
- 感電数珠つなぎ
- 電気クラゲは停電中
- 講談師テツ
- スイッチON
- ヒラメ一家で首実験
- みんなで画廊へ
- 黙ってにらめばピカリと光る
- マジメメガネで変装
- 福笑いテツ
- 関門突破
- テツの復元
- 価値ある勝利は本当に重い
以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。
前半はハングライダーに乗って空を駆ける猫とアントニオジュニアの戦い、
後半はイカサマ博打ヤクザをテツとお好み焼屋のオッちゃんが成敗する話です。
空飛ぶ猫の戦いという超現実的な内容に見えますが、たぶんこの西萩界隈ではあり得る光景なのでしょう。たぶん。
各登場人物・猫の名台詞をご紹介します。
テツ
「サイレン鳴るっちゅうのは火事かケンカや
どっちでも最高やど」
下町のオッさんらしい野次馬根性。
サイレンは、空飛ぶ猫「ユンカース」さんの攻撃予告サイレンです。
小鉄&アントニオジュニア
「サイレンの鳴ってるとこになんて
飛んで行ってもロクなことないど
おまえ行きたかったら
勝手に行ってきたらええやないか」
「勝手にて………
おまえと行くからおもろいのに」
同じくサイレンを聞いたときの二匹のリアクション。
ジュニアの小鉄への慕いようがかわいいですね。
こういう友情表現好きです。
テツ&おバァはん&チエちゃん
「そのかわりもし家に居ってワシの身に危険があったら
お母はん責任とれよ」
「へいへい
もしなんかあったらこの夏休み中
毎日 氷金時おごったげますわ」
「アホ…命がかかっとるんじゃ
天丼にしてくれ」
「ふぅ…」
「……安い命や」
空飛ぶ猫ユンカースさんの落石攻撃はネコ同士の抗争なのですが、テツは自分への刺客だと勘違いして騒ぎます。
「安い命や」とボソッとツッコむチエちゃんが好き。
ユンカース(猫)
「タフだよなぁ
サイレンの音を聞いたってビビリもしねぇ
石を直撃されてノビちまっても
気がついてすぐ逆襲に出ようとしたのはお前だけだぜ」
凧を組んで復讐しようとするジュニアを見て好敵手と認めるユンカースさん。
もともとユンカースさんは小鉄("地獄のひょうたん池"と噂されるキンタマ取りの存在が噂されていた)狙いで大阪へ訪れたのですけど、ドラマはジュニア対ユンカースに収れんしていきます。
お好み焼屋のオッちゃん(百合根)
「さあ行こかい
アントニオ
過激な遊びが好きなおまえに
もってこいの天気やないか」
ジュニアを死んだアントニオと誤認した上、台風の中で凧を揚げることを快諾する酔っ払い。猫の抗争を自然と支援できるとは、なんて便利なキャラクターでしょう笑。
ユンカース(猫)
「まったくとんだキンタマ地獄だったぜ」
捨て身のジュニアに撃墜され、挙句キンタマをひねり上げられてドッジボールくらいに腫れあがるという地獄をみたユンカースさん。
この猫からはジュニアや小鉄へのリスペクトを感じられるので、敵ながら爽やかな印象が残りました。
アントニオジュニア
「やった~
やったど~~~
とぉとぉオレ飛行機の操縦をマスターしたど」
ユンカースさんのハングライダーを奪って操縦方法をマスターしてしまったジュニア。まことに大阪の猫はタフですね。
お好み焼屋のオッちゃん(百合根)
「おまえの負け方は完全にイカサマのパターンやんけ
最初は適当にチョコチョコツイて
その気になってやったら急に負けが続いた……
そぉなんやろ」
イカサマバクチ被害者のオッちゃんを的確に分析する元バクチ屋。
テツ
「だいたい現金でバクチやる奴があるかい
バクチはツケでやって負けが込んだら踏み倒す
ゆうのが鉄則やんけ」
イカサマバクチ被害者のオッちゃんに役に立たないアドバイスをするテツ。
テツ&お好み焼屋のオッちゃん
「オ…オッさん
とにかく腹ごしらえや
ちょっとそのジャガイモニ・三個」
「全部いけ」
イカサマバクチヤクザへ仇討に出る二人。
ふだんはケンカしていても、こういうときは息が合って仲良しなのがいいですね。
この後、テツとバレずにバクチ場へ侵入できるよう、変装したテツの姿もなかなかの傑作なんですよ。
お好み焼屋のオッちゃん(百合根)
「ワシがついてる
テツ~~
ワシの家の権利証で勝負かけたらんかい」
酔っぱらって全財産を賭け始めるオッちゃん。
これで勝負ありましたね。
アントニオジュニアにテツ&オッちゃんと、久しぶりに登場人物たちが格好よく活躍する巻でした。
じゃりン子チエは子どもの世界、(ダメな)大人の世界、猫の世界と、バランスよく色んなドラマを見れるのが魅力です。
次巻以降では久しぶりにヨシ江はんあたりの活躍が見れますように。
19巻では特に活躍してませんが、台風のときに焦って家の戸の外側に板を打ち付けて中に入れなくなっている姿がかわいかったです。
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