漫画「大相撲令嬢」が漫画の面白さと相撲の面白さを両立している快作で、もしかしたら今後相撲が娯楽フォーマットとして人気を博すこともできるんじゃないかと幻覚を見ることができてかんたんしました。
かんたんなあらすじとしては、女子相撲部の大学生が、乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生し、乙女ゲーム攻略対象の男性陣を相撲でなぎ倒しながらショタ美少年を保護するという作品になります。
「お、おう」と口に出してしまいそうな内容ですが、これが漫画として非常に面白いんですよね。
原作の力技なストーリー展開、漫画のイケてる画力・コマ割りが組み合わさって、なんだか絶妙な面白さに仕上がっている気がいたします。
たぶん作者方も楽しんで描いているんだろうと思う。
よし
四股にはアンチマジックの効果があるようだ
相撲は神聖な儀式なのよ
負けたものがすぐ再戦などは出来ないわ
次の場所まで待ちなさい
番付表オープン
土俵召喚(コールスモウリング)
等々、セリフもイカレていて大好き。
- ゴブリンやドラゴンと相撲で戦う訳ではなく、異世界のイケメン連中と相撲で勝負するという潔さ
- 土俵を召喚し、相撲ルールでの勝負を強制する
- 対戦相手の実力は番付表で確認できる
- 相撲で負けた相手は力と邪気が抜ける
- 相撲で勝つと報奨金を得る
という世界設定も実によく噛み合っていると思います。
骨格や筋肉がよく分からなかったり意思疎通が難しかったりする怪物と戦うより、相撲はやはり対人戦の方が盛り上がりますね。
この空気感は一種の発明と言えるでしょう。
続編はもちろん、もしかしたら模倣作も今後出てくるかもしれません。
娯楽コンテンツのフォーマットとして、時代劇やヤクザがかつてほどの勢いを失いつつある中、「相撲」と「異世界転生」がこんなにハモッている作品に出会うと一種の希望を感じてしまいます。
当作品がヒットして、相撲という素材が持つポテンシャルが注目されますように。
ところで、作中では「乙女ゲーム内でショタ王子は攻略対象外のキャラだったためゲーム会社にクレームが殺到した」という妙にリアルな背景が語られていました。
お姉さま方の気持ちは分からないでもありませんけど、未成熟な少年少女を恋愛対象にするのはやはり不健全だと思いますので、個人的には作中ゲーム会社の判断を支持しておきたいところです。
一方、作品内で登場してくる「ユスチン・スヴォロフ」さんなるレスリング師範、筋肉ダルマだけど優しい瞳をしているおじさんなんですが、この方もゲームでは攻略対象外だったそうです。
解せぬ。
そもそも主人公は相撲にハマるような女性なのだから、むしろユスチンさんを推しにしてゲーム会社に要望を出すべきではないのか。
私はユスチンさんこそもっと愛でるべきだと主張したい。