内山まもるさんの「ザ・ウルトラマン単行本初収録&傑作選 上下」が発売されてかんたんしながら読み進めていましたら、帰ってきたウルトラマン(ジャック)のレア技「ウルトラダブル」が御披露されていまして。
「ウルトラダブル」はカラータイマーの活動制限時間を半分にする代わりに身長が2倍、パワーも2倍になるという帰ってきたウルトラマンの大技です。
(特撮で表現するのは難しそうなので漫画等でしか登場しないことに定評あり)
このウルトラダブルを見ていてふと思ったのですが。
よく空想科学読本等で突っ込まれている通り、ウルトラマンは体重が重すぎなのではないかという話がございます。
一般に、身長が2倍になれば、体重は8倍、パワーは4倍になるそうです。
体重は体積の話なので身長の3乗、
パワーは筋肉の断面積の話なので身長の2乗になるのだとか。
この時点でウルトラダブルの身長2倍・パワー2倍とはじゃっかん齟齬があります。
そして、ウルトラマンが人間に近い生き物なのだとしたら、身長40m程度のウルトラマンたちは人間の身長の20倍超ということになりますが、体重は35000トンとかですので体重は人間の50万倍くらいになっていまして、「身長は20倍ちょい、体重は50万倍」というのは「ウルトラマンってめちゃくちゃ重いんやな」ということになる訳です。
(人間と同じ身体構成なら、身長20倍だと体重は8000倍、560トン程度になるので)
こういう話を意識したのか、シン・ウルトラマンさんはもう少し体重が軽い設定になっていたりもします。
まあ、こういう話はただのマクラでして、ウルトラマンと人間は別の生き物なのでそれでいいじゃない、人間よりはるかに密度が大きい巨人が人間以上の動きで殴りかかってくるんだからそら強いわスゲェわということであります。
そして、これだけ重いもの同士のバトルなのですから、投げ技が得意なマン兄さんやガイアさんは大変理にかなった戦い方をしているということでもあります。
とはいえ、いくらウルトラマンが強大であっても、これだけ身体が重いと関節にかかる負担は相当なものがあるでしょう。
ここで思い出したのは、「ウルトラマンレオ」第1話のレッドギラス・ブラックギラス・マグマ星人がウルトラセブンを破った戦い。
あの戦いでセブンさんは格闘技でいうところの「アンクルロック」をかけられ、レオの第1クールから第3クール全編にわたって苦しむ重い傷を負うことになりました。
一般的にウルトラマンたちは傷の治りが大変早く、命を失っても新しい命をもらったり太陽光やディファレーター光や他のウルトラマンの光を受けたりしてすぐに復活してきます。
さいきんのオーブさんやジャグラーさんに至ってはどれだけ大技を受けて大爆発して敗れても、「いてて……」くらいで済んでいるというこち亀の両さん並の立ち直りの早さだったりしますし。
それが、足首を破壊されたセブンさんだけは、まったく傷が癒えることなく、MAC全滅までずっと足にハンデを抱えて過ごしていたのであります。
となりのレオさんはしょっちゅう敵宇宙人にボコボコにされるも、すぐに傷が治って活躍していたのに。
察するに、ウルトラマンたちは光線技や殴り・蹴り、切断技等にはかなりの耐性を持っているも、関節技には弱いのではないでしょうか。
強みである体密度の大きさ故の弱点といいますか。
そう考えると、ジャックさんがめったに「ウルトラダブル」を使わないのも分かる。
使ったら腰や膝がガクガクになってしまう可能性が高い。
関節技をかけあうような絵面は地味になるので子ども受けしそうになく、映像作品の中で「関節技主体の敵宇宙人」みたいなのは出てこなさそうではありますが。
トリガーデッカーに続くガイアリスペクト作品あたりではそういう渋い敵も出てきて魂の激突的な名場面で魅せてくださいますように。